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ポメラニアン→有効にする

テレワークの夕暮れどき。倦怠感よ、さようなら。私は仕事用のスマホをベッドに叩きつけてパソコンを立ち上げて動画サイトで【ポメラニアン モフモフ】と検索する。ああ……。(恍惚)

私はポメラニストで、ワンルームのアパートに住んでいる。ペットは飼えない。もっとも、私はポメラニアンをペットとは認識していないのだが。

昔、子どもと大人のあいだには、どこか記憶の区切れがあって、そこで人は変われると私は思っていた。しかし、それはどうやら違ったようだ。
成人式を迎えても、就職を迎えても、子どもか大人、どちらになるのかは自分自身で選択するしかない。

そして23才の私は、ある日突然、自分に向かって「ポメラニアン!」と叫んだのだ。それ以来、【ポメラニアン モフモフ】のふしぎな夕暮れは続く。私はほんのわずかなその時をキャピタリズムの枠から逃れ、ポメラニズムに踊る。

仕事から逃げた罪悪は去らない。しかし罪悪感は十分に去る。これがポメラニアンを有効にした効果なのだ。
とても悲しいが、仕事は仕事だ。無益に終わることが事前に告知されていたとしても、前に進めるしかない。すぐに夜は降りてくる。私はもう一度仕事用のスマホと向き合う。

若さへの執着を捨てて、私は都会の満月を見上げた。ポメラニアンのくりくりした眼に似ている。

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