プルーストによって
なんだか気分が鬱々しくなってきたら
駆け込む場所がいくつかある。
自分の穏やかさを取り戻すための場所だ。
近所の喫茶店、池袋タカセ、よく行く花屋さん(いっとき通いすぎて「いつもありがとう」と言っていただいた時は嬉しかった)、ミスド…
どの場所にもいつかの記憶のつぶがひしめきあっている。
ああ あの時も行ったわね などなど
そんな避暑地のような場所たちに
最近ひとつ仲間入りした。
(と言っても、まだ2回ほどしか訪れてないけれど)
そこは月にたった数日しか開いていない古本屋さん。
初めて訪れた時
店内に微かに流れるharuka nakamuraにときめきが止まらなかった。
(もしも将来何かのお店屋さんを開くなら、私は絶対にharuka nakamuraをかけると決めている。お店を開く予定はないが。)
さほど大きくはない店内に、厳選された本たちが並ぶ。
そのセレクトも良い。
大型書店に置いてないからわざわざ取り寄せたあの本が、ここには古本で置いてあった。もっと早く知っていれば…!
小川糸さんの本が異様にずらっと並んでいたり
82年生まれ、キム・ジヨンが置いてあったり
居心地が良かった。
この古本屋と私はベン図の重なる部分が大きい。
2度目の来店で
そんな避暑地から迎え入れたのは
もちろん小川糸さんの「かたつむり食堂」
(1度目の時は興奮して7冊も抱えて帰った。買いすぎて反省した。)
帰ってから気づいたけれど
その店に広がっていたウッド系の香りが
本にも染み付いている。
本を開くたびに
鼻腔の奥の方で記憶までもが香るのだ。
この夏、何を思って何に悩んだか、
そういう記憶までもが。
(今年の夏はよく近所を散歩したわね とか
はじめたこと ちゃんと形になるか不安だったね とか)
かたつむり食堂が私の部屋に染まるまで
もう少し大事に覚えていようね、と。
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