そもそもアメリカの学校教育におけるSpeech Language Pathologyとは?

日本でいうところの言語聴覚士ですが、アメリカでSpeech Language Pathologist(言語病理学者;言語療法士; スピーチセラピストという表現がされるみたいです)の多く(おそらく全SLPの過半数)教育分野で活躍しています。教育分野というのは、端的にいって公立の小中学校、高校です。

アメリカは、障害者の権利、平等性を守る法律が日本よりも充実しています。障害(程度にかかわらず)を持つ子供も、特別支援学校ではない、自分の住所に割り当てられている公立の学校で、個別に支援(Individualized Educational Plan, 略してIEPというものが、個人のレベルに合わせて制定される)受けながら教育を受ける権利が保障されています。もちろん保護者の意向によって、特別支援学校に行く子供もいます。校区によってアレンジメントは若干違いますが、誰もが公立の学校で、 General Educationに属する子供たちと共に、インクルーシブに教育を受ける権利があるというのは変わりません。

アメリカの公立学校には、理学療法士、作業療法士、言語療法士が必ず一人いて、日本でいうところの療育が、学校教育の一環としても行われています。そのほかにも、Resource Speciallist(読み書き計算の理解が他の子に比べて遅れている子供たちへのサポートを専門でする先生)School Psychologist、School Counselor(日本の学校のような隔週に1回とかではなく、常勤です)、など日本の公立学校にはない肩書きのProfessionalたちが働いています。

そういう背景があるので、さまざまな障害(自閉症、脳性麻痺、ダウン症、学習障害、識字障害、書字障害など本当に色々)を持った子供たちが公立学校に登校してきて、同じクラスで授業を受けています。Individualized Educational Plan(IEP)という個別の教育計画の中に、療育が入っている場合、その生徒は授業中にプルアウトされて、セラピーを受けます。スピーチ(発語)と言語に関わる部分のセラピー(というかもはや1対1か少人数形体の授業)をするのがSLPなのです。

もちろん、SLPが働くのは学校教育分野だけではなく、病院や介護施設で、働くSLPもたくさんいます。脳卒中や交通事故、その他病気や老化などで脳の言語中枢に障害を持つ人たちの言語能力の改善の手助けをするSLPもいます。私はもともと教育畑出身なので、Clinical SLPのScopeがどれくらい広いのか、実はまだよくわかっておりません。。。


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