待ち長〜い月
長月。
十五夜を過ぎると、ためらいがちに出る十六夜の月。
つづいて立って待つ立ち待ち月、
座って待つ居待月、
待ちくたびれて寝待ち月、
待ちぼうけの更け待ち月……。
日に日に細って、申し訳なさそうに遅れて顔を出す月に、あの日の面影を映す。
その儚げな笑顔に、私は弱い。
今夜も辛口の冷酒でちびりちびりやりながら、月を待つ。
待ちぼうけの夜更けには、豆乳仕立ての湯豆腐で腹ごしらえとしよう。
手の中のお猪口には、いつのまにか月がすべりこんでいた。
待ち焦がれた、月見酒。
月がきれいですね。