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あたたかい拍手

あたたかい拍手もらっているところ  弘津秋の子(『アリア』)

この秋の子さんの句を本当によくたびたび思い出すけれど、こういう瞬間をいつからか人は覚えていて、だからなんとなく春の野のような長く広い場所をどこまでも歩いてゆくことができるのかなあと思ったりもする。

手と手を叩くことって、手と手を叩くことにしかならない。それがいい。意味にもならない。手紙にもならない。手にしかならない。

人に手を叩くなんて不思議なことをするよね、人って、と思ったりもするけれど、人が叩いた手の祝福の圧をからだはずっと覚えている。ずっと意味にならない無数の手の中をおじぎしながらどこまでも歩いていく。

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