「或ル幻想」-裏話と解釈

こんばんは、光彩よぞらです。

ずっと設けたいと思っていた、曲に関する裏話や解釈を公開する場を今回noteを利用して作ってみました。今後も続けていくかどうかは分かりませんが、ひとまず実験的に今作についてお話ししていこうと思います。

先に言っておくと、光彩の書く文章、多分あんまり面白くないです。それでも読んでくださる方はどうぞよろしくお願いします。


「裏話は気になるけど解釈は見たくないんや」という層の方ももしかするといらっしゃるのかなと思いましたので、前半で裏話、後半に解釈...という構成にして、解釈を見たくない方は最後まで読まなければ見ずに済む、という形式にしてみます。手探りになってしまっているのと、もし読みづらくなってしまっていたら申し訳ございません。


今作「或ル幻想」、もう聞いていただけたでしょうか。

まだの方はぜひこちらからどうぞ。

https://youtu.be/GQa8PXwcA9A



今作「或ル幻想」は、「ボカコレ2021秋」というイベント期間に投稿した作品です。

今まで、以前開催されていたボカコレやボカコレで染まったTwitterのタイムラインを見ながら「次回こそは参加できたらいいなぁ」と思いつつ、制作が間に合いそうになく不参加...みたいなことを続けていました。

今回も例に漏れず制作の進捗が良くなく、「間に合わんわ〜〜〜こりゃ不参加だ〜〜〜〜」と諦めていたのですが、ボカコレ内での「#PictureList」という絵師さんが動画絵使用OKなイラストを投稿できるハッシュタグを眺めていたところ、今作の動画絵を描いていらっしゃる毛ェさんのイラストに辿り着きました。

非常に鮮やかで、真ん中に描かれた人物の明るい笑顔が印象的なイラストです。こちらを見た瞬間に、今作の1:17~あたりの「ぱっぱぱっぱぱっぱぱっぱ...」と歌うflowerとコード弾きのピアノのフレーズが思い浮かびました。一瞬でした。毛ェさんのイラストのパワーすごい。

そこからピアノのイントロを作り、勢いのままに曲を完成させました。曲自体は3時間くらい、音源が完成するまでも1日ちょいだった気がします。前作でもミックスを担当してくださった知人Aさんにも、連絡した時めっちゃ驚かれました。そりゃそう。


前作「さいごって言葉が嫌いです」の時もそうだったのですが、最近はメロディと歌詞を同時に考えることが多いです。今回もイラストと睨めっこしながら、「この人物はどうしてこんな笑顔なんだろう?」というところから歌詞を広げていきました。

途中、ぱっぱぱっぱの前に「僕らは異常だ、異常だ それ以上でも以下でもないとわかっているさ」という歌詞とメロディを打ち込んだ後に、このフレーズ結構よくね?となりそのままサビに流用しました。汎用性。この曲のテーマを一番強く歌っているフレーズが、Bメロ(と呼んで良いのだろうか)で生まれたことに自分でも少しびっくりしています。こういうパターンもあるのかと個人的に新たな学びを得ました。



歌詞を流れで書いているときあるあるだと思うのですが、「同じ単語が同じ段落で何度も出てくる」みたいなのがこの曲であちこちで見受けられる気がします。これはすみません、あるあるだと前述しといてなんですが意図的です。

この曲には、私の曲としては珍しいのですがストーリーの時代背景的なものが決まっております。その時代のその状況だからこそ生まれる同調圧力というか、集団心理というか、そういうのを表現したくて同じ単語を多用しました。「僕ら」というクソデカ主語(?)(多分違う)がよく出てくるのもこの理由です。個人的にめちゃめちゃ上手く歌詞が書けたと自負しております。当社比ですが。ええやん。

曲を聞く際も、ぜひその辺りに着目して歌詞を聞いていただけると、曲の意図に気づけたりするのかなぁと思います。また新たな視点で曲を捉えられるかもしれません。



裏話としてはこんなところでしょうか。実は今午前4時にこれを書いているのですが、この後4時間後に起きてアルバイトの準備をしなくちゃいけないという現実が待っています。知ったこっちゃありません。書き始めたら止まらないのよ許してくれ。

「或ル幻想」、個人的にも大満足な出来の大好きな曲です。どうぞよろしくお願いします。

以下、歌詞に関する細かい解釈となります。現在の自分の持つ解釈や印象を崩したくない方は読まないことをお勧めします。







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今作のテーマは「戦争による終末、その現実を受け入れることができない人達の現実逃避」です。重い。

毛ェさんのイラストを見た時「どうしてこの人物は笑顔なんだろう」と考えたと前述しましたが、私が導いた結論は「どうしようもない現実から目を背けている、現実を明るい楽しい状況だと歪曲して受け入れている」でした。


以下、歌詞とそれに対する細かい説明を連ねます。



・・・

『ごらん、空が揺れて
赤が咲いて
世界が綻びを見せる様

綺麗だと人は言ったんだ
踊るような終末』

・・・

時期は戦争が起こっている、終戦に近づいている夏です。

爆撃の音が鳴り、ドオンと空が揺れ、あちこちで火が上がります。何人もの人々が爆撃に遭い亡くなります。血が流れます。平和なんてものはどこにもないです。


人々はもう追い詰められていて、爆撃の炎が上がっているのを「紅葉が咲いている」と見てしまいます。現実を受け入れられません。幻覚です。


・・・

『僕らは相当な数の傭兵だ
街の全貌を促すように
全てを赤に染めていく
僅かな思いは消えていく

からね』

・・・

「僕ら」は戦争で戦う兵士、あるいは逃げ惑うたくさんの人々を「大人数の軍隊の傭兵」と表現しました。

街はどんどん炎と血で赤く染まっていきます。

もっと生きていたかった、平和に暮らしたかったという思いも戦争は全てかき消していきます。


・・・

『僕らは異常だ、異常だ
それ以上でも以下でもないとわかっているさ』

・・・

幻覚を見ている人達、心のどこかで「自分が現実を受け止めきれていない」「この景色を紅葉だと言っている僕らは異常だ」ということに気づいています。でもそう思ってしまうしかないほど追い詰められています。


・・・

『踊るように
ぱっぱぱっぱぱっぱぱっぱ』

・・・

人々は幻覚、幻想を見ているので、空襲の様子、爆弾が落ちてくる様子もどこか無声映画を見ているような、他人事のような、上の空のような気持ちで見てしまいます。あえてぱっぱぱっぱという現実とはかけ離れた音として表現しています。



・・・

『僕らは異常だ、異常だ
それ以上でも以下でもないとわかっているさ
天と地は赤く赤く染まる
ぬるい風が吹き荒れる

僕らは異常だ、異常だ!
それ以上でも以下でもないとわかっているさ
こんな足ではもう歩けない
もっとこの景色を見ていたかったな』

・・・

先ほど同様、やはり現実を受け止めきれていません。戦争は続きます、どんどん僕らの世界が終わりに近づいています。

異常なことにはもう気づいている、それでももう異常なままでいさせてくれ、と願う悲痛の叫びとも取れる声ということで、最後の段落では「異常だ、異常だ!」とエクスクラメーションマークを入れてみました。だいぶ効果を発揮している気がします。

戦争で負った怪我もあり、もうどこにも歩いていくことはできません。死期だと悟ります。

「この綺麗な紅葉をもっと見ていたかった」「でもこの紅葉が本物だったらどれほど良かっただろう」という主人公の小さな呟きとも取れる一文で、この曲は終わります。


・・・



「僕ら」は本物の紅葉を見ることが叶いませんでした。彼らが見ていたものは、曲のタイトルにもある通り、とある幻想の一つなのです。


幻想を見ているということで、曲調は明るく、でもほんの少し寂しさも感じ取れるものを目指しました。

サビで「僕らは異常だ!」と叫んでいるのとイラストの人物の笑顔、何気に親和性がすごく高く仕上げることができたかと思います。この絵があってこそのこの曲です。毛ェさんにこの場を借りて感謝申し上げます。


人は、あまりにも追い詰められた状態になると一周回っておかしくなってしまうんだと思います。それは別にこの曲内の話に限ったことではなくて、その昔にも、何なら現代の私たちの身近でもあると思うのです。自分たちはそうだと思っていなくとも、部外者から見てみると異常な光景だった、という状況、実際よくあると思います。

ただこの曲内の人達はあまりにも切羽詰まっていたといいますか、現代や別の時代の話とはまた状況が違って、前向きな幸せを感じられるような幻想を見ています。そんな状況、はたまた最期くらいは、たとえ異常だったとしても幸せを感じていてほしいなという曲です。うーん難しい



みんなみんな幸せに生きてほしいな、と切実に願うばかりです...という曲です。案の定重く暗い内容で申し訳ございません。


おそらくここには書ききれていない曲や歌詞へのこだわりもあるかと思います、「これも伝えたい!載せたい!」と思ったら思い出し次第加筆します。



時刻は4時半を回ってしまいました。明日寝坊しないか心配です。

重ね重ねとなりますが、大好きな曲、たくさん聞いていただければと思います。ここまで読んでくださりありがとうございました。




追記 無事寝坊回避しました✌️✌️

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