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【ディアーマイウィッチクラフト考察】カミサマは無力、夢は無限

Dear My witchcraft,

あなたさえいればすべてを取り戻せると思っていた。だってそうだったじゃない、あのねこ柄のマグカップも、壊れた人形も、飼ってた猫も、絶交した親友との友情も。

でもあなたが私にくれたのは単なる幻想にすぎなかった。

だから......



でいいかな?


(冗談です)


こんにちは!
肘がグミなので肘グミです。これで2つ目の記事になります。


ではもう聴いているとは思いますが、一応こちらをお聴き下さい。(お好きな方を)

ご覧頂けたでしょうか。

突然ですが、以前【大女優さん考察】記事で私はこのように言いました。

彼の曲にはある「ひとつの区切り」があります。

この区切りというのはいよわ氏の楽曲【さよならジャックポット】以前と以後の区切りで、ざっくり言うと、思想を排した物語的な小説から思想を含んだ寓話的な小説にシフトした。(詳しくは記事読んでくださいお願いします)というものです。

この【ディアーマイウィッチクラフト】はご存知の通り前者に位置づけられる楽曲のため思想を排した物語であり主人公に感情移入しながらそのまま味わうべき楽曲になります。

前置きはここまでにして
本題の考察に踏み込みますが、恐らくこの曲の大まかなストーリーは大体掴めたかと思います。

"魔法のステッキを手にした少女が壊れた物を直して、もう悲しまなくていい世界を作ったが、謎の少女が現れ、「直す」ことが全てではないのだと気付かされ、日常に戻る。"


大体このようなストーリーかなと思います。

とは言ってもまあこれで満足するならこの記事まで辿り着いてないと思いますし、

「魔法って一体なんだったの?」
「結局あの少女は何者なの?」
「全部夢だったの?それとも魔法で世界を直したの?」

と、謎が色々と浮かび上がってくる曲でもあるんですよねー。

それらの謎に対して答えはないので、あくまで 私の考察というか解釈になりますが話していきたいと思います。
(※この記事は他解釈を否定するものでも、私の解釈を強要するものでもありません。)

それではいきましょう。


ママに言わなかった
カミサマからのおくり物を
たからものにしたの
説明書のひとつもわたしてくれなかったけど

ママに言えなかった
落としてしまった ねこ柄のマグカップは
もどりはしないのにな
ぼやけたいつもの部屋が
いきなり光った!
以下歌詞はpiaproより引用

プロローグです。

→カミサマから何かを授かったまほちゃん(主人公の少女)が割れてしまったマグカップを涙を浮かべて眺めていると、部屋が光に包まれた。

説明書のひとつもないのに宝物にするなんて子どものすることですよね。でも子どもにしかできない。そういう幼さをぴったり歌詞に詰め込んでていよわ氏の作詞力が最初からぶっ放されててHPを消耗していると思いますが、まだ始まったばかりです。(0:33)

「ママに言わなかった・ママに言えなかった」
の対比は、誰しも親に秘密があったり、後ろめたさがあったりと、少女の純粋さや素直さ以外のリアルな面の描写ですね。

最後の「!(感嘆符)」は興奮と期待を全て背負ってます。はい

(関係ないけどこのねこ柄のマグカップのグッズ化待望勢は多い、はず)

失礼。そんなことは関係ないので次に。


魔法がつかえたの
魔法じゃなきゃ説明できないことが起こったの
夕やけみたいな色の
キセキをみたよ
魔法がつえたの
「あの日のあの時失ったものが
戻ってくるのなら」
そう思って飛びだしたの
こどうを おさえて

→カミサマから貰ったものは魔法のステッキだったんだ!こんなのキセキだよ!鼓動が鳴り止まないワクワクドキドキまほちゃん。

幼さが全面に出てますよね。
「夕やけみたいな色のキセキ」っていう表現、子どもらしい上手く纏まらないけど口が動いて頑張って伝えようとしてる感じが……キャワイイ

さて、あの日のあの時何があったんでしょうね

そしてもちろん、これはいよわ氏による楽曲のため

"可愛いね〜〜〜〜。
魔法少女になれたんだね。
めでたしめでたし。"

で終わるはずもなく……



2番に入りました。

心から おもえば
カミサマからのおくり物は
もとどおりにしてくれるんだ
人形も
飼ってたねこも
小さなきっかけから絶交しちゃった
いちばんの親友も
満たされた
もう悲しまなくてもいいのね

→心から想えば魔法で何でも「直す」ことができるらしい。
人形(非生物)も猫(生物)も友情(概念)も。
そして心は満たされ、悲しみから解放された。

小さなきっかけから絶交(までは行かなくとも)こういうのはあるあるで、大喧嘩なんて発端は些細なことでお互い引き下がれなくなっているだけですよね大体(大人も子どもも)

そういうのを無かったことにできればどんなに良いか

と思います。実際まほちゃんも

全部元通りにしてくれるんだ!
もう悲しまなくてもいいんだ! 
"もう"

と思っているんですから

最高のアイテムですよこんなの、物をよく壊したり壊されたりする私も欲しいぐらい。

あらゆる不可逆的な喪失を取り戻し、有頂天になっているまほちゃん。

飼ってた猫をもとどおりにする?ん?


幸せですね。そう思います。


ほころぶ 魔法使いに
突然 同じ声が ささやいた

「何回 使った?」って

ゾワッ

非常に印象的なシーン
瓜ふたつなのに対照的で、リボンか星かだけしか違わない、のに漂っているオーラがまるで違う...

ほころぶ魔法使いはもちろんまほちゃんな訳で、(同じ声?)
一言言われただけでこの焦り。

「何回使った?」

ここが山場であり、起承転結の「転」な訳ですが、この黒目の少女は一体……


「魔法は使えるの?
まだいつでも直せるものを大切に
思い続けられるの?
魔法で直した友情はホンモノなの?」

ドキッ

「魔法は使えるの?」

まだいつでも直せるものを大切に
思い続けられるの?

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

「終わりがあるからこそ美しい」なんてよく言いますが、その通りなのではないでしょうか。
いつか終わるかもしれないから「今」幸福を追求し、過去を懐かしむ。それを奪ってしまったら価値なんてないのではないのかもしれない。

魔法で直した友情はホンモノなの?

本物の友情……
一体本物かどうかなんて誰に分かるんでしょう?
もしかしたら偽りなのかもしれないじゃないですか。



さて、まほちゃんはどうなってしまうのでしょうか?

夢中で にげだした
たからものが ただの棒きれになるのが怖くて
許されたはずの
こどうを おさえた

→とうとう怖くなり逃げ出してしまったまほちゃん。カミサマから貰った魔法のステッキが自分を幸せにする物ではないと気付き、さっきまで抱いていた(許されたはずの)期待を鎮めようとしている。

ここで「こどうをおさえた」という歌詞が再び出てきましたが、以前は期待に胸を膨らませていた幸せな意味合いだったものを、鳴らしてはいけない鼓動として抑えようとし、恐怖に苛まれているという180°違う描写として映し出しているのがとんでもないですね本当に。

心のどこかで
替えが きくものだ と
かんちがいしている
魔法のステッキは
泡だけ はくばかりに
なっちゃったな

→ようやくここでハッとした訳ですね。
今まで替えがきくからといって大切にしなくなってしまっていたと。
そして、魔法のステッキは泡だけはくばかりになり使えなく(使いたくなく)なってしまった。

自分の罪と向かい合い、倫理を知るというのは小さな少女にとって簡単に耐えうることではないでしょうね。

魔法がつかえたの
魔法じゃなきゃ説明できないことが起こったの
夕やけみたいな色の
キセキをみたよ
本当よ

それでもまた魔法をつかってしまうんですよ。
でも今回は今までとは違う。

「直す」ためじゃなく、あの少女と再会するために。
そして再会できた。本当だよ。キセキだね。


「魔法は必要だった?
壊れたもの全部もとどおりにすることが
救いにはならないよ。」
涙が見えた 気がした

エピローグです。

ご覧いただいた通り「夢」だった訳です。

壊れたもの全部もとどおりにすることが救いにはならないよ。

「直す」ことで表面上解決し、満たされたように見えても何も解決していない。そんな残酷さが真理なんですよ。


さて、全ての歌詞を通りましたが、そろそろ冒頭の問いに答えていきます。

この少女の正体はいったい何だったのでしょうか?

では色々と要素を見て行きましょう。

・魔法でしか会うことはできないし、このシーンはまるで羽根でも生えているかのよう。


・まほちゃんを抱きしめ、かなり親密である。


・そして消えた。

・夢の中のこの少女がしていた星形のヘアゴムがまほちゃんの部屋のテーブルに置かれている。

→魔法で再会した黒目の少女は少なくとも実在していた。



ここで私が考察した少女の正体は



「亡くなった双子の妹(or姉)」


です。

おんなじ声に、おんなじ顔。おんなじ部屋の机に置かれた星形のヘアゴム。

同時に魔法の正体もわかります。

魔法とは単なる妄想、もしくは夢です。

「カミサマ」や「キセキ」が片仮名なのは皮肉のようなもので、"神様"なんかいないし、"奇跡"なんか起きるもんじゃない。壊れたものは直らないし、死は不可逆だ。でも人はそれをどうしても認めたくない。幼い少女なら尚更。

だから直す妄想をした。もしくはその夢を見た。

夢の中ではしばしば記憶が曖昧になり、あり得ない状況を当たり前かのように飲み込んだり、当たり前の想像ができなかったりすると思う。
(脳の一部の機能が働かないため)

きっとまほちゃんはそういう状況に置かれていた。具体的に言えば、妹(姉)が死んでいることを夢の中で忘れていた。

また、夢の中だからはっきりとは見えずに妹(姉)が涙を流し消えたことですら「気がした」としか言えない。儚いですね…

そして、机上の星形のヘアゴムを見て全てを思い出した。思い出してしまった。
「ぼやけた"いつもの"部屋」っていうことは、いつも泣いていたんだと思う。妹(姉)がいないその部屋で。

もう一度見てみましょう。

「魔法は必要だった?
壊れたもの全部もとどおりにすることが
救いにはならないよ。」

その通りだと思います。亡き人に夢の中で逢おうとしても残るのは虚しさだけなのではないでしょうか。



結局夢オチなんですから。



はい、そうですね。

貴方は

魔法を正しく使えますか?


振り返って笑えますか?



(終)







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前回の【大女優さん考察】も何卒。

ではまた。

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