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「おしゃれ」じゃなくて「おめかし」
私が衣類に興味を持ったのは幼稚園の頃だと思う。
編み物が得意な祖母がいつも妹と私にニットを編んでくれた。初めてリクエストしたのはサンリオの編み物本に載っていたキキララをイメージしたセーター。淡いピンクとグレーの太めのボーダーがとても可愛くて、祖母にリクエストしたら妹とお揃いで編んでくれた。ものすごく嬉しくてそのセーターを着た写真がとても多く残っている。ピンクとグレーは今でも大好きな色合わせ。
小学生高学年の時に「ご近所物語」が流行って、「デザイナー」という職業にとても興味を持った。
小学校最後の夏休みに家族で伊勢丹に行った時に子供服売り場のラルフローレンで真っ赤なオーバーオールワンピースに一目惚れした。こんなにも可愛い服があるのかとドキドキが止まらなかった。恐らく高価なものだったと思うけれど、母も気に入ったのかそれを買ってくれた。今考えるとあまり甘えることがなかった私が(ものすごい長女気質な子どもだった)ねだったから、無理をして買ってくれたのだと思う。2学期初日の9月1日、ドキドキしながらそれを着て行ったら、若くて綺麗な担任の先生に「ひかるイメージ変わった?すごく似合ってる!」と言ってもらえたことは記憶に鮮明に残っている。
心も身体も成長する中で衣類への興味はどんどん大きくなった。私の「好き」の感覚は幼稚園の時の祖母が編んでくれたセーターから根っこは変わっていなくて、「Olive」やその他様々な雑誌を読んで自分の「好き」をアップデートさせていったように思う。
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いつだって自分の「好き」に忠実で他人目線で衣類を選んだことがなかったので、いわゆる赤文字雑誌が流行った時に「モテ服!」「彼の好きな女の子になる!」みたいな見出しにいつも違和感を覚えた。
(だいぶ)月日が流れ、数年前に書店で川上未映子さんの「おめかしの引力」という本と出逢った。そこに「おしゃれ」と「おめかし」それぞれについて書かれていた。意訳するとこんな感じ。
・おしゃれ:他人の評価が入っている。
・おめかし:自分が良いと思うものを自分自身が肯定している。
これを読んだ時に目から鱗がこぼれ落ちた。
私がしているのは「おめかし」だ!と気づけたのだ。
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そんなこんなで、40代になっても私なりの「おめかし」を日々楽しんでいる。
特別な予定がない日も好きな服を着ていた方が気分もいいし、心なしか体調も良くなるので、一日中パジャマという日は全くない。
まもなくあの茹だるような暑さがやって来ると思うと恐ろしいけれど、この夏はちょっと長めの丈のショートパンツを履いたり、絶賛減量中なのであわよくばノースリーブで外出してみたい。
私の「おめかし道」は永遠に続くのだ。
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