その欠落こそが僕等の

院生編に突入し、物語は加速する─────







前回までのあらすじ:5名の侍が駅前の鳥貴族に集結

マジでアツい飲み会が開催された。現在の自分がDJと全く同じ境遇(DJと全く同じ境遇になることってあるんだ)であることが判明して魂のハイタッチをしたり、爆乳の女性の身に降りかかった爆乳すぎる故の災難についてみんなで傾聴したり、俺ガイルの女性キャラクターは誰推しかで盛り上がったり(弊アカウントは由比ヶ浜結衣がたまらんです)、非常に楽しかったです。

楽しかったすぎて支払がおひねり制だった。みんな今日楽しんだ分の金額を机に出す。私は3000円BET。明らかに私より困窮した生活をしている先輩が笑いながら5000円札をヒラヒラさせている。アツい。料金は7000円くらいだったのになぜか15000円くらい払った。お釣りの行方は神のみぞ知る。

場所を移動し二次会。教授っちの話で大盛り上がりや!

全員の教授っちに対する見解が、「研究者としては非の打ち所がない位完璧だけど、人間性にはかなりの難あり」で一致していることが判明し、物語は加速する─────



教授っちの嫌いなところ:誰かがデキる行動をしたとき、「○○さんは気が利くねえ~~~~~!!!」「△△くんは仕事ができるねえ!!!!!」と、【私のほうをガン見しながら】言ってくる



ばーーーーーーか笑笑笑笑 そんなんで私は変わらないし傷つかないよん笑

弊研究室には明確にオキニと干されが存在する。意見の内容の質と同じくらい、もしくはそれ以上に「発言者が誰か」が重視される空気感で組織が運営されている。同じようなことを言ってても批判される人と肯定される人がいるところも、もう何度も見てきた。

攻略法は単純で、従順であればあるほど、研究室に遅くまで居残れば残るほど、好感度は上がる。ゼミではいつも言うこと聞かなかった生徒の失敗を揚げ足取り、公衆の面前で見せしめ、「みなさんはこうはなりたくないでしょう」という無言の圧力。洗脳。みんなの前で「そこにいない人」の話をする。「自分も言われているかも」と不安になる。不安にさせたがっている。直接手は下さない。あくまで自分の意志で彼に従うことを選ばせる。精神的な視野狭窄。軋轢。ハリボテの「アットホームな雰囲気!」。

オキニにも干されにもなりたくない。「もっと気に入られたい」「これ以上嫌われたくない」なんかで行動を左右されたくない。私が授業料を払っている限り、相手には私に教育を施す義務がある。それ以上でも以下でもない。自分が先生に好かれているかどうかを考えるのを辞めた。別に嫌われていても研究はできるし博士にも行ける。嫌味な態度を取られたくらいで怖気づくほど素直で健気ないい子じゃないですよーーー

北風がいくら強く吹き付けても、灼熱の太陽がいくら私を照らしても頑なにコートを脱がないけど、好きな人に「こっちも似合いそうじゃない?」と言われたら秒で着替える。私はそういう人間です。

学部生たちに、「修士ガールズと助教のトリオが良すぎる」と言われ、一同ガチ照れ。嬉しい。キャラクターが全然被ってないのがうまいこと嚙み合っていて良いらしい。まんがタイムきららを視聴した感想?

褒められが発生。「いつもネガティブな感情に寄り添ってくれる」と言ってもらえた。自分なりに後輩の力になれるように立ち回りを意識していたんだけど、ちゃんとうまくいっていたことが判明して本当に嬉しすぎる!

私は、なにもできない。数学のテストで恒常的に赤点を取り続けすべての補講に参加していたこと、美術の課題がいつまでも完成しなくて美術部の人たちに「いつ帰るんだろう」と噂されながら放課後の美術室でコソコソとパレットに絵具を広げていたこと、リコーダーがうまく吹けなくて二人一組のペアになって受けるテストで誰も組んでくれなかったこと、体育のバレーボールで私にサーブの番が回ってきたとき相手チームの女の子が「捨て回キター」と笑っていたこと、それを注意した教師も笑っていたこと、生きてきてずっとそんな記憶ばかりだ。大人になってからも、就活サイトで何度もやった自己分析パラメーターはいつも人よりかなり小さめの八角形を描いていた。

おそらく、誰しもに苦手なことが存在する。そして、「苦手」による不安感の発生源に「自分だけできてなくてどうしよう」が、きっとあるのではないかと思う。

私はできないことが多い。みんなができないことの多くが、私もできない。だから、人の「できなさ」に寄り添うことができる。なにもできないけど、「同じくらいできない人」としてずっとそばにいることができる。
後輩が研究室に来ては、統計がわかんないだの分析が難しいだのブツブツ文句を言いながらパソコンに向かっている。私には具体的な解決策なんてなにもわからないけど、「わからない」心情がわかる。不安も焦りも悔しさも諦観も受け止めることができる。「わかんないよねー」、って笑うことができる。ちょっと、いやかなり頼りないけど、失敗ばかり繰り返してきたからこそ、同じ目線で、同じ場所に立つことができる。

欠落さえも武器になるのなら嬉しくなっちゃうね。私の駄目さに救われてくれる人がいるのなら、なにもできない人生で本当によかったよな。





6月のプレイリスト、フォロワーちゃんにだけ内緒で見せてあげるね。


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