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まさか歯を抜くために入院する日がくるとは思わなかった話。前編

あ、これはヤバイやつだ…。
もしかしてアイツが起きたのか?
覚えのある感覚に、みっちは即行動をおこした。

ロキソニン、OK。
歯科医、確保。
どんどん増す痛みに、疑惑が確信に変わる。

親知らずが、動いた。

とりあえずヤツを始末してもらおうと、近場の歯医者に駆け込んだ。昔ながらの歯科医院。おじいちゃん先生。初めて会ったが好感が持てた。でも、おじいちゃん先生の抜歯はちょっと不安もある。迷っていると、思わぬ答えが返ってきた。

「これはちょっと歯医者ではムリだから、紹介状もって口腔外科に行ってね」

しかも、話はこれで終わらなかった。
おじいちゃん先生は愉快な舞台でも見てきたかのように、楽しそうに続けた。

「入院して手術になるんじゃないかなー。その後、顔の左側に麻痺がでると思う。もうね、見て見て!このレントゲン写真!埋まった歯が神経を巻きこんで、アゴの骨溶かしてるの!だから、抜いても抜かなくても麻痺はでると思うし、このまま抜かないと、アゴの骨が砕けるね!ハッハッハッハ!」

いやいやいやいや、待って待って。
情報量多すぎるわ。
ツッコミ追いつかないわ。

…ってあれ?
急に頭に昔の場面が次々と浮かんだ。

同じこと、8年前にも言われた。
当時通っていた東京の歯医者で言われて、怖いし面倒だし仕事忙しいしで後回しにしたまま完全に忘れてた。もちろんそこの先生は笑ってなかったけども。
その旨を伝えると(笑ってなかった部分以外)、おじいちゃん先生は更に楽しそうに高らかに笑った。

「ハッハッハ。ついに観念するときが来たね!そうか、ほっといたかー。もう逃げられないね」

いや、悪役か。
まぁでも、観念するか…。

こうしてみっちはついに親知らず抜歯のために口腔外科を訪れるコトを決意したのだった。

〜後編につづく〜

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