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自転車で旧東海道(国道1号線)を辿る旅memory①

これは、私が自転車で国道1号線沿いを東京都から滋賀県までの旅行記である。
記憶が鮮明なうちに残しておきたかった。
実際にかかった費用や選んだアクセサリなどについては、
また別の記事を書くつもりだ。 


Day0 -思い立ったが吉日-

きっかけ

春先くらいのことだったろうか。
「自転車で東京からここまで走ってみたい。」
そう口にしたのがきっかけだった。
幸い私の友達はノリが良く、一緒に付き合ってくれるという。
自分合わせて4人。自分、K、S、Y。メンツは揃った。

ブラックフライデーのディスカウントセールの波に乗じて、
私は7万のクロスバイクを購入した。
大学に通う自転車を持っていなかったから、長く使うと考え、良いものを…
昔から目新しいことが好きで、変わったところにお金をかけてしまうのだ。

そしてこの12月に旅をすることとなった。

宿決め

事前に1人の家で鍋をしながら作戦会議。
議論はもっぱら、1日目の宿泊地だ。
箱根か箱根湯本か、それとも小田原か。
下調べで、箱根の山越えがこの旅の中で一番きついことは想像がついている。
箱根の山越えを1日目の夜暗い時間にするのは無謀という結論に。
距離的に見れば明らかに小田原が無難だ。
小田原ですら90km以上ある。
どうしても温泉宿に泊まりたい我々は、
5kmだけ小田原から足を伸ばして、箱根湯本に宿泊することに。
想定は5日間。
3日目までの宿を確保。
平均すると1日90kmほどの行程だ。
念の為、旅が6日になっても良いよう、全員次の日の予定はフリーにしておいた。

前入り

私はひと足先に出発の2日前に自転車を受け取る。
店員さんから一通りの説明を受けて、防犯登録もバッチリ。
チェーンロックなどのアクセサリを購入。1時間半ほど。
近くのコインパーキングにとめて準備完了。

あとは仲間の自転車たちがスムーズに受け取れるかどうか心配だ。
店員さんの言葉を文字起こししてLINEに投げた。
彼らの受け取りは12時からで、出発は2時を回るだろう。
そこから箱根までの90km オーバーの道のりが長い。
午前の時間が使えないゆえ、1日目が一番時間的余裕が少ないと見た。

Day1 -日本橋〜箱根湯本-

浅草寺

出発日当日、荷物は最低限に。
全員で浅草寺の雷門前に朝10時集合。
肌寒いが綺麗な冬晴れ。

ここで事件が。
続々と集まってくる中、
LINEでは一番最初に駅に着いたと発言したはずのYが来ない。
15分ほど遅れて彼がやってくる。
雷門をどうやらスルーして奥まで行っていたらしい。
初見でも雷門くらいわかるだろうが。
まぁ、彼は関西の人だ。多めに見てやろう。

平日のこの時間でもこんなに多いのか浅草寺。
外国からの旅行者でごったがえす。
浮いているのは、やけにスポーティーな装いの日本人4人、こっちの方だ。

ここに来たのは、ほかでもない、この旅の安全祈願のためだ。
お参りをして、おみくじを引く。
自分が大吉、他が大吉、吉、凶。
浅草寺は凶ばかりだと聞いていたから驚いた。
凶がでたSは課金しておみくじの結果を上書きしたいらしい。
結局Sは3回目で吉を引き当てた。大人気ないけどまぁいいか。

自転車店舗

カレーを食べて腹ごしらえ。
そして12時、3人の自転車の受け取りへ。
他3人の自転車はロードバイクだ。
自分が買ったクロスバイクよりも、
より速く走ることに焦点を当てて設計されている。
ここが自分の心配ポイントだ。
スピードについていけなくて、自分だけ体力が尽きてしまうこと。

3人の自転車受け取りは時間がかかった。15時ごろに出発となった。
宿の最終チェックインが22時。間に合うのか?

日本橋〜戸塚

日本橋で写真を撮る。15:18。
東京タワー前を通過。15:43。
多摩川を渡るころには16時半を回っていた。

東京近辺は自分がgoogle mapを頼りに先導する。
東京近辺はとにかく危険だ。
自転車店の店員さんが教えてくれたその通りで、
タクシーなど、進路変更、停車、発進する車が多く、想定外が多い。
車の交通状況を見ながら走行する。

途中コンビニで休憩を挟みつつ、先頭を交代しながら進む。
横浜付近までは一本道でわかりやすい。
横浜中心部はYが先導してくれるそうだ。
完璧なルート案内で横浜駅の北側を抜けていく。

戸塚駅付近で自分が先導の番、
ここらから1号線を自転車では通過できない区間が増えてくる。
自分が自転車が入れないところに危うく入りかける。
しかし、他の3人がしっかりカバーして止めてくれる。

戸塚〜箱根湯本

箱根駅伝で有名な遊行寺の坂を下る。
1号線の藤沢バイパスは危険なため、1号線を離れ、藤沢駅方面から県道30号線経由で海沿いの国道134号線へ出る。
明らかに自分が一番足の疲労が溜まっている。明日以降が不安だ。
自分が先頭になり皆についてきてもらう形をとる。

藤沢駅付近でモバイルバッテリーおよび携帯電話の充電が切れる。
まだ箱根駅伝なら3区の序盤なのに。
足の疲れでスピードこそ出なかったが、国道134号線は走りやすかった。
街灯がほとんどなく暗い134号線。
134号は思い出の道だ。
逗子から江ノ島の間は何度も自転車や車で走ったことがある。
この区間は、道幅こそ狭いものの、美しい湘南の海が見渡せる。
サザンオールスターズの歌詞に出てくる地名も多い。

やっとの思いで小田原付近に到達、しかし絶望の雨が降り始める。
コンビニ休憩をとるごとに、Kが旅館に電話をかけてくれる。
22時には間に合わないが、少しの間待ってくれるそうだ。
宿にこれ以上迷惑をかけたくない焦りからか、気づいたらKが先導している。

小田原から箱根湯本までの道が険しい。
足が壊れて明日以降に響かないように走ってる自分が嫌になりそうだ。
雨脚も強くなってきた。

悲劇

そして悲劇は疲労の溜まった最後に訪れる。
しっかりと凶を引き当てたSに。
箱根湯本駅を通過して最後の一息というところ、
そこそこの急勾配から右折する地点、先頭のKが突如急ブレーキをかける。
それに合わせて2番目を走っていたSも急ブレーキ。
Sの左後方を走行していた自分もなんとか止まることに成功。
しかし、その直後、Sが後進を始めた。
Sが自分の車体の右横まで来たところで左方向に転倒、
Sが自分の車体の中央下部に乗りかかるような形になった。
SはYに介助してもらいながらなんとか起き上がる。
謝るK。
自分は、自分の自転車の損傷が無いか不安で仕方なく、
声を荒げないことで精一杯だった。
Sを気遣うことができなかった。
申し訳ない。自分の小ささを感じた。

宿までは、残りほんの少しだけだったが、最後の急坂が我々に絶望を与える。
「明日は、この坂を登っていかなくてはならないのか。」
「今日寝るのは何時になるのだろう。」
「温泉宿に泊まったが、温泉に入ることは無理だろう。」
「今日の夕飯にはありつけるのだろうか。」
Sはギアが動かないと言う。
Yは彼に付いて自転車を押して歩いてくれている。

ぐっすり

宿に着いた。23時を回っていた。
Yはこういうときに場を和ませることができる人だ。
自転車が壊れたかもと嘆き心配するSに、
とりあえず着いたことを喜ぼうと言う。

部屋にあった和菓子が今宵の唯一のご飯だ。
順番に部屋のシャワーで汗と雨を流す。
KとYはなぜか自販機のビールを買って乾杯していた。こいつら元気かよ。
Sははちみつゆずのドリンク、自分は白ぶどうゼリードリンク。
本当に限界の人たちに酒を飲む余力はなかった。

Kのお父さんは自転車について明るい。
Sの自転車の故障は、一旦写真だけ撮ってKの父親に送った。
明日、日が出ている朝に修理することにして、とりあえず今日は寝ることにした。
もう25時だというのに、
自分以外の3人は、朝6時半に起きて温泉に入りに行くらしい。
明日筋肉痛じゃないといいな。

記録

Day1(日本橋〜箱根湯本)
移動距離 97.5km







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