次期戦闘機の第三国移転に反対します


公明党支持者ですが、次期戦闘機の輸出に反対します。

【主な理由は次のとおり】
共同開発国のイギリスは2001-2021年まで米軍のアフガニスタン攻撃を支援し、イラク戦争にも参戦。歯止めの要件の「現に戦闘が行われている国」にいつなってもおかしくない国。

高度な防衛技術の漏洩や、同盟国だと思って輸出した国が将来的に袂をわかったり、紛争当事国になる可能性がゼロとはいえない。

次期戦闘機の輸出により、日中関係がさらに冷え込んで、緊張がさらに増し、軍拡競争の負の連鎖に拍車がかかり、

平和外交が阻害されることを深く憂慮しています。

安全保障上、切迫しててやむを得ないとするのであれば、10年もかけて開発するのではなく、

アメリカと再交渉するなど、
「航空優勢」を迅速に確保する方法を模索すべき。


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F2戦闘機の退役が始まり、2035年頃から後継機を導入する必要があるため、日英伊で次期戦闘機を共同開発し、量産して武器輸出することでコストダウンをはかる必要があると首相は2024/3/5の答弁で説明しています。

令和5年版防衛白書によれば、2022年度の空自機による緊急発進(スクランブル)回数は778回にも及び、そのほとんどが中国とロシアによるものとされています。

また、昨今のウクライナ侵攻や中東の紛争激化、中国や北朝鮮の著しい戦力増強など、確かに安全保障環境は厳しくなりつつあります。

【2022年度緊急発進実施状況について】
https://www.mod.go.jp/js/pdf/2023/p20230418_02.pdf

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しかしこれまでも、アフガニスタン侵攻や大韓航空機撃墜など数々の悲劇がありましたが、それでも日本が殺傷兵器の輸出を容認することはありませんでした。

官民共に交流が乏しく、今よりずっと顔の見えない国だった冷戦時代よりも、安全保障環境は、果たして著しく厳しくなったのでしょうか。

次期戦闘機に限定するとはいいながら、殺傷兵器の武器輸出の対象が将来広がる懸念が拭えません。

コスト削減をはかるため、第三国に殺傷兵器を輸出するという前例ができることになります。

このような重大な方針転換は国会で十分審議すべきことです。

自公政調会長の合意のとおり
①第三国移転の対象は次期戦闘機に限定②移転先は「防衛装備品・技術移転協定」の締結国に限定③現に戦闘が行われている国は除外し、閣議決定で歯止めをかけ、厳正に輸出の是非を議論したとしても、

一旦輸出したら、輸出先の武器を完全にコントロールすることは難しいのではないでしょうか。

そもそも共同開発国のイギリスは2001-2021年まで米軍のアフガニスタン攻撃を支援し、イラク戦争にも参戦していました。いつ「現に戦闘が行われている国」になってもおかしくない国です。

2005年にはロンドン同時爆破テロ事件が起きました。

紛争当事国に輸出しないというのは無理があるのではないでしょうか。

高度な防衛技術の漏洩や、同盟国だと思って輸出した国が将来的に袂をわかったり、紛争当事国になる可能性がどうしてゼロと言えるのでしょうか。

中国の南シナ海進出を踏まえ、閣議決定などを経て、東南アジアに輸出することを念頭においてると報じられていますが、果たして思惑どおり、中国が引き下がり、本当に抑止につながるのでしょうか。

次期戦闘機の輸出により、日中関係がさらに冷え込んで、緊張がさらに増し、軍拡競争の負の連鎖に拍車がかかり、

平和外交が阻害されることを深く憂慮しています。

最先端の殺傷兵器の製造単価を下げるために、大量生産して第三国に売り付け、高度な殺傷兵器を低コストで調達して日本の軍備を増強し、

日本だけは何の憎しみもテロのリスクも負うこともなく、無傷で安全でいられる。

そんな虫のいい話などある訳はなく、妄想の極みではないでしょうか。

日本製の武器の輸入が許される国と
許されない国があるなかで、日本が今までのように専守防衛の中立な国と見なされる訳はありません。

これまでの世界の武器輸出の歴史を鑑みれば、武器輸出先が紛争当事国に変わって、牙を剥いてくる可能性は十分あるのです。

そもそも殺傷兵器の武器輸出は、公明党創立者による積年の平和提言の趣旨に、逆行するものでははないでしょうか。

政治的な発言を控えることの多かった池田先生が、紛争の絶えない厳しい世界情勢にあって、広く世界に訴えた具体性に富んだ政策提言を、軽視すべきではありません。

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日米による開発ではなく、日英伊なら対等で国益を反映した次期戦闘機の開発ができると、国はもっともらしく述べていますが、

日本はこの数年で、コマツや住友重機械工業など、大手の防衛関連企業が装備品の製造から撤退しています。

次期戦闘機の共同開発で、日本において開発主体となる三菱重工業は、国産ジェット機の開発を断念しました。

各国が次期戦闘機の開発にしのぎを削るなか、

そのようなノウハウのない国を対等なパートナーと位置付けているような共同開発チームで、

防衛省が描いているとおり、
10年後の2035年頃の世界において、

①現時点(2022年12月)において、いずれの国においても実現されていない新たな戦い方を実現でき、

②将来にわたり適時適切な能力向上のための改修を加えることができ、

③さらに高い即応性等を確保できる国内基盤を有する次期戦闘機を、我が国主導で開発でき、

「航空優勢」が確保され、

戦略的優位性を確保できるとするのは楽観的過ぎるなのではないでしょうか。

【防衛省のホームページ】
次期戦闘機の開発について
https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html

また、ガザの紛争やウクライナへの侵略で、高度な防空システムや機密漏洩を防ぐサイバーセキュリティの重要性、熾烈な情報戦、無人機や低コストなドローンによる攻撃などが注目を浴び、戦争や求められる武器の有り様も急速に変容しています。

また、周知のとおり、中国は軍事費が突出していて、すでに第五世代の次期戦闘機の保有台数も日本を凌駕しています。

安全保障環境の厳しさをことさらに強調するのであれば、

今から開発まで10年もかかり、しかも実現可能性が不透明な、組んだこともない英伊と共同開発を推し進めるのではなく、

アメリカ議会で否決された米国製の最新鋭の次期戦闘機の購入の可能性を、再度忍耐強く探ったり、従前どおり、ロッキード・マーチン社などと、粘り強く共同開発の協議を続けるなど、航空優勢を迅速に確保する方法を模索すべきです。

私が仏法者として祈念する所とは異なりますが、これまでの政策と整合性がとれるのではないでしょうか。

また、三菱重工業に10年間かけて、試行錯誤、兵器開発を行わせ、その開発コスト、兵器産業育成コストを第三国に負担させる。そこにきな臭さを感じます。

コストダウンや国内の防衛産業育成のために、殺傷能力のある武器を量産して、輸出するなどというご都合主義は、人の不幸の上に幸福を作らんとする発想です。

創立者が後継に託されたこれまでの数々の平和提言に逆行するようなことはやめて頂きたいです。

創価学会が協賛する来週末の未来アクションフェスでは、核兵器廃絶を1つの大きなテーマにしていますが、高度な殺傷兵器を日本自ら量産・拡散することはやむなしとして、本当によいのでしょうか。

池田先生の平和提言と真逆の政策を容認するのであれば、その正当性を丁寧に説明する義務があります。

潮プラス
「ゴルバチョフと池田大作――今こそ求められる平和への遺訓」
https://plus.usio.co.jp/blogs/contents/2023-212

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