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【算数・数学】自然科学か社会科学か

科学の三分類

科学は大きく分けて三種類のジャンルがある。
すなわち、自然科学、社会科学、人文科学という分類だ。

自然科学とは自然法則を取り扱う学問であり、人間が直接的に決めたものではない自然のルールを解き明かすことを目的とする。
物理や生物などの理科科目が代表である。

社会科学はその反対に、人間が社会を作り上げていくうえで生まれる法則を体系化した学問である。
例えば法律や経済など、成熟した文明には無くてはならない学問が並ぶ。

人文科学とは上記のどちらにも属さないもので、主に人間の思想や言語、芸術などにかかわる分野を扱う。
言語学や文学、宗教学などがこれに含まれる。

算数・数学の分類は?

さて、算数や数学はどの科学に含まれるのだろう。
数学は自然科学もしくはそれらに含まれない「形式科学」というジャンルに分類されるのが一般的のようである。
形式科学とは記号などを用いて記述されるきわめて抽象的な概念を取り扱う学問である。
数学の分類としてはしっくりくる気がする。

ところで算数も形式科学、あるいは自然科学の一分野としてよいだろうか?

算数という微妙な立ち位置の学問

算数という科目は定義があいまいである。
単に初等数学という意味で用いるのか、あるいは小学校教育における数字や図形を学ぶ学問なのか。

ここでひとつ実例を引き合いに出したい。
小学校教育の場で、ひっ算をするときに定規を使うことを推奨(もしくは強要)している現場があるという情報を耳にした。
全ての学校で行われているかは知らないが、これはいかがなものだろうか。

ぶっちゃけ計算に定規とかいる?
必要な理由を論理的に説明できます?
むしろひっ算するかどうかということ自体任意では?
(まあひっ算のやり方を学ぶ単元ではひっ算が出来ているかどうかが学習の達成要件なので仕方ないですが)

算数はしつけも兼ねた学問である?

算数を社会科学的なものと考える教育者もいる。
教育者によっては「ルールを守ることを教える」という目的を持って先の定規使用のルールを設定しているようだ。
「世の中には理不尽なルールがあるんだよ。黙って従っとけ」みたいなことをおっしゃるのである。

わかる。世の中には理不尽なルールは確かにある。それを知ることはどんな学問よりも大事だったりする。

だけどね、算数でそれやらなくても良くないですか?
他の教科、科目ではあんまり理不尽なルールって思いつかないのですが、なぜ算数だけしつけの代わりに使われるのでしょうか?
それとも他の教科でもそういうのありましたっけ?

そして、算数は数学と地続きの学問である。
算数で学んだことを生かして中学や高校、ひいては大学の数学に向き合っていくこととなる。
その時に「しつけのためのルール」ははっきり言って邪魔でしかない。
大学生で定規を使って計算している人がいますか?
おそらく1%もいないでしょう。ばかばかしくてデータを取る気にもならないが。

定規のルールはあほらしくて議論にも値しないが、その他にも算数における謎ルールは結構存在する。(そのことについて議論は絶対にしたくないのでここでは例は挙げないが)

ぼくが望むのは生徒が本質的な理解や思考を得ることだけである。
どうか、算数を学ぶ子どもたちの思考や発想の妨げになるようなことはやめていただきたいなと思う所存である。

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