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インタレストグラフからみた情報の伝わり方

こんにちは。ひいろです。
肉が半額で買えたので大満足です、

半日後変色が始まってました。

今日は学習院大学・国際社会科学部の澁谷教授の論文

知らない他者とのコミュニケーション
― オフラインとオンラインにおけるインタレストグラフの役割 ―

を読んだので書いていきます。

はじめに

友達とのおしゃべり、
SNSでの投稿、リプライ
私たちは多くの場面でコミュニケーションとります。

そんなコミュニケーションは
オンラインとオフラインに大別されます。

今回の論文はそんなコミュニケーションを

オンラインとオフライン
ソーシャルグラフとインタレストグラフ

という指標に当てはめて分類し、

そして、特に他者とのコミュニケーションが発生する領域
インタレストグラフに関して深堀し情報の伝播について考察します。

ソーシャルグラフ

個人間のコミュニケーションの大部分は
相手との社会的関係に基づいて行われます。

ここでいう、社会的関係とは
リアルでの繋がりを指します。

そして、そんなリアルでの繋がりを
ソーシャルグラフといいます。

インタレストグラフ

オンライン上のコミュニケーションにおいて
情報の入手先はソーシャルグラフに限定されず

興味・関心が近い二者間を繋げる関係を
インタレストグラフと呼びます。

また、昨今では
興味・関心・態度・信念・嗜好などが近い消費者同士の
一方的または双方の結びつき
を意味します。

分類枠組みと各領域でのコミュニケーション

オンラインとオフライン
ソーシャルグラフとインタレストグラフ
の分類にコミュニケーションを当てはめると
グラフのようになります。

領域Ⅰ:オフライン×ソーシャルグラフ

知り合い同士が対面で行うコミュニケーション

ブランドや製品に関する消費者間会話の
約90%はオフラインであるともいわれています。

SNSが盛んな現代においても
消費者間会話の大半はこの部分で行われている可能性があります。

領域Ⅱ:オフライン×インタレストグラフ

面識はないが
興味・関心を同じくする当事者同士が
対面で行うコミュニケーション

インターネットが登場する以前は
このようなコミュニケーションは
周囲の人間に左右されていました。

当時はそのような興味関心が合う相手を
ソーシャルグラフで結ばれた知り合いから見つける方法しか存在しなかったからです。


見知らぬ人とのコミュニケーション

噂や流言の一部もここに分類されます。

実際に大事件の際には
マスメディアよりも早く
口コミによって情報が広まりました。

しかし、かなり重大な事件に際してさえ
人々がオフラインで見知らぬ人と
コミュニケーションを行う比率は
かなり低い
と考えられています。

領域Ⅲ:オンライン×ソーシャルグラフ

リアルの関係を基にしたオンラインの関係(SNS)

例えばFacebookでいえば
利用者同士が、友達としてお互いを承認することです。

これにより
相手の情報が自分のタイムラインに表示されるようになります。

これらの情報は、自分側からみれば
多種多様な情報が向こうから勝手にやってくることであり、

相手が多いほど情報量も増えます。

よって、この領域での受信者は
一般に受動的であり、
受信した情報に対して低関与である
といえます。

領域Ⅳ:オンライン×インタレストグラフ

ソーシャルメディアのうち、
利用者同士が興味のあるトピックごとに意見や情報を
蓄積、共有、議論できる場を提供するもの

掲示板、口コミサイト、
オンラインのブランド・コミュニティなどがあげられます。

しかし、具体的なコミュニケーションの通路の存在を意味するものではなく
情報は一旦どこかのプラットフォームに蓄積され
必要な時に検索される仕組みになっています。

よって、発信者の情報は直接受信者に届くことはありません

また、この領域での受信者は
能動的情報検索者であるため

得られた情報に対して
高関与である
といえます。


見知らぬ人とのコミュニケーション

オンラインの上でのコミュニケーションにおいて
潜伏というスタイルがあります。

潜伏者とは、
議論に参加せず
足跡を残さない者
です。

潜伏の一般性について

オンラインにおける訪問者の
1%がほぼ全てのコンテンツの作成や投稿を行い
9%は他の参加者とコミュニケーションを行うこともあり
残りの90%はただ見ているだけ
すなわち潜伏者であると言われています。

これを90-9-1の原則とよんだりします。

noteでいえば、

私は投稿する1%
たまにコメントを残すかもしれないあなたは9%

私のツイッターから飛んできた君や
たまたまこの記事にたどり着いたあなたは
90%の潜伏者

ということになります。

潜伏行動の理由について

インターネットを巨大なデータベースとみなし、
ユーザーを情報検索者とすると

この領域は
必要な情報を得るための場であるといえ、
潜伏は当然のことだといえます。

また、上記以外にも

潜伏とは全ての参加者が通過する
一時的な状態
であることや

傾聴することであること

ソーシャルな読者であることなどがあげられています。

インタレストグラフの役割

領域Ⅱでは
大事件の際の噂や流言による
見知らぬ人とのコミュニケーションを

領域Ⅳでは
オンライン・コミュニティにおける
見知らぬ人とのコミュニケーションを紹介しました。

これより、
インタレストグラフは**
情報取得手段の1つ**であると言えます。

また、本来インタレストグラフとは
人と興味の対象を結びつけるものであり

その周りに人を集める効果があります。

しかし、その人々の目的は
相互的なコミュニケーションではなく
対象の情報を得ることです。

そして、そこから得た情報は
ソーシャルグラフで結ばれた他者に伝達されます。

つまり、

インタレストグラフだけでは情報は伝わらず
オンライン上で両者を適切に組み合わせる事が
マーケティング的に現実的

だといえます。

また、
ソーシャルグラフで結ばれた相手とのコミュニケーションの大部分は
オフラインで行われている
ことより、

オンライン上において
インタレストグラフとソーシャルグラフを組み合わせるだけでなく、

オンラインとオフラインのソーシャルグラフを
適切に組み合わせることも重要

であると言えます。

最後に

オンラインに限った時
図にもあるようにツイッターは
ユニークなポジションをとっています。

自分の興味関心に合わせて
相手をフォローすることで
インタレストグラフの領域をカバーし

リアルでの繋がりのある他者を
相互フォローすることで
ソーシャルグラフの領域もカバーしています。

また、リアルの繋がりがなくとも
不特定他者からフォローされることで

自分自身もインタレストグラフでの
情報発信者側になることが可能であるツールです。

いわゆる”バズり”というものは、
ツイッターでのリツイートのように

個人が情報受信者であると同時に
発信者になる仕組みがあってこそ実現したものなのかもしれません。



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