1本槍だけで強行突破の愚かしさ

コンサルをする傍ら、自身が感じた「優れたビジネスアイディアや考え方」を書き留めていきます。

今回のお題
「プライドへの固執と怠惰さ」


仕事柄、お教室の一人親方に会うことが多いのだが
ビジネスを本気でやる気あるのかと疑わしいのは、「ある分野のスペシャリスト」だと自分が思っているタイプ。
その分野にしか興味がないのが本音なので、特定のスキル以外磨こうとしない。
それは、一種の「怠惰さ」だということに気づいていない。
要は、「めんどくさい」のだ。
めんどくさいからといって、収益化するモデルを考えないまま、手軽だからと、簡単に教室経営を始める人は、とても多い。
そして、すぐにぶっ潰すのだ。
下手すると、「ディプロマ商売」の人間に食い散らかされた被害者が、無知のまま担がれて教室経営を始めるケースも少ないくない。

「スペシャリストさ」を重視してくれるお客さんだけ相手にしている、いつもカツカツ運営をしている教室。
濃いファンだけを相手にすることの方が楽だからだったり、自分の不得意分野(営業など)をしなくて良い。

逃げの姿勢で、来てくれるわずかばかりのお客さんに固執して何とか運営しているうちに、生徒さん同士の小競り合いに巻き込まれて教室を畳む先生が掃いて捨てるほどいる。
順調に生徒さんが増えて、自分のスキルを認めてくれる生徒さんに囲まれて、どんどん拡張して、いつかは自分の城を持って。。。なんて夢を持っていただろうに。

それを見るたび、「ああ、また一人戦友でありライバルが減った」と思う。
自身は、そのぶっ潰れた教室が抱えている顧客がこちらへ流れてくるチャンスなので、営業施策を打つタイミングと捉えている。

悪いが、商売は顧客の取り合いだ。ニッチな分野だからこそ、よそのバックエンド顧客ほど美味しいお客はいない。

教室経営に関わらず、商売において、「一本槍で強行突破できる」なんてことは、しかもそれがずっと続けられるなんてことは、ほぼほぼありえない。
せめて、二本槍は持つべきだ。

フロントエンド(表層顧客)とバックエンド(深層顧客)へのアプローチは分けるべきだ。

フロントエンドは、短期間で居なくなる顧客。
それは、誰のせいでもなく、必ず一定数いるのだ。その顧客にかかる時間やコストは、バックエンド顧客をキープするのにかかる工数よりも多いのに、収益が少ないのはおかしいだろう。
フロントエンドである「すぐ居なくなるお客さん」からも、ちゃんと収益を確保するモデルにしなければ破綻してしまう。

そこで邪魔するのがプライド。クソみたいなプライド。
はっきり言って、「ある分野のスペシャリスト」にも、上には上が居る。どこまでも。

スキルで純粋に勝負するなんていうことは、顧客が長く在籍して、バックエンド顧客になってくれた場合は、重視してくれるだろうが、
フロントエンド顧客は、ひたすら「比較」をしている段階。

「この地域では、自分ほどのキャリアの人間は居ない」のは立派なことだ。だけれど、それは比較材料の一つに過ぎない。
そこで、スキルという一本槍だけで戦うことが、どれほど愚かなことか。

比較段階にいる顧客は、比較材料が多いほど優先順位をあげてくれる。
カリキュラム、料金、人、立地、連絡のしやすさ、そのほか、敷居の低さ、キャリアアップへの道筋があるか など
あらゆることまで考慮して比較している。

しかし、その比較をして実際に決めたところへ行ったものの、続いていくかは本人次第だ。そんな不確かなもので商売をやることはできない。

フロントエンドからガッツリ集金するには、熱いうちに鉄を打つことだ。
「一顧客がスキルを習得し、成長することを見越しての収益モデル」では、全くもって危うい。
入会した時点である程度集金できるシステムでなければいけない。

実際の在籍数とイコールの人数が同時に来校するキャパシティは持ち合わせていないし、そんなことはありえない。
「来ない客」からこそ、一定の回収率があれば、どんどん収益は黒字になる。
ただ、良心が痛むタイプの人には、難しいだろう。

良心が痛むなら、怠惰さを捨て、真剣にもう一本の槍を磨けばいい。
別のスキルを増やすとか、営業力をつけるとか、知り合いに会いまくるとか、なんでもいい。
なんでもいいけどとにかく努力をするしかない。
どれもやりたくないことかもしれないが、フロントエンドからむしり取ること以外の槍を持てばよいだけ。

現在、自身の教室は フロントエンド40%、バックエンド60% この辺りの収益率だと思う。
バックエンド顧客には、フロントエンド顧客には絶対に与えないメリットを用意する。
「ファン」になってくれた顧客は強く、太く、経営を支えてくれる。

どのみち、二本槍を構え、一本ずつ戦略を変えて、一番有効な攻撃をしなければならない。

まるで違う相手と戦うのだから。

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