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こども先生と宇宙のひみつ

「 ちゃんと学校へ行きなさい。」

「 しっかり授業を聞きなさい。」

「 きちんとルールを守りなさい。」

ちゃんと、しっかり、きちんと。
ちゃんと、しっかり、きちんと。
ちゃんと、しっかり、きちんと。

くりかえし、ずうっと聞いていると
何だかこころが重たくなっちゃう言葉。

おとなだってそうなんだから
こどものみんなだって、おんなじだ。
本当にこまった呪文だな。って
ぼくは思うよ。

給食をたべる時はまっすぐ前を向いて
誰ともおしゃべりしないで食べなさい。
食べ終わったらマスクをつけて。

晴れていても、傘をさしてね
熱中症にならないように
お友達となるべく近づかないように。

公園でみんなとあそんじゃだめだよ。
プールも、合宿も、おまつりも、禁止。
こわーいバイキンがいろんなところに隠れてて
あぶないから。きみのいのちを守るために。

なんかへんだ、なんかへんだ、なんかへんだ。
そう、いま、なんか、へん、なんだ。

もしきみがいま、なにかのせいで困っていたら
それは、きみのせいじゃなくて、
おとなたちのせいだ。

もしきみがいま、だれかのせいで泣いていたら
それは、きみのせいじゃなくて、
おとなたちのせい。

ごめんね。
きみはなんにも悪くない。
まちがってなんかいない。

おとなたちは、いまちょっぴり、へんなんだ。

すべてのいきものは
この星で、水から生まれた。

最初は、ちいさなちいさな魚だった
(と言われている)。
それが、鳥や、爬虫類になって、哺乳類になって
ヒトになった(と今のところ、言われている)。

学校の先生だって、専門家や、偉い人たちだって
ほんとうのところは、誰も知らないんだけど、

たったひとつ、わかることはね。
気の遠くなるように長い
いのちの歴史をたどっていくと

いま、こどものきみは、おとなよりも
進化している、ということ。

だから、地球や、宇宙のひみつのこと
これから、人間が
どんなふうに暮らしていったらいいかを
おとなたちより、うんと知ってるんだ。

そう、きみは、すばらしい、こども先生。

学校は、ほんとうはね
きみたち「こども先生」が、知っている
宇宙の大切なひみつを
おとなたちに教えてあげるためにある。

みんなに「教えてほしいなぁ!」って
ニコニコお願いできるのが
ほんものの「おとな先生」なんだよ。

( だから「教えてあげる」って怒る先生は
         ここだけの話、ニセモノ!)

みんなは、どんな おとなに なりたいかな?

夢中になれるだいすきなことや
得意なことをどんどんやって、
まわりにいる人たちを
大きなハッピーで包みこむ、おとな。

誰かと誰かのけんかを見たときや
悲しんでいる人を見かけたとき
また笑い合えるように、
すてきな言葉をかけてあげられる、おとな。

大雨がふったり、地震がおきたりして
水道や電気がぜーんぶとまって、
みんながパニックになっちゃったとき
自分や、自分のたいせつな人を守れる、
おとな。

地球というたったひとつのぼくたちの星で
暮らしている虫や動物たち、川や森や海が
ずっと、かがやくように行動できる、
おとな。

そんな、かっこいいおとなになるにはね

国語、算数、理科、社会、英語、よりも
実は、もっともっと、たいせつな授業があるんだ。

ぼくが学校をつくったら
まず、校庭のぜーんぶを、畑と田んぼにする。
そして野菜やお米を栽培する方法を
みんなで学んで、育てるよ。

ぼくたちが育てたもので、料理をしてみよう。
一生懸命つくったものを
ありがとうのきもちで食べることが
元気いっぱいな「こころ」と「からだ」を
つくってくれる。

まいにちの給食が、とってもたのしみ!

必修科目のなまえは、なんにしようか?
「生きる!」がいいかなぁ。
「みんなの暮らし」なんていうのもすてきだね。

なにか、とびきりのなまえを思いついたら
今度、こっそり教えてほしい。

それから、忘れちゃいけないのは、
「自由なアートと、運動」だ。

歌をうたったり、楽器を鳴らしたり。
絵を描いたり、粘土や廃材を手にとって、
世界にひとつだけの、作品づくりをしたり。

じょうずじゃなくていいんだよ。
テストなんていらない。

走ったり、踊ったり、
竹馬マスターを目指したり。
できなくてもいいんだ。
なにがすきかを、見つけるじかん。

みんなで金づちやノコギリをにぎって
薪わりなんかも練習して
アトリエとコンサートホールになる
ひみつの小屋も作っちゃおう。

たからものの湧き水を探しあてたら
水をぐいっと引いてきて
おおきな池のビオトープも作るよ。
いきものたちを観察しよう。

わからないことがあったら
木かげで本をひらいて調べてみよう。
色とりどりの図鑑は、いつだって
みんなのワクワクをまっている。

校庭の中には「こども先生」の
おとうさんやおかあさん、
地域に住んでる人たちが集まって
ゆっくりとおしゃべりできるカフェがある。
おとなたちも、情報をシェアしたり、
学んだりできるんだ。

がんばりすぎてつかれちゃったときには
マッサージや、おひるねできるスペースがあって
優しい声の「おとな先生」が
みんなを、家族みたいにむかえてくれるよ。

「生きる!」を、きほんのき、に
こころをみがく自由なアート、そして
からだをつくる運動を。

国語や算数、理科や社会は、おまけでいいよ。
きほんのき、が、すべてにつながっているから。
そう、根をはった、木のようにね。

ぼくたちがこの星でゆたかに生活していくために
おとなもまだ学んだことがないような
自然の中での大発見と、大冒険を
たくさんたくさん重ねていく。そんな学校。

「こども先生」みんなの笑顔が
たっぷりとそそぐ光の中にあふれている
そんな、ほんものの学校を
ぼくはいつかきっと、つくるよ。


#こんな学校あったらいいな

All photo by Hiroshi Tanimoto

Hair make Chika (C+)

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