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君は私じゃないね
種を取る君は私じゃないけれど 竹井紫乙(『菫橋』)
ときどき私は私が君より君であるような気がして、君の眼でいろんな風景を見た気がしたし、君の手でペンを握って書いていたような気もした、君の声で確かに「おはよう」と言ったとも、だから何度か私は「君は私じゃないけれど」と口に出す作業が必要で、私はそのたびに君から「わかってるよ」「知ってた」と言われたけれど、でもそれでも私は君に貼りついてゆくときがあって、これはどうしようもない、そういう私のお化けみたいなものがあって、私の力じゃどうしようもないと思ったりもした。種を取っている。
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