頚肩部の疼痛・痺れに対するアセスメント
リハ塾の松井です!
<ご質問内容>
両肩に痛み、右上肢に痺れある方で、スパーリングテストとジャクソンテストが陽性です。
棘下筋に対して圧迫を加えても痺れの再現が行えませんでした。
体幹の左回旋がありました。
整形外科テストからの解釈が自分の中で行えておらず悩んでいます。
次回介入時に斜角筋筋緊張、小胸筋等を評価しようと思っています。
頚椎由来の症状が考えられる場合はもちろん整形外科テストを実施し、痛みの鑑別をしないといけません。
勤務先の状況が分かりませんが、手術をするような大きな病院なんかでは整形外科医がいるので理学療法士が細かく整形外科テストをするようなことは少ないかもしれません。
クリニックや整形外科医がいない施設では、理学療法士が整形外科テストなどの評価結果から必要なら医師へ報告したり、受診を勧めることが必要です。
質問者様は整形外科テストは行っていますが、解釈に悩んでいるようなので、今回は頚椎疾患の評価と痛みの解釈について解説します。
基本的な評価の流れは以下のようになります。
・病歴聴取、問診
・整形外科テスト、理学検査
・神経学的検査
(腱反射、感覚障害の有無、運動麻痺の有無、排泄障害の有無)
・絞扼性末梢神経障害、肩関節疾患との鑑別
リハビリでは、特に以下の4点について細かく評価をします。
・頚部症状 or 上肢症状
・安静時痛 or 運動時痛
・圧痛の有無
・神経徴候の有無(脊髄症状 or 神経根症状)
例えば、質問者様はスパーリングテストとジャクソンテストを実施し陽性と判断しています。
スパーリングテストで訴えている痛みや痺れが再現されるのなら、神経根由来の神経障害性疼痛の可能性が高くなります。
反対に、痺れは再現されず、頚部周囲のはっきりしない痛みのみ出現するとかであれば、頚部の筋肉や関節による筋骨格系由来の侵害受容性疼痛の可能性が高くなります。
まずはここら辺の見極めをきっちりしましょう。
他にも、深部腱反射で亢進しているなら脊髄の異常が疑われますし、減弱しているなら末梢神経障害が疑われます。
腱反射が減弱しているなら、益々末梢神経障害の可能性が高くなるので、併せてMMTや感覚検査で神経脱落症状や感覚障害の有無、程度や部位を評価しましょう。
一旦まとめると、
・整形外科テストで陽性、主訴に一致する痺れや痛みの再現性がある
・深部腱反射の減弱
・筋力低下(痙性麻痺との鑑別)
・感覚鈍麻
これらがあれば、かなり頚椎の末梢神経由来の症状である可能性が高くなると言えます。
そうであれば、質問者様が評価した棘下筋の圧迫などでは再現性がないのは妥当と考えられるでしょう。
反対に、上記の4つが該当せず、でも痺れがあるのであれば、神経由来ではなく筋膜やトリガーポイントによる関連痛なんかが考えられます。
ここで筋肉の圧痛や運動時痛も評価しておくと良いですね。
あとは、両肩に痛みがあるので、頚部由来ではなく、肩関節由来の疼痛であるかどうかを評価しておく必要があります。
・肩関節のROM
・drop arm sign、Neer impingement test、Yargason testなどの炎症や腱板損傷の整形外科テスト
これらのような、肩関節の評価を実施し、肩関節痛が肩関節由来か頚部由来かを鑑別しましょう。
両肩痛であれば、一側は頚部由来も混在しているかもしれませんが、反対側は肩関節由来の疼痛である可能性もあります。
あとは、Adson testやWright testなど胸郭出口症候群の可能性を評価する整形外科テストも加えておくと良いですね。
まとめですが、
頚椎由来の症状を疑うなら、以下の評価をする
・整形外科テストで陽性、主訴に一致する痺れや痛みの再現性がある
・深部腱反射の減弱
・筋力低下(痙性麻痺との鑑別)
・感覚鈍麻
肩関節由来の疼痛や絞扼性神経障害による上肢症状を疑うなら、以下の評価をする
・肩関節のROM
・drop arm sign、Neer impingement test、Yargason testなどの炎症や腱板損傷の整形外科テスト
・Adson testやWright testといった胸郭出口症候群の整形外科テスト
評価や解釈はこんなところでしょう。
頚椎や肩関節は痛みや痺れが出やすいですが、症状がはっきりしない場合も少なくないので、なおさら評価をしっかりしておくことが大事です。
でないと、解釈も曖昧なまま治療介入を進めることになるので、何をしたら良いのか、何をしているのか分からなくなってくる可能性もあります。
参考になれば幸いです。
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