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こどもたちの隣りで。

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保育士をするなかで感じたこと、考えたことを綴っています。
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うみのこの子どもたちが出会った、鬼の話。

子どもにとって、節分の日は鬼がきてこわい日? 大人が子どもを怖がらせる日? そもそも節分は、邪気を払い、無病息災を願う行事。「いつもやんちゃな子どもたちを怖がらせちゃおう!泣かせよう!」なんて日ではないわけです。 そこでうみのこでは、うみのこならではの節分を毎年考えています。 (去年の節分の様子と、その後の子どもたちの会話はこちらから↓) *** 今年もそろそろ節分のことを考えようかなぁと思っていた、1月下旬。山に遊びに行っていた子どもから、「前にケタロウ(山の中につく

自然のなかへ。

うみのこ親子山登りチャレンジ! 子どもたちが一年たっぷりと遊び、過ごした逗子の自然を、保護者のみなさんとも一緒に楽しみたいという思いからスタートし、今ではうみのこの冬の風物詩にもなった「親子山登りチャレンジ」。今年も1月中旬に開催しました。 親子で山へ入るタイミングは、一年を通して、どの時期でも楽しく、素晴らしいものになると思うのですが、こうして一年をかけてじっくりと自然と仲良くなり、山を歩く力をつけたタイミングで行うと、お父さんお母さんが思わずびっくりするような子どもた

わたしたちの運動会。

「子どもの気持ちや姿が真ん中にある、運動会をしよう」という想いから、子どもたちと種目を決め、遊びの中で経験をし、当日を迎える運動会も、今年で3度目の開催になりました。 年に一度のことではあるけれど、子どもたちの中にも積み重ねてきたからこそのイメージや思いがあるようで、「今年もうんどうかいしようと思っているのだけど…」と相談をすると、「やろうよ!!」「こんなことしたい!」「これはどう?」と前向きなさまざまな提案がありました。 〈やってみたい事はある?〉 ・鬼ごっこ ・リ

強さ・弱さってなんだ?

26人の子どもたちが生活をする、逗子の小さな保育園「うみのこ」。季節が夏から秋へと移り変わり、自然が変わりゆく姿を見せてくれるように、ここ数ヶ月で子どもたちの姿にもぐっと変化があったように感じています。 特に子どもたちの関係性の変化は大きく、目には見えないものなので言葉にするのが難しいのですが、それぞれの繋がりがやさしく、つよく、しなやかになって、気持ちの良い空気が流れています。この変化をうんだ一つのきっかけは、夏のはじまりにした対話だったと思う。 強い人、弱い人って

「とって、食う」がある暮らし。

とって食(く)う。ー こんなにたのしい自然との関わりって、なかなかないよなあと思う。 季節を食す春から梅雨にかけて、うみのこの子どもたちの毎日は「とること、食べること」から、はじまっていました。 海でとったハゼとエビに片栗粉をまぶして唐揚げにし、拾ったわかめは茹でて食べる。 山を歩くと、こちらがびっくりするくらい上手に野いちごや桑の実を見つけ、口いっぱいに頬張るし、木に登っては枇杷をとり、野草を摘んで帰っては天ぷらにする。 嬉しくて、誇らしげな、日々の暮らしの中に

「あ、しんじゃってる」ー 生き物の命と子どもについて思うこと。

子どもと生き物の関わりを目の前に、心が揺れることがよくある。特に小さな命への向き合い方や扱い方に関して、子どもは時に(大人から見たら)とても残酷だ。 ぎゅっと握りすぎて潰れてしまったバッタ。列をつくって移動していた蟻は踏み潰され、その横ではだんごむしがスープになっている。虫かごの中には、忘れ去られ動かなくなった蝶々、カタツムリ、干からびたミミズ。 「なんだか苦しそうじゃない」 「もう少し優しい手で持ってみよう」 「最後には逃がしてあげようね」 「命は大事だよ」 大人が

私の「わたしのすきなところ」

お医者さんが来て、心臓の音を聞いたり、あーんと口を大きくあけて、口内を見たりするのが一般的な健康診断のカタチだと思うが、それだけで済ませてしまうことになんとなく違和感を持っていた。 というより、勿体無いなあと感じていたという方が近いかもしれない。健康診断って自分の身体に目を向けるような時間になってもいい機会なのだから、何かできるといいなあと。 そんなことを思っていた時、ああ、すごく素敵と出会ったのが、軽井沢風越学園で行われていた健康診断でした。 ほっちのロッヂという

最後の日は、あたりまえの日常。

2021年3月26日、金曜日。2020年度、うみのこ最後の日。 みんなといっぱい遊びたい、この子と過ごしたい、ここで遊びたい、こんなことしたい、うれしい、たのしい、さみしい・・・きっといろんな気持ちを抱いているんだろうなあと思う、子どもたちの表情や姿に出会う一日でした。 その一方で、彼らにとってはこの最後の日という特別な日も、何気ない日常と変わらない日なのだ、と感じる場面もたくさんあった。 たとえば、うみのこの大人たちは、“最後の日だし、みんなで遊べてもいいよねぇ。

冬のうみのこ、どう過ごしてる?

いつの間にか春、夏、秋、3つの季節が過ぎ去り、逗子にも寒い冬が訪れています。 外もそうですが、うみのこの園舎「うみのじどうかん」は古民家なのでとにかく寒い!特に足元から冷えてきて、私は厚手の靴下にもこもこのスリッパがなくてはやっていけないのですが、室内に入るとなぜか靴下を脱ぐ子どもたち。・・・ほんと逞しいです。 さて、いつも海や山、園外のフィールドへ飛び出して過ごすことの多いうみのこですが、この時期はどう過ごしているのか。 以前、梅雨と夏の季節の生活をnoteに書き

本番じゃないところで、変化と成長は起こってる。

大人のゴール、子どもたちの日常「子どもの気持ちや姿が真ん中にある、運動会をしよう」と、子どもたちと種目を決め、遊びの中で経験をし、当日を迎えたうみのこの運動会。 まずは無事開催できて、本当によかった。 無事とは言っても、大人が前に立って教え込むような練習はしてこなかったので、子どもによってはほぼぶっつけ本番の種目があったり、当日になって「やらない」を選択する人もいました。海岸という公共空間で行ったこともあり、思いがけないハプニングや当日のドタバタも付き物です。 一人

運動会、どうしよっか。

「そもそも、運動会する?」 去年、開園一年目だった うみのこ では、まず大人たちでそこから話し合いをした。 基本的に「みんなで何かに取り組む」ということに、わたしは消極的になりやすい。 どうしても、やりたくないの人が大事にされない感じがあったり、日常の生活からそのイベントに向けての日々になってしまうことに違和感を覚えるからだと思う。 でも、運動会などの取り組みを日常や子どもたちの興味関心から切り離したものとして実施するのではなく、あくまでもその延長にあるものとして捉え、設

好きでつながり、集えると。

保育園は、地域で暮らす人たちの場私が保育士をしている「うみのこ」には、毎日25人の子どもたちが通っていて、25人分だけの“それぞれ”がある。 スキなことも、25通り。 イヤなことも、25通り。 考え方も、感じ方も、25通り。 それだけでも、まぁ多様なことと思うのだが、保育園に関わっている人は、子どもだけじゃない。 保育者、保育サポーター、食堂のスタッフ。少し視野を広げると、地域の方々だって保育園というコミュニティに関わり、形作ってくれている。 保護者のみなさんだっ

みんなは保育園に何持ってきてる?友だちにあげる/あげないはどうやって決めてるの?

うみのこの持ち物は、 ・水筒 ・帽子 ・着替え それ以外にも、海に入りたい人はウエットや水着を、森や磯で生き物を探したい人は虫かごや網、釣ざおを持ってきていたりする。 最近はそこに加えて、 ・ぬいぐるみ ・ビー玉 ・キラキラした小さなもの ・ミニカー ・家でつくった割り箸てっぽうや剣、ペーパークラフト ・捕まえた虫 基本的に“持ってきちゃいけない”というものを設けていないので、本当にまぁいろんなものを持ってくる。 今この文章を読んでくださっている方の中には、なんで禁止

移り変わる「きーめた!」を楽しめる日々を。

「なるべくルールは作りたくないよね」 そう思いながら日々子どもたちと生活をする、逗子うみのこ。 でもそうすると、まあ大変なこともある。今保育者はこうしたいけど、あの子はそれはしたくない。これ終わるまでは、なにがなんでもやめないよ、なんてこともしょっちゅうある。 だからその都度「私はさあ〜」とこちらの思いを伝えたり、お願いしたり。時には「まあいっか」って大人のこうしたかったを手放しながら、(うまくいかない時もあるけれど)“一人ひとりのわたし”を大事にしながら、“