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夜目、遠目、傘の内

私は夜が好きだ。地元にいた時は、車でよく夜道を走ったものだ。お気に入りの曲を爆音でかけて、大声で歌って、只管走る。

目的地はいつもない。

「ああ、くたびれた。帰ろう」

そうなるまで走ったものだ。

今は都会に住んでいるので、車は持てないが、あの一人の空間。所謂走る密室がとても好きだった。

私は、つい一年前までルームシェアをしていた。それは魔術に出会う一年前のことだ。

一人になる選択をした理由は多々あれど、その友人を嫌いになったわけでも、喧嘩をしたわけでもない。

きっと私は、「走る密室」が性に合っているのだろう。

この部屋は走りはしないが、私が私だけの時間で、魔術を行ったり、気が済むまで執筆したり、推しの写真を飾ったり、好きなお香、好きな生花を飾れる、私専用の「密室」なのだ。

それからここ最近、ネガティブなことばかり、堂々巡りな人たちから遠ざかり、愚痴を言わないようにしたら、ポジティブになれた。愚痴はぽろりと出てしまうものだ。

でも、言葉にする前に、自分が今、「落ちてる」と気がつけるようになった。

これはとても大きなことだ。

私が朝に帰ってきて、原稿を夜明けまでやって、ふと「落ちる」ことがある。

朝日が昇ると、どうやらそうなるらしい。

私は長らく夜の人間で、夜に始まり朝に終わる生き方をして来たからなのかは分からない。この先もこの逆転の生き方をするのかも、分からない。そもそもなににも拘っていないし、必要な時に必要な事柄が起きるようになった。

だから移り変わることに躊躇はしない。

ただ言えるのは、私は夜が心底好きなのだと思う。

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