ふるあめりかに袖はぬらさじ レポ
内容を忘れないように、レポートを書き残して置きます。
各幕ごとに順を追って、個人的に印象に残ったシーンをまとめています。
感想のみの方もまた別で上げたいと思います。
一旦、記録用に。
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【主な登場人物について】
○お園(大竹しのぶ)
三味線芸者。
亀遊は吉原から流れてきた昔馴染み。
お喋りで非常に弁が立つ。
○藤吉(薮宏太)
通訳を生業にしている青年。
亀遊に想いを寄せる。
○亀遊(美村里江)
遊郭「岩亀楼」に勤める花魁。
元々は吉原にいた花魁、お園とは昔馴染み。
藤吉に想いを寄せる。
○岩亀楼の主人(風間杜夫)
情の欠片もない商人。
計算高く、常に儲けを考えている。
愛嬌◎
○イルウス(前川泰之)
アメリカからやってきた商人。
一見気さくに見えるが、遠慮なく割と強引。
金や権力で自分の欲望を押し通す面も。
○岡田(山口美味木也)
思誠塾の門人。
思誠塾の中では監査的な立場。
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【時代背景】
文久元年11月(1861)~慶応3年7月(1867)
幕末であり、激動の時代だった。
【用語】
岩亀楼
…横浜開港の5ヶ月後に開業した「港崎遊廓」の中に実在した妓楼。
唐人口
…外国人を専門とする遊女。
日本人口
…日本人を専門とする遊女。
禿(かむろ)
…位の高い遊女に仕える見習い幼女。
勤皇
…天皇に忠義を尽くし、徳川幕府を倒そうとした一派。
佐幕
…幕府を支持して存続に協力した一派。
攘夷
…外国人を追い払おうとする運動や考え方。政治的な思想。
労咳
…現在でいう結核。明治になってから「結核」が正式名称となった。
気鬱
…気分が沈んで優れない様子。昔は全身的な気の停滞を「気欝の病」などと呼んだ。
おしげりなんし
…「どうぞお楽しみください」という意味。遊郭の使用人が客にかける言葉。
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1幕について
・お園と亀遊
どんな入りなのかとドキドキ。
お園さんが窓を開けてお顔を出し、外の景色を眺めるところから始まりました。
ここ、暗転した状態の舞台を生かしてるんですよね。面白い演出でした。
病で床に臥せっている亀遊(きゆう)と、その面倒を見ているお園さん。
もうこの時点から既にお園さんの台詞の量がとんでもなくて、大変驚きました。とにかく喋る。喋らなかったら死ぬのか…?と感じるくらいお園さんはお喋りさんな方でしたね。
ちょっとお節介なところとかお喋りなところもあるけれど、優しい人でもありました。
亀遊の見舞いにゆで卵とお茶を持ってきていました。「ゆで卵?」と思うかもしれませんが、当時は卵は高級品でしたし、大事に思っている亀遊の見舞いにと奮発したのかもしれませんね。
そして気も口も回る。流石あの世界で生き抜いてきた芸者さん。「お茶はちょっと冷えてるけど我慢してくださいね」と一言添えて。
そんなお園さんの優しさや気遣いに、亀遊は「地獄に仏…」と涙を流します。
「お園さんの親切が嬉しくて」と話す亀遊に、「嬉しい時は笑うもんですよ!」と返すお園さん。このカラッとした気質も素敵ですね。
・藤吉の登場
そしてここで、薮くん演じる藤吉(とうきち)が登場します。
「ごめんなさい」と襖を開けて現れたのですが、やはりスタイルもお顔も最高にいいし、衣装も大変お似合いで。薮くんじゃなくて、藤吉でしたね。素晴らしい。
お園さんにあまり強く出られない役なのかと思っていましたが…。お園さんに少し軽口を叩いたりできるくらいの関係なのか!と少し驚きました。
お園さんとのやり取りを通じて亀遊が笑うと、「笑った!見たか藤吉さん!」と驚きつつも嬉しそうなお園さん。
吉原からやって来て3ヶ月ほど経つのに、お
園さんが亀遊が笑ったところを初めて見たというのが、もう泣けてしまいますね😢
・藤吉の夢
実はこっそりと亀遊へ薬を届けていた藤吉。
藤吉は通訳をこなす傍ら、蘭学も目指していることを2人に打ち明けます。彼の立ち居振る舞いから、真面目な性格なのが伺えますね。そして勤勉なのでしょうね、あの時代にあれだけ英語を理解して話せたのですから。
それからして、まだまだお喋りが止まらないお園さん。亀遊の事は禿の頃から知っているというお話から色んな話題へ。
藤吉と亀遊はちょっと苦笑いのような表情を浮かべていたような気がしました笑
マシンガントークがまた始まった…?って感情なのでしょうか、絶妙な表情でした😌
そしてやはり、本当にしのぶさんの台詞の量がとんでもないなと。まだ1幕なのに。流石の女優さんですね…!
・藤吉の志
亀遊が部屋を少し出ている間に、少し話をするお園と藤吉。
亀遊の病が良くなってきているのは蘭学の薬だけではなくて、藤吉の存在もあったからだと伝えるお園。恋ができるのも命あってのものだからね、と。お園さんも芸者としていろいろな場面を見てきたのでしょうね。胸が痛くなりました。
けれど、仕事や立場もある為に「妙なことは言わないでください!私は芯のある人間です!」と、亀遊との関係を否定する藤吉。
「志」という言葉を聞いて、「勤皇!?佐幕!?」と動揺するお園さん。
弁明する藤吉。彼の言う「志」とは、ドクターになること。その為に、船に乗ってアメリカに渡るつもりだと言うのです。
・藤吉と亀遊
(ここで、お園さんは一旦退場)
ようやく2人きりになり、少し会話をする藤吉と亀遊。
お園にバレてしまった為、仕事の手前これからはあまり見舞いに来ることが出来ないことを亀遊に伝えますが…
「貴方が来てくれないのなら、もう薬は飲まない…」と悲しげな声で話す亀遊。自分に生きる気力を与えてくれた藤吉と会えなくなるのですから。そんな言葉も出てしまうくらい、亀遊にとって藤吉は特別な存在だったのでしょうね。
これに対して「女ってのはどこかで話が飛ぶもんだな…」と小声で言っている藤吉。ここなんかぶっ刺さりましたね。最高。
結局、お園さんは信用して大丈夫なはずだと諭されて一旦納得した藤吉でした。
藤吉が薬を飲ませてやるシーンがあるのですが、2人の最高に可愛らしいやり取りに思わずニコニコになっちゃいました🤭
藤吉に「茶碗は自分で持って置いた方がいい」と言われて、茶碗持って薬を待つ亀遊がちょっとうずうずしててとにかく可愛らしい。
藤吉「口開けて。あーん…」
亀遊「あーん…」
なんだこのやり取り?尊くて可愛い苦しい…
ってなってたら、戸を少しだけ開けて2人を覗き込むお園さんがいました🤣
お園さんは瓦版を借りに来たと話していましたが、待ってたよね、タイミング狙ってたよね🤣
・亀遊の本名
お園さんも去り、店に戻ろうとする藤吉。
そこに「どうやってお礼をすれば良いでしょうね…」と声をかける亀遊。実は先程の藤吉の夢も聞いていました。自分は借金塗れで何も力になってやれないと嘆くその姿が悲しくて。
そんな藤吉へ自分の本名を伝える亀遊。
「本名はちえって言うんです、その名で呼んでください…」と縋る亀遊。そしてそれに本当に小さな掠れたような声で「ちえ…」と応え、抱きしめる藤吉。
こんなにも想っているのに亀遊を身請けする程の金も作れないし、捨てきれない夢もある藤吉と。藤吉に想いを寄せながらも、借金塗れで逃げ出すことも出来ず、病が良くなれば花魁としての仕事もこなさなければならない亀遊と。
どうしようもなく悲しくて。このシーンはもう、涙がぽたぽた零れてしまいました。
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2幕について
ここからはイルウスと大種屋の商談のシーンでしたね。
私はここの、1幕終わりから2幕始まりの舞台の移り変わりが見ていてとても楽しいし、ここ好きだな〜!って感じました。
芸者達が三味線や踊りの稽古をしている様子を見せたり。イスやテーブル、座布団にお膳などを配置するところを敢えて暗めにライトを当てて見せていて。
客人の為にいそいそと準備している姿がより感じられて。岩亀楼の日常を少し覗いたような、そんな気分にさせられました。
・亀遊の美しさに心を奪われるイルウス
アメリカからやってきた商人、イルウス。
序盤は、大種屋と岩亀楼の主人との簡単な英語でのやり取りに「タイヘン オジョウズ デス!」などと受け答えをしており、結構フレンドリーな感じ?と思いましたが…
やっぱり彼もしっかりと商人でしたね。
そして言うことも割とどスレート。確かに唐人口の遊女たちは結構クセが強めではありましたが…🤣
「(紹介された唐人口の遊女は)みんなみょうちきりんだ!」
「1人も印象に残ってない!」
「ノー!ノー!ノー!ノー!(適当に1人あてがわれてめちゃくちゃ嫌がる)」
などなど。藤吉もどスレートに通訳し過ぎでは!?ってなりましたが…笑
これも藤吉の真面目さ故なのでしょうね💭
そんな時に現れた、美しい亀遊に心を奪われてしまったイルウス。
そしてここの藤吉なのですが、身を乗り出してしまうくらいに亀遊の登場に驚いてその姿を見つめていました。
「チャーミング!」「マーベラス!!」と大絶賛。
「金は持っている!この女(唐人口)と交換してくれ!!」と、あまりの美しさに一目惚れした亀遊を買う話も、大金で解決しようとします。
本当は言いたくなんてないけれど、仕事だからとやむを得ず通訳をする藤吉。とても苦しそうな表情をしていましたね。
亀遊はイルウスに言い寄らせている時、顔を伏せたり背けたり、かなり嫌がっている様子でした。想いを寄せる藤吉に、仕事とはいえあのような事を伝えられて。どうしようもなく苦しかったでしょうね…
通訳を終え、「ちくしょう!!」と叫ぶ藤吉と、あまりのショックで気を失ってしまう亀遊。どちらの気持ちも想像するだけで私まで胸が苦しくなってしまいました…
そして、ここで流石のお園さんでした👏
大切な商談をめちゃくちゃにされて怒り狂っている大種屋の相手をして場繋ぎ。
顔なじみということもあって、上手く話を回して大種屋を笑わせながらも、しれっとお流れを要求してました。
大種屋に「勝手に飲め!」と言われて本当に勝手に飲んじゃってました。踏んできた場数が違うんでしょうね、強い…!!
まあ、この日は寝坊なのか、遅刻して遅れて登場したのだけれども🤣
・藤吉の抵抗
日本人口の亀遊を売る訳にはいかない為、なんとかしてイルウスに通訳するように頑張る岩亀楼の主人。
主人がいっぱい話す→藤吉が短文で伝える
というやり取りを数回行い、会場では笑い声も結構零れていましたね。
しかし、笑っていられたのも束の間。
唐人と日本人の違いを伝えたところ、「なぜアメリカ人を差別する!?」「差別は我慢できない!」「唐人口の遊女は安っぽい!」と捲し立てるイルウス。
ここの藤吉の通訳の動きや声量、とても良かったですね。凄かった。
このままでは亀遊が…!!となった藤吉は通訳を放棄しだします。
岩亀楼の主人がイルウスの様子を見て、「亀遊のことか?」と藤吉に尋ねますが、「違うと思います!!」とはっきり否定。イルウスが藤吉に亀遊の名を言うように伝えますが、それに対しても「Very Difficult…」で躱そうとします。
通訳が役に立たないことを察すると、それを振り切って直接岩亀楼の主人へアタックするイルウス。
主人が「亀遊のことか!?」と気付いてしまい、「え!?」という顔をする藤吉。更に、イルウスは「亀遊さんはいくらなのか?」と通訳させようとしますが、と分からない振りを決め込みます。主人が英語を分からないことをいいことに、お前には売らない!!といった事も言ったりしていました。
何となくでイルウスの要求を察した岩亀楼の主人は、借金まみれの亀遊をイルウスに身請けさせることを提案。
これは行けると踏んだ主人はとんでもない額を要求。その額は600両。(幕末頃だと、600両=180万~240万くらいっぽい?)
あんなに差別してたのに、金が手に入るとなると一転。流石商人ですね…
・亀遊の死
自分の居ぬ間に身売りされることが決まってしまった亀遊。
そんな亀遊を心配して様子を見に行くお園でしたが、亀遊は首を切って自殺してしまっていたのです。
この知らせを聞いて真っ先に飛び出した藤吉の姿を見て、もう胸が苦しくて。
この事実を知られたら大事だと悟った主人が「誰にも知らせるな!!」と命じます。イルウスは通訳も居ないので、何が起きているのか理解出来ず…
全員が出て行ってしまったので、気が動転している中でもイルウスの相手をこなすお園さん。ここも見ていてとても苦しかったです…
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3幕について
少し時が過ぎ、亀遊の七十五日の出来事。
・藤吉を責め立てるお園
藤吉はお園に、「田舎に帰らなくてはならない為」仕事を辞めることを切り出します。しかし、それが嘘なのはお園さんにはバレていて。「アメリカがどんな国だかわからなけど…」と餞別を渡すお園さん。
そして、2人は亀遊の葬式を振り返ります。
亀遊の死からすぐ、翌日の朝に葬式は行われました。藤吉曰く、ソワソワした葬式だった、と。お園さんは葬式の日、心の中で「花魁、ごめんなさいよ」と何度も唱えて。
あの時はどんな気持ちだったのか?
どうして亀遊を連れて逃げなかったのか?
藤吉どんと出会って日一日と生きる気力を起こした亀遊を連れて、なんで逃げなかった?
と皮肉めいた言葉の数々で、お園は藤吉を攻め立てます。
「言葉なんてありゃしなかった」
「私だってちえだって苦しんだ、いつまでも病気のままでこのまま死んでしまいたい、と何度もそう言っていた」
「私だって別れたくなかった!」
「私の貯めた金くらいではとても身請けは出来なかった…」
「駆け落ちした行方は??」
と返す藤吉を、更に責め立てるお園。
けれど、藤吉の悲痛な「ねえさん!」と言う声を聞き、少し落ち着きます。
「私は花魁が可哀想でたまらなかったんだよ…」「こんなことになるとは思わなかった…」と、先程の自分の言動を振り返って、冷静になったのでしょうね…
藤吉も少し冷静さを取り戻して、あの日を振り返ります。
藤吉によれば、もう自分たちは立場や仕事上、会うことがもう難しいからと別れた翌日にあの事件が起こったそうで…
亀遊の花魁姿を初めて目にして。藤吉にとっては、行灯部屋の彼女しか知らなかったのですから、それは驚きましたよね。そしてそのまま亡くなってしまって…。
「悔しいね…」と2人で泣いている姿を見て、またまた胸がキュウ…となってしまって。一緒に泣いてしまいました。
・うそっぱちの瓦版
亀遊の七十五日、瓦版が出ました。
実際の事実とは異なる瓦版に「カミソリだよ!」「遺書もないよ!」と突っ込むお園。
お園と藤吉が「よくもこんなうそっぱちが…」と話している間に、唐人口の遊女たちが身を隠すために大急ぎで去っていきます。
これは「亀遊は攘夷女郎」という内容の瓦版が出たことで攘夷志士たちが岩亀楼に乗り込んできた時に店と唐人口の花魁たちを守る為です。最悪、火を放たれたりもするので…
ここで正直少し驚きました。主人には情もないのかと思っていたら、「避難しろ!!」と言っていたので。損得勘定が最優先ではありますが、表には出さないだけで周りの者のことをきちんと考えてくれているのですね。
瓦版に書かれていた亀遊の辞世の句
「露をだにいとふ倭の女郎花 ふるあめりかに袖はぬらさじ」
ですが、お園はこの句を昔聞いた事があると言うのです。こちらは「さくらぎ」という花魁が10年ほど前に読んだ歌だそうで。昔流行った時に、大橋とっつぁん先生に教わったのだか。
もっとも、さくらぎ自体はアメリカ人に大金を積まれても頑なに首を振った遊女ですが、彼女は亡くなってはいないそうでした。
それが亀遊の辞世の句とされ、これからどんどんと事実がねじ曲げられていくのです…
・岩亀楼の変化
亀遊の噂に釣られ、岩亀楼には「亀遊ってどんな花魁だった?」と、どんどんと客が集まってきます。そこには攘夷志士の姿も…
「亀遊が攘夷女郎ではない」と知られて店を焼かれたりすることを恐れた主人はお園も使い、瓦版の情報に更に嘘を重ねていきます。
一旦攘夷志士が去ったあと、藤吉が辞めることを主人へ伝えるお園。
主人的には、この状況ならば早めに通訳は切った方が良いという気持ちもあったのでしょうが、「気をつけて行ってこい!」と一言。アメリカに行くのも見通していたのですね。
損得勘定に重きを置いてはいますが、相手のこともしっかり見ているのだなと。
・藤吉の変化
主人とお園によって嘘で塗り固められていってしまう亀遊の死。けれど、それが逆に藤吉にとっては「肩の荷がおりた気がする」と。
「私のせいだ…自分が殺したのも同然だった…」と話す藤吉。亀遊が亡くなってから、そんな気持ちをずっと抱えて苦しみながら生きていた藤吉からすれば、確かに「ねじ曲げられた嘘」は救いだったのかもしれませんね。
きっともう耐えきれなかったのでしょう。
藤吉は、主人とお園が作り出した話で自分に暗示をかけているようでした。「私が殺したんじゃない!!」とねじ曲げられた嘘を、自分の中で真実に塗り替えて。
「ほっとした」「救われました」とお園へ礼を言って。「お達者で!!」と旅立ってしまったのでした。ズンズンと藤吉が歩き去って行ってしまったのです。
ここで花道を使用しておりましたが、見せる通路と言った感じでした。藤吉は一瞬だけ立ち止まり、あとはそのまま正面を向いて風を切って去って行きました。
・ねじ曲げられていく亀遊の死
戻ってきた攘夷志士たちを相手に、主人とお園が2人でグルグルと立ち代りながら嘘をはなしていきます。
イルウスは千両箱を抱えてやってきた、等のありもしない作り話をどんどんと付け足していきます。
亀遊の死は、主人にとってはもう、商売道具のひとつになってしまったようでした。本当に商魂たくましいですね…
嘘を重ね、なんだか事実かのように感じてきてしまっているお園。その姿を、襖の向こうから亀遊が見ています。なんというか本当に、ゾッとするくらい綺麗だなと感じました。藤吉もこんな風に感じていたのでしょうか…
見つめる亀遊と、亀遊の姿から目を背けるお園と。この亀遊の姿も、お園の罪悪感が見せた幻なのでしょうね…
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4幕について
時は、亀遊の死から5年が経つ頃まで一気に進みます。
ここでも1幕から2幕の間のように、セットや小道具などの移動を敢えて見せてくれます。
いそいそと準備しているのが伝わる演出です。
3幕で「亀遊」から、勇ましさを意識して「亀勇」となっておりましたが、4幕では更に札が豪華になってます。
・岩亀楼の現在
岩亀楼は攘夷女郎がいた店として、日本人口(攘夷志士含む)で繁盛しているようでした。攘夷志士もやってくるので、唐人口は廃止したようですね。
この日は、亡き大橋先生を偲ぶ為、攘夷志士たちが集まっていました。そして「攘夷女郎」の話題へ…
ここで1人、英語版の形状をしたバンコク新聞紙(日本語約されている?)を持っている人物がいました。藤吉が書いたのでしょうか…
・亀遊商売の終わり
主人がお園を呼び、「攘夷女郎亀勇」の話が始まります。
これも商売のうちだったのでしょうし、月日も経ち、お園の語りは最早1つの芸のレベルへ。お園は妙に芝居がかった話口で。話すトーンも変わりましたが、内容は更に嘘で塗り固められていました。
千両箱はふたつになり、亀勇は吉原の里言葉で話していたことに。自決の際には備前長船の懐剣を使ったことになっており、更に吸い付けたばこも登場していました。
しかし遂に、話していく中で辻褄が合わなくなり、これまでの嘘が暴かれることに…。攘夷志士たちに殺されそうになり、立て無くなるほど怯えるお園。
殺そうとする者がいる一方、殺さないようにと止めようとする者もいました。小山さんです。
小山さんはお園が亀勇について話している時に1人だけ険しい表情をしたり、逐一気になれば問いかけたりしていましたね。さくらぎの事も句のことも全部知っていたようでした。だから、いつボロが出るか楽しんでいたのかもしれないですね。
小山さんが仲介に入っても、なかなか状況が片付かない。そんな中で彼らのまとめ役の1人が事を荒立てぬようにと、お園に金を投げて「この話は買ってやろう」と口封じをして解決。
「達者で暮らせ!!だが口は災いの元だ…」と言って去って行くのですが、なんで去る時あんなに笑ってたんでしょうね。ここよく分からなくて、誰かワシに教えてください。
そんで小山さんが1番最後に去っていくのですが、お園の顔を見てニヤニヤ笑って帰っていきました。「殺されなくて良かったな?笑」という感じなのでしょうかね。
・お園の独白
攘夷志士たちが去ったあと…
あまりの恐怖で足腰が立たない中でしたが、志士たちが残していった酒をとにかく飲む。ヘロヘロのぐちゃぐちゃになりながらも、酒を飲む。これも、自分を保つ為に必要だったのでしょうね。
最後は舞台が海のような空間に変わり、月明かりへ向かって歩き出すお園。お喋りなお園でしたが、ここでは多くは語りませんでしたね。
何を想っているのだろう、亀遊のことを思っていたのかな。船の警笛も聞こえてきて、藤吉のことも少し思い出しているのかな、なんて考えて見ていました。
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