ホンモノの人
音楽って、もともと無機質なもの。手でさわれない。形のないもの。それを有機的なものにして、相手に手渡したいっていうのは、素敵なことだよね。売れなくても。作る「価値」がある。
俺はダウンロードしたデータ音源もきくよ。車の中とかね。便利だから。でもそこでは、音楽の価値はおざなりになる。みんな聞き流す。
でも本来、音楽は、真剣に作られたものだ。だから、自分の部屋で、真っ直ぐに置いたスピーカーの目の前に「んっ」と座って、真っ直ぐに、聴く。CDは今、その対象としての製品になりつつある。
売れないから作っても意味がない。それは大人の意見で、ごもっとも。
だけど、かおりちゃんはさ、もっと無邪気なままで、いいんじゃない? 全然売れないけど、作りたい!作りたいのー!って。そっちのほうが合ってるでしょ。笑
俺はまだ、あきらめてないから。CDの可能性を。
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尊敬するレコーディングエンジニア 岡田勉(おかぴ)氏のことば。彼は、スガシカオさんや一青窈さんの音作りも手掛けている一流のレコーディング・エンジニアなんだけど、なぜかわたしと仲良くしてくれて、どうでもいい愚痴や冗談に付き合ってくれたり、こないだはゴハン食べに行って何時間もお喋りしたり、昔からお兄ちゃんみたいな存在だ。
この日もらったことばは、忘れたくなくて、書きのこす。どこまでも実直で、純真だ。ホンモノの人は。と、おかぴを見てるといつも思い出して、うれしくて温かいきもちをもらえる。
冬に「中原中也」のレコーディングを、彼とやろうと思う。需要はゼロ。誰も興味はないしまったく売れないだろう。何のために?と、自分に問い続けてきたけどもうやめた。売りたいからじゃない。録りたくなったから。ただ、それだけだ。
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