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かさなりあう人へ

『かさなりあう人へ』
白石一文

直木賞作品「ほかならぬ人へ」から14年、こちらも本当に素晴らしい作品でした。白石先生が福岡出身で、福岡と東京が舞台になる作品が多く、自分としてはとてもリアリティがあるだけでなく、感情描写の一つひとつに共感してしまいます。

✔︎切れた関係のほとんどは修復する必要がないんだよ。そもそも、大事な人間関係なんて一生のうちで一つが二つで充分なんじゃないかな。あとは一期一会で一括りにしちゃっても全然構わないんだ。

✔︎それは、卑しいことはしないのいうものだった。どんなに勝手わがままに振る舞ったとしても、卑屈で臆病であったとしても、しなし、自身が「これは人間として卑しい行為だ」と見做すようなことは絶対にしない。卑しい人間というのは、顔に出る。

✔︎俺はもう、自分のやりたいようにやりたいんだ。矛盾するような言い方だけど、他にやりたいことは一つも残ってない。

✔︎女の人には想像がつかないくらい、実は男は美しさとやさしさに敏感なんです。しかも、女の人が思っているのと、男が望んでいる美しさとやさしさとは重なる部分もあるけど微妙に食い違ってる部分も相当あるんです。

✔︎人間の心の中には誰にだって嵐があるからね。

✔︎泣きたいときは思い切り泣けばいい、そうやって自分の感情を信じられるようになればいいんだって。そして、そういう涙もろい人の方が、他人のためにちゃんと泣くことができるんだって言ってくれた。

#かさなりあう人へ
#白石一文

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