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欲張りセットみたいな日記

 今書こうとしているのは7月26日の日記である。だが、今は7月27日である。どうしてこうなったのかは言うまでもあるまい。眠ってしまったのである。

 最近、夜に眠気を堪えられない日が増えている。週の後半は特にそうである。晩御飯を終えて本を読んでいると、瞼が重くなり気分がとろんとしてくる。何とかキリのいいところまで読み進めて、仮眠のつもりで横になると、次の瞬間真夜中になっている。そんな時間に起きてもしょうがないので、そのまま朝まで寝ることになる。

 疲れが抜け切っていないのかもしれないし、体力が落ちているのかもしれない。いずれにせよ決して良い状態ではないので、早く手を打たなければならない。が、有効な策が見つからないまま、ズルズルここまで来てしまっている。——なんてことを書きながら、そもそも策を見つけようともしていないことに思い至った。幸い、日曜は1日ヒマである。ここで打開策を練ってみよう。

 さて、やっと書き始めた日記を「最近眠くてタマラナイ」という話で終わらせるのは勿体ない。本当は書き留めておきたいことが色々あるのだ。それぞれの出来事は独立していて、1本の線では結びえない。だからといって、1日のトピックを1つに絞るには、僕はあまりに欲張りである。というわけで、それぞれの出来事について、断片的に列挙していくことにしよう。

     ◇

 木曜日の夕方、学生時代お世話になった先生からОB・ОG会のお誘いが来た。社会人になって7年、当時のつながりは殆ど失った状態だったので、全く思いがけないことだった。

 大学の気風は、正直言って肌に合わなかった。だが、その先生や、先生のもとに集まる学生たちは接しやすかった。趣味に邁進している人たちの集まりという感じで、好きなものを持ち寄ってつながっているところが良かったのだと思う。だから、先生から連絡が来たとき、僕は素直に嬉しかった。覚えられていたことにも感激した。

 他に予定がないことを確認し、一夜明けてから参加を申し込んだ。先生から近況について質問をいただいたので、新卒の時から変わらず、とあるメーカーで経理をしていますと答えた。そのやり取りを終えてから、7年も前に卒業した一学生の進路を気にかけてくださっていたことを、ただただ有難いと感じた。

 会はキャンパス内のラウンジで行われるという。そこへ足を運ぶのは、卒業以来初めてだ。学生時代に対しては複雑な感情が渦巻いているが、久しぶりにキャンパスや建物の名前を目にすると、懐かしさがこみあげてきた。まだまだ先の予定であるが、とても楽しみである。

     ◇

 転職活動中の妹が、大事な面接の日を迎えた。

 このことを意識していたのは、先日妹に頼まれて面接練習に付き合ったからである。想定質問集を渡され、さらに、志望動機や入社後の展望などについては話の流れで追加質問をして欲しいとまで言われ、僕の方が慣れない役目に震え上がりそうだった。もっとも、1時間に渡る練習を通じて、妹は自分の考えを整理できたようだった。

 朝、プレッシャーをかけないように気を付けながら、妹に応援のメッセージを送った。昼前にお礼のメッセージが来た。そして、夕方前になって、面接が終わったという報告が来た。出し切った、悔いはないという文面を見て、とても安心した。結果はどうあれ、悔いの残る面接にだけはしないでほしいと思っていたからだ。

 仕事をしながら、面接練習のことを思い出した。妹は会社や業界のことをよく調べていたし、自分のやりたいことをよく分析していた。そのうえで、自分の人生を選び取りに行っていた。その姿が凄く印象的だった。

 そんなことを思い返していると、僕ももっと、自分はどう生きたいのかということを、もっと真剣に考えないといけないなという気がしてきた。妹を引っ張る兄ではなく、妹に引っ張られる兄であることには情けなさを覚えたが、何はともあれ、巡ってきたチャンスはちゃんと掴もうと思った。幸い、日曜は1日ヒマである。

     ◇

 パリオリンピックが近付く中、過去のオリンピックのテーマソングを聞き返したくなった。それで数年ぶりに、Mr.Childrenの「GIFT」を聞いた。2008年の北京オリンピックの時に、NHKがテーマソングに起用した曲である。

 改めて、本当にいい曲だなと思った。人生で初めて歌詞をちゃんと聞いた曲で、その時から歌詞がいいなと思っていたが、数年経って、それらの言葉がいっそう胸に沁みた。

 これはもう暫く聞き続けることになりそうである。

(第229回 2024.07.27)


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