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みちのく潮風トレイル〜プロローグ(前編)

みちのく潮風トレイルは、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ全長1,000kmを超えるロングトレイル。環境省が豊かな自然と地域の暮らしを未来に引き継ぐために地元の住民と協力して少しづつ整備を進め、計画から7年かけて2019年に全線開通しました。

みちのく潮風トレイルを歩こうと思ったきっかけ

みちのく潮風トレイルのことを知ったのは随分前のことで、2014年の夏に東北を旅行した時のことでした。
前年に放映されたNHKの朝ドラは当時小学生だった子供たちも大好きだったので、ドラマの舞台を見るという楽しみと一緒に震災で実際に起きたことや復興に向けて頑張っている地元の人たちの姿を、テレビの向こうのことではなく実際に自分たちの目で見て、肌で感じて欲しいという思いがありました。
それで色々と調べていたら、各地で大きな被害を受けた陸中海岸国立公園を環境省が三陸復興国立公園として再整備して、自然と人との関わりを実現するグリーン復興プロジェクトのことを知り、その中で青森県の蕪島から福島県の松川浦までを結ぶトレイル(当初は「東北海岸トレイル」という名称で、想定距離も約700kmだった)を創設する計画を知りました。

その時はそうなんだ程度の印象でしたが、しばらくして仕事で電子書籍のオリジナルコミックを連載で配信することになり、幾つかの出版社に相談している中でみちのく潮風トレイルを題材にした作品に出会うことになりました。著者は仙台に住んでいたことがあり、東日本大震災が起きてマンガで復興支援ができないかとトレイルを実際に歩きマンガにしたそうです。

著者が歩いたのはまだトレイルが完成する前の2013年なので現在のルートとは異なる部分もあり、著者もまたルートに忠実に歩いたわけではないのですが、そこで出会った人々とのふれあいを描くなど内容は正に「みちのく潮風トレイル」の目的そのものです。
その後きちんと単行本にまとめられて紙のコミックでも発行されましたが、現在は重版未定となっており入手が難しいですが電子書籍で読むことができます。

先日、名取トレイルセンターで数年ぶりにこの本に再会して世に出して良かったなと思いました。

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そんな経緯があって私の中でいつかは歩いてみたいという気持ちがありましたが、あまりに長い距離と、東北という東京からは遠いイメージからなかなか行動に移せないでいました。

話は少し変わりますが、私はここ10年ほどトレイルランニングという山を走るスポーツを嗜んでいて色々なレースにも参加していましたが、ここ数年は人気が加熱してレースのエントリー自体が難しくなっていたり、悪天候に見舞われ低体温症になりかけたり途中でレースが中止になるなど、段々レースへに参加することへの情熱がなくなってきていました。(トレイルランニング自体は相変わらず楽しんでいます!)

それでレースに代わってハマり出したのがファストパッキング(FP)スタイルでのロングトレイル縦走。最小限の荷物を背負って地図読みしながらテント(ツェルト)泊で長距離を歩く(時には走る)という、登山・トレラン・オリエンテーリングとこれまでやってきた経験や知識を駆使して旅するこの遊びが楽しくて、2018〜2019年に信越トレイル、2020年にぐんま県境トレイルと歩いてきました。

東京では2021年の年明け早々から続いていた2回目の緊急事態宣言がようやく解除された3月末頃に、今年はどこを歩こうかと思った時に不意にみちのく潮風トレイルのことを思い出しました。ネットで調べたら環境省が無料で配布しているトレイルマップが3月末で配布終了とのこと。慌てて取り寄せてなんとか入手できました。

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マップを入手するとすっかり行く気になってしまい(笑)、4月末には3回目の緊急事態宣言が発出されたこともあり、ゴールデンウィークは巣籠りで踏破計画を立てようと発売されたばかりのDATA BOOKも購入して、地図とDATA BOOKと東京からのアプローチを検討するための時刻表を睨め回して計画を立てました。
一回の旅で1泊から3泊、景色が単調な箇所や国道沿いはトレッキングポールを使った軽いジョグも入れて1日あたり40〜50kmで計画を立てましたが、それでも最低7回は通う計算で2〜3年越しの踏破となりそうです。

みちのく潮風トレイルの行程を記そうと思った理由

私はこれまでいろいろな場所を旅してきましたが、SNSに載せることはあっても不特定多数の人が見るブログやTwitterなどで書くことはありませんでした。あくまでも自分自身が体験したことであり感じたことなので、ブログを読んだ人が間違った判断をして何かあってはいけないと思っていました。

それでも今回こうしてnoteに書こうと思ったのは、「みちのく潮風トレイル」が全線開通してまだ2年なのでネット上の情報が少なく、情報を上げることで「みちのく潮風トレイル」を応援したい気持ちと、この長いトレイルを楽しむための自分なりの工夫や経験が誰かのためになったらいいな、という気持ちからでした。

いつかは歩いてみたい、これから歩くルートの参考にしたい人に向けて書いているので、トレイルで出会う美しい風景や名所はあまり出てこないかも知れません。また、通行情報など日々変わる情報もここでは書かないつもりです。2021年現在、トレイルの最新情報は以下のサイトに掲載されているので参考にしてください。

地図上では分からない、ガイドブックにも載っていないトレイルの魅力や地元の人達との温かな交流を伝えることができて、「みちのく潮風トレイル」を一部のルートだけでもいいので歩いてみたいと思ってくれる人が一人でも増えてくれれば嬉しいです。


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