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ぶらり 美術さんぽ~ルーブル美術館展~

なんだか出かけたくなった、
友達との遊ぶ場所に悩む、
そんな時に美術館に行くのはどうでしょう?

今回はルーブル美術館展をご紹介。

ルーブル美術館展「愛を描く」

愛は長い西洋美術史で屈指の題材の1つ。
多くの画家が愛をテーマに様々な作品を制作している。
一言に愛と言っても純愛、親子愛から秘密の愛だってある。古代ギリシャでは愛には8種類あったとされている。
様々な愛の形を素晴らしい作品と共に見れるのがこの展覧会の魅力の1つであろう。

ここからは展覧会で私自身が気に入った作品を紹介しようと思う。

驚異的な画力が見せる立体感

《ニンフとサテュロス》
アントワーヌ・ヴァトー
1715-16年/油彩・カンヴァス/73.5×107.5cm

美しい女性が寝ているのを覗き込む男性。女性の美しさが男性によってより引き立てられている。二人の人物の対比を徹底的に行なったこの画面が官能的な雰囲気をより引き立てている。
画家のヴァトーは自然な人を描くのがうまく、その絵画はまるでフィギュアがおいてあるのかと思うくらい立体的なのである。触れられそうなほどの立体感は本物を見るとより感じられる。女性のウエストの凹み具合、重力に従い落ちる腕、正面を向く足。どこを見ても見惚れるほど美しいと感じる。
これが会場の照明が当たると女性の肌がよりつややかに感じることができた。

人と神の純愛

個人的に一番好きな題材の神であるアモルと人間の少女プシュケの純愛の物語。

プシュケはとても美しく、女神ヴィーナスがその美しさに嫉妬してしまう。ヴィーナスはアモルに「プシュケを最も醜い男に恋をさせよ」と命令をする。
しかしアモルのうっかりミスでアモル自身がプシュケに恋をしてしまう。
その後2人は結婚するのだが、2人の間には困難が待ち受けている。
その題材から2作品を紹介。

《眠るアモルを見つめるプシュケ》
ルイ=ジャン=フランソワ・ラグルネ(兄)
1768年/油彩・カンヴァス/直径121cm

薄暗いランプの照明の中で愛おしそうに寝姿を眺めるプシュケ。気づかずに穏やかに眠るアモル。
アモルは人間じゃないため、夜の暗闇に紛れ姿を隠してプシュケに会いに来て、自分の姿を見ないように約束を交わす。
しかしプシュケは愛おしい相手の姿が見たくて、こっそりと明かりをつけて見てしまう。

この絵の後、アモルが起きてしまうことで約束を破られたことでこの場を去ってしまう。
愛しの夫を失ったプシュケは旅に出る。

《アモルとプシュケー》または《アモルと最初のキスを受けるプシュケー》フランソワ・ジェラール1798年/油彩・カンヴァス/186×132cm

沢山の試練のある旅の最後に、プシュケは開けるなと言われた箱をあけてしまうことで眠りについてしまう。そしてそれを目覚めさせるのが愛しの夫、アモルのキス。そんなクライマックスの美しいシーンの絵画だと思っていたのだが、公式図録の説明は少し違うらしい。

「ジェラールが描くことを選んだのはプシュケが発見される瞬間ではなく、醜悪な生き物と告げられていた夫から、最初のキスを受けたときの若い娘の驚きであった。甘いキスと愛の芽生えが神託の予言と対照をなし、彼女の顔には問いかけるような表情が読みとれる。」

ルーブル美術館展公式図録 P.206

つまりクライマックスのシーンではなく、2人の出会ったシーンを描いているのだろうとしている。
こうやって見る人によって考えや見方が変わってくるのも面白いものでは無いだろうか。

最後に

みなさんも友達と一緒に美術館にいくのはどうでしょう。最初の作品のように自身の気に入った部分についてや、最後の作品のように食い違った意見について語り合うのも楽しいもの。それに友達と話しながら見るとより自分の中でも考えが広がり、新しい部分が見えてくることも多い。
ぜひ友人との遊び先候補にいれてみてもらいたい。

この記事が美術館の敷居が下がって気軽に友達と楽しんでもらえる始まりになればいいなと思う。

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