22/23 サンダーランドAFC選手名鑑 (後編)
前編に引き続き、今シーズンのサンダランドの選手たちをご紹介。
後編はMFとFW。新加入含め選手が多めのポジションです。
ようやく完結しました。シーズン中盤での公開となってしまいましたが、どうぞご覧下さい。
MF
#4 Corry Evans (コリー・エヴァンズ)
■昨季は・・・
ブラックバーンから加入した21/22シーズンは、サンダランドでいきなりキャプテンに任命された。主力、そして主将として中盤を統率。即座に結果が求められる重圧もあった中、見事昇格に導いた。
■特徴
パスやインターセプト等、攻守における貢献度が非常に高い。更に経験豊富な32歳のスキッパーのキャプテンシーはさすがといったところ。また、ミドルシュートの精度が良く、少なくとも大方のシュートはしっかりと枠に飛ばしてくれる。ブラックバーン時代にも素晴らしいシュートを沈めていたような記憶あり。
■今季の展望
エヴァンズにとっては2シーズンぶりのチャンピオンシップ。今年も若手中心であるサンダランドのボランチを引っ張っていく存在になるだろう。そして、ブラックバーン時代に共闘したトニー・モウブレイ監督との再会による、彼自身の更なる成長にも注目したい。
#7 Leon Dajaku (レオン・デヤク)
■昨季は・・・
ウニオン・ベルリンからのレンタルという形で夏の移籍市場最終日に加入したデヤク。序盤戦こそドリブルやチャンスメイク、時には自らゴールを挙げるなど貢献度は高かった。ところが後半戦に入ってからは彼の持ち味が鳴りを潜めてしまい、最終的には4G3Aと少々物足りない成績に。
■特徴
彼の特徴は、ドリブルでの突破能力。フェイントから相手を交わし鋭いクロス、あるいは自らシュートを放つこともできる。また左右両方の足を卒なくこなせるのも特長の一つであり、ウインガーとしては左右どちらでもプレーが可能、加えてIHやストライカーの位置での活躍にも期待。
■今季の展望
昨季、強烈なインパクトを残せたとは言い難い成績だったが、サンダランドはNo.7を買い取ることを決意。期待値は高かったものの自他ともに決して満足できなかった昨季の成績を超えられるか。勝負の2年目、真価が問われる。
私服を毎度の如くInstagramに投稿。
しかし、パターソンからは「センスがない」と思われているらしい。
#8 Elliot Embleton (エリオット・エンブルトン)
■昨季は・・・
20/21のブラックプールへの半年レンタルを経て、このアカデミー出身のAMFは昨季ついに覚醒の時を迎えた。開幕戦でのアシストを皮切りに結果を残し続け、1年間主力選手として躍動。ウェンブリーでの超大一番でも先制点を挙げるなど、最後まで彼のパフォーマンスは素晴らしいものであった。
■特徴
正確なパスやクロスの供給、高精度のプレースキックによるアシスト、そして自らミドルシュートを決めることもできる、とにかくキックが精巧すぎるプレーメーカー。
■今季の展望
昇格後のチームでも、主力としての活躍が期待されるところ。プリチャードやロバーツといったチャンピオンシップ経験者がライバルとなるが、自らの持ち味を発揮し続けることができれば、シーズン通してレギュラーの座を守り抜くことも難しくはない。
Agent Elliot Embleton🍊
#10 Patrick Roberts (パトリック・ロバーツ)
■昨季は・・・
シーズン前半はリーグ・アン(フランス1部)のトロワへローン移籍したが、リーグ戦では1試合のみの出場に留まった。それを受けてウェアサイドに活躍の場を移したロバーツは、冬の加入以降17試合に出場。昇格PO準決勝ではチームをウェンブリーへと導くゴールを決めるなど、昇格に対して十分な貢献をしてくれた。
■特徴
167cmと小柄ながらも巧みなステップから繰り出すドリブルが彼の持ち味。昨季(今季も)右サイドで起用されることが多いが、利き足の左足を多用したカットインの動きがよくみられる。またカットインからのミドルシュートもお見事。
同時期に加入したジャック・クラークとの相性が素晴らしい。昇格POでの値千金のゴールも彼のクロスから。
■今季の展望
元々昨季終了までの契約だったが、6か月間の活躍もあり契約延長。背番号が10番に変更されたことからも、期待の高さが伺える。酸いも甘いも経験した"イングランドのメッシ"のローニー生活はもう終わり。これからはウェアサイドの地で、そしてサンダランドのNo.10として、サポーターを魅了するプレーを見せていくだけだ。
#11 Lynden Gooch (リンデン・グーチ)
■昨季は・・・
序盤は右のサイドハーフでの起用が多かったが、次第に右サイドバックでのプレーが増えていく。監督交代後は3バック、右のウイングバックを担うことが殆どだったが、安定性に欠けることなくシーズン完走。無得点だったことは意外であったが、サンダランドの大事なピースであったことは確かだ。
■特徴
シーズン中に担当するポジションが変わろうが、プレー精度が落ちない。安定感という部分ではとても助けられている。また攻守両面のバランスも良く、運動量も豊富。
■今季の展望
昇格した今季は主力としてはもちろんのこと、より高いレベルで安定した活躍が求められる。サンダランドの3バックシステムはウイングバックが命。彼の出来がチームの調子に直結するといっても過言ではないかも。26歳ながらチーム最古参。グーチは今日もサンダランドの勝利のために走り続ける。
グーチの息子が持ち上げられているこの写真が話題に。家族の絆を感じるシーン。
#13 Luke O'Nien (ルーク・オナイン)
■昨季は・・・
2024年まで契約延長した最初のシーズン。途中長期離脱もあった中、復帰戦ゴールを決めるなど、3月以降は彼自身の持ち味を発揮。リーグ1降格後にサンダランドに加入して4年、ついに昇格を成し遂げることができた。
■特徴
中盤の底のポジションをはじめ、右サイドバック、更にはセンターバックもできるユーティリティープレーヤー。運動量も豊富で、ガッツ溢れる彼のプレーはサポーターの心をガッシリと掴む。
昨季の昇格PO決勝でのシーン。試合の最終盤でこんなガッツポーズされたら、こりゃ堪らんよ。
■今季の展望
昇格して新たな選手が加入し、チーム内での序列は下がってしまうかもしれない。しかし、必ずチャンスは巡ってくるはずだし、早速バラ―ドの代わりとしてCBで出場もしている。そして何より、彼の持つ闘志や陽気なキャラクター像は、チャンピオンシップの舞台でも重宝されるに違いない。
今季のPSMのローマ戦では相手選手にタックルを何度も仕掛けた結果、モウリーニョ監督をピッチ内に召喚させた経歴を持つ。
その後のオナインの投稿がこちら。
#17 Abdoullah Ba (アブドゥラ・バ) ☆New Player
■昨季は・・・
あまり詳しくは分からないが、4-3-3の右IHや4-4-2のボランチや時にはSHで起用されており、途中出場が多かったらしい。また、パス成功率はそれなりに高く、移籍直前のリーグ戦では空中戦にめっぽう強かった、とスタッツが語っている。
■特徴
勇猛果敢に走り回り、アグレッシブに相手のボールを奪い取れるのが彼の持ち味。ただし、積極的になりすぎてガス欠になってしまったり、荒削りな箇所もあるかな、なんて思ったり。
■今季の展望
若くして渡英した最初のシーズン。ピッチ内外で慣れないこともあるだろうが、パフォーマンスをざっと見た感じ積極性はイングランドでも通用しそう。勢いそのままに更なる成長に期待したい。
#20 Jack Clarke (ジャック・クラーク)
■昨季は・・・
昨冬の移籍市場でサンダランドにローン加入。最初の数試合こそ上向き調子ではなかったが、3月以降徐々に活躍をし続け、チームの命運が懸かった昇格POでは圧巻のパフォーマンス。半年でチームの昇格に大きく貢献した。
■特徴
彼と言えば、ドリブル能力が非常に優秀なことだろう。相手DFをじっくりと観察して間合いを取り、隙があれば一瞬で置き去りに。クロスやシュートの精度も高く、サンダランドのサイド攻撃の要の選手。正直言うと、左サイドは彼がいればなんとかなるのだ。
■今季の展望
一旦はレンタルバックされたものの、半年間の活躍が評価され完全移籍で再加入することに。昨季同様の活躍が見込まれてたが、開幕戦で見事にサンダランドのチャンピオンシップ復帰後初ゴールを記録。EPLの壁に一度阻まれはしたものの、未だ21歳。サンダランドと共に、復活の狼煙を上げる準備は整った。
#21 Alex Pritchard (アレックス・プリチャード)
■昨季は・・・
加入前最終年はハダースフィールドで低調。しかし、小さなマジシャンはウェアサイドで見事に蘇った。シーズン中盤頃からトップ下のポジションで躍動し、チームに欠かせない存在に。EFLリーグ1では反則とも言える足元の技術で、チームのチャンピオンシップ復帰に貢献した。
■特徴
視野の広さとパスセンスは一級品。相手を上手くいなせる高いボディバランスに加え、プレースキックのキッカーとしての一面も持ち合わせ、華麗な直接FKでゴールを奪うシーンも多々。彼がいるだけで、ビルドアップのし易さが桁違いに良い。
■今季の展望
殆ど文句なしの1年間を過ごしたが、唯一の懸念点は怪我をしがちなところ。その課題さえ解消されれば、十分な戦力になることは間違いない。ハダースフィールドやノリッジとの古巣対決にも注目。
#24 Dan Neil (ダン・ニール)
■昨季は・・・
手薄だったLBで開幕スタメンに大抜擢。その後は本職のCMでも大活躍し、序盤戦のスタートダッシュ成功を支えた。監督交代後、序列が下がってしまい出場機会が限られてしまったが、飛躍的な成長を遂げたシーズンであったことに間違いはない。
■特徴
長短のパスを高精度に供給できるパサー。左右両方の足を使いこなせるほか、PA外からのミドルシュートも威力あり。
シニアチームでの初ゴールも、豪快なミドルシュートによるものだった。同じくサンダランドアカデミー出身のジョーダン・ヘンダーソン(リヴァプール)と同等、人によっては凌駕する選手だと考える者もいるほどだ。
■今季の展望
シーズン後半に出場ペースを落とした要因として、監督交代もその一つだが、疲労が溜まりコンディションが芳しくなかったことも確か。今季も主力選手として計算されている中、シーズン通した活躍ができるか、彼の更なる成長に期待したい。
#25 Edouard Michut (エドゥアルド・ミシュ) ☆New Player
■昨季は・・・
19歳ながらスター軍団PSGのトップチームで5試合に出場。結果も残している。またPSGのアカデミー(U19)としてUEFAユースリーグにも主力として出場し、2Gを挙げている。10代ながらもある程度の試合経験は積めているだろう。
■特徴
Youtubeにアップされている動画を見る限りは司令塔タイプだろうか。空間に出すパスが正確で、視野が広い。また相手とのコンタクトの場面でも倒れない、体幹の強さも持ち合わせている印象。
■今季の展望
ローニーとして加入したが、噂によると買取OPが付随しているとのこと。アカデミーで経験を上積みしつつ、途中出場からでも、得点に絡むパスを出すことができれば序列は自ずと上がってくるだろう。同郷のバや同時期に入団したアマドやベネットと共に高みを目指してほしい。
#27 Jay Matete (ジェイ・マテーテ)
■昨季は・・・
昨冬、フリートウッドから加入したマテテ。すぐに中盤のレギュラーとして攻守共に安定したパフォーマンスを披露。加入当初は不振に喘いでいたチームを立て直し、その後の躍進に貢献した。
■特徴
圧倒的なボール奪取とそれを遂行するための豊富な運動量を持ち味とする。ピッチを縦横無尽に走り回って、相手のパスをカットしたり、ボールを奪ったりすることができる。身体能力の高さを生かし、守備でチームを救ってくれる選手だ。
■今季の展望
継続した出場機会を得るためには、EFLリーグ1時代からのライバルや、新戦力との競争が必須。たとえベンチスタートとなっても、途中出場からマテーテの素晴らしい守備能力が活かされる場面は少なくないはず。今季、そのような場面でどれだけチームを救ってくれるか。
新加入のアリースと仲良し。
FW
#9 Ellis Simms (エリス・シムズ) ☆New Player
■昨季は・・・
エヴァートンではユースリーグで継続的に試合を重ね、12月にはEPLで先発出場。着実に経験を積んでいた中、冬にスコットランドへ。移籍するや否や主力として起用されると、公式戦21試合で7G1Aという成績をマークした。
■特徴
当たり負けしない強靭なフィジカルが彼の最大の長所であろう。ハーツ時代やサンダランドでの彼を観ても、単純な1on1で倒れる場面が確認できない。ポストプレーにおいて非常に助かる存在であることは間違いない。
そして強烈なミドルシュートも持ち合わせている。特にこのシュートは度肝を抜かされた。こんな理不尽ミドルをサンダランドでも見たいものですね。
■今季の展望
一昨季はFL1、昨季はSPL、そして今季はFLCと着実にステップアップしている。1シーズン通して戦うことは初めてとなるので、コンディション含めた体力面のレベルアップも必要になるだろう。それらの状況を踏まえて、どこまでやれるのか、彼の選手キャリアにとって重要な価値のあるシーズンになるかもしれない。
#14 Ross Stewart (ロス・スチュワート)
■昨季は・・・
開幕前のチームにおいて懸念されていたのは、絶対的なストライカー不在による得点力不足。だが、このビッグマンがその不安を全て解消してしまった。開幕戦で得点を挙げた後も1年間コンスタントに得点を積み上げ、リーグ戦+POの全試合に出場する大車輪の活躍。結果的に奪ったゴールは26にも及び、彼なしでは昇格は成し遂げられなかっただろう。
■特徴
正直言って、非の打ちどころが見当たらない万能型ストライカー。188cmの長身を活かした空中戦の強さ、フィジカルにも長けていることからポストプレーも卒なくこなす。しかも、足元も器用で左右どちらからでも威力のあるシュートを打つことができる。プレッシングもサボらずにかけられて、スタミナも十分ある。これだけ多彩な長所を持っているスチュワートは替えの効かないスペシャルな存在だ。
■今季の展望
今シーズンも絶対的エースの座は揺るがないはず。昨季同様のパフォーマンスを維持できれば、チームのFLC残留はもちろん上位進出も見えてくる。"ネス湖のドログバ"はチャンピオンシップに特大のインパクトを与えてくれるだろう。そう信じている。
#16 Amad Diallo (アマド・ディアロ) ☆New Player
■昨季は・・・
所属元のマンユナイテッドでは中々出場機会を得られず、冬の移籍市場でレンジャーズに加入。しかし、ベンチを温めるだけの試合も少なくなく、3Gは前線の選手にしては少々物足りない数字。チームはEL準優勝と躍進を見せたが、その反面アマド自身は悔しさの残るシーズンだった。
■特徴
走力と足元の卓越した技術で相手を翻弄するテクニシャン。素早いタッチから繰り出すドリブルはそう簡単に止められない。線が細いのはやや気になるが、肉弾戦の多いチャンピオンシップに揉まれることでその懸念はやがて消えていくだろう。
■今季の展望
彼の主戦場である3トップの右はこのチーム内では存在しないポジション。従って、右SHや2シャドーの一角、時にはトップといった様々なポジションでの起用が予想される。最初は慣れないと感じるだろうが、そこで自分自身の持ち味を存分に発揮できれば、ブレイクも大いに有り得る。
#19 Jewison Bennette (ジェウィソン・ベネット) ☆New Player
■昨季は・・・
90分試合に出続けたのは皆無に近く、この頃からフル出場させない方針だったのだろう。31試合で1Gという成績にインパクトこそ感じにくいが、まず当時17歳でこれだけの試合経験を積んでいることは素晴らしいこと。しかも渡英前の今季リーグ戦では4試合で2Gを決めている。得点力が向上しつつあることの現れかも。
■特徴
一瞬のスピードと、それを活かしたドリブルが最大の武器。ボールを持っていない時でも、ボックス内にポジションを取り、逆サイドからのクロスに合わせて自ら得点を挙げることもできる。いわば「なぜそこにベネット」みたいなシーン。
■今季の展望
はるばる中米からやってきた超有望株だけあって、期待値はとても高い。ただし、焦りは禁物。言語等欧州の生活に慣れつつ、クラブ側も着実に育てていくように企てていることだろう。それでも、一発で試合の流れを変えられるセンセーショナルな選手はとても貴重な存在だ。フットボール母国の地で、"コスタリカの神童"の挑戦が、今まさに始まろうとしている。
総評
8名の新加入を加えた今季のサンダランド。KLD体制3年目、若手主体のチーム方針は変わらず。その根拠として、今回紹介した25選手のうちなんと16人が23歳以下なのだ。もちろんフレッシュな選手たちが躍動するに越したことはない。だが、兎にも角にも今シーズンは残留できれば御の字。まずは、チャンピオンシップの舞台で互角に戦える基盤を作ることが最優先事項だろう。
サンダランドに所属する選手、監督、スタッフはじめ全ての人々が、充実したシーズンを過ごせることを心から祈っている。
ここまで長らく有難うございました。
Ha'way the Lads🔴⚪️🐈⬛
*「21/22成績」のデータはSofascoreより*
*ヘッダー画像はGetty Imagesより*
*選手写真は、基本的にクラブ公式TwitterまたはInstagramを参照したつもりですが、選手の公式アカウントから引っ張ったり勝手に拾ってきたりした写真も一部あり…*
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