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【RIZIN TRIGEER 3rd超絶簡単解説】一応TRIGGERなのにカードが気合い入りすぎてナンバーシリーズと遜色が無い件について

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

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この記事は「RIZIN TRIGGER 3rd」(4月16日14:00開始)の中のカードから試合をいくつかピックアップして簡単に解説しようというものです。
矢地祐介vsルイス・グスタボのリベンジマッチ金原正徳vs摩嶋一整のフェザー級裏最強マッチと、カード数は少ないながらも非常に味の濃い大会となっておりますので盛り上がっていきましょう!


②グランド・ボグダノフvs泉武志

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異種格闘技戦のにおいがプンプンしすぎて昔のMMAのような空気を若干ですが感じます。

ボグダノフ選手は柔道~レスリング~柔術を経験している日本とアメリカのダブルです。
前回のRIZINでは奥田選手相手に超速リアネイキッドチョークで一本を獲ったと思ったら現ライト級チャンピオンのサトシ選手に挑戦状をたたきつけるというマイクで一気に話題になりました。
現在柔術黒帯でグラップリングの実績もある将来有望株のファイターの一人です。

対する泉武志選手は大学時代にインカレ(大学対抗の選手権大会)優勝や全日本レスリンググレコローマン優勝とレスリングでの輝かしい成績を引っ提げて念願のRIZIN参戦を果たしました。

簡単な説明ですが泉選手のバックボーンであるグレコローマンレスリングとは、吉田沙保里選手や伊調馨選手などが行っているフリースタイルレスリングとは違い腰から下の下半身に一切の攻撃ができないルールになっています。
つまりレスリングの代表的な技であるタックルによる組み付きができないです。ですがその分上半身を使って相手を崩す動きの強さはとてつもないものがあります。

実はBRAVE代表の宮田和幸氏がとある動画で、MMA転向したてのレスラーと一番相性が悪い相手は下から攻められる柔術家とおっしゃっていたことをこのカードを見て思い出しました。
群雄割拠のライト級に割って入る新星同士のこの一戦はどこまでMMAをするかがカギになりそうです。


③雑賀”ヤン坊”達也vs江藤公洋

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正直お互いTRIGGERでRIZINデビューする実績じゃないんですよね……

江藤選手は元ONE Chanpionchip所属であの青木真也選手とも戦っています。
バックボーンのレスリングを生かした相手をグラウンドに押し付けて削るスタイルで勝ち星を重ねています。
チャンピオン経験はないものの現在まできっちり結果を残していいるベテラングラップラーです。

対戦相手の雑賀”ヤン坊”達也選手は以前からRIZIN参戦アピールをしていた元PANCRASEライト級暫定王者です。
ヤン坊選手の魅力についてはこちらの動画を見てほしいですね。

この動画は2021年12月に行われたPANCRASEライト級タイトルマッチの舞台裏を写した動画です。わかりやすく言うならRIZIN CONFESSIONSならぬPANCRASE CONFESSIONSですね。

年間ベストバウト級の激闘に負けはしたものの、空手で培った破壊力抜群の打撃は全勝利試合1ラウンドKOというとてつもない戦績を持っています。

恐らくRIZINとしては絶対王者化が予見されるライト級をフレキシブルにするカンフル剤を求めているのかなと思っています。
個人的にはヤン坊選手が打撃で押す展開だと思うのですが、江藤選手もそれをすんなりやらせるほど立ち技が弱いわけではないです。
むしろ強力なフィジカルとレスリング仕込みの組み技で相手をドミネイトする可能性もありますね。

個人的にはヤン坊選手はこの試合に勝っても負けてもRIZINに定期参戦してほしいですね。グスタボ選手との荒々しいストライカー同士の試合が見たいです。


④渡部修斗vs須藤拓真

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割とグラップラーとグラップラーをぶつけるマッチメイクをRIZINはやる印象があります。

渡部選手はこのコロナ禍を経てRIZIN常連選手の一人になりましたね。数少ないナンバーシリーズ、TRIGGER、LANDMARKの全部に出ている選手です。他の選手もわかったらアナタは立派なRIZINオタクだ!
また渡部選手に関してはバンタム級GPの際に紹介記事を書いたので詳しくはそちらをご覧ください。

対戦相手の須藤選手は格闘技を始めたきっかけ今成正和、憧れのファイターはゲイリー・トノン(ONEフェザー級ランキング4位、足関節技が得意な世界トップのグラップラー)というゴリゴリの足関ファイターです。

足関節技とは柔術やグラップリング、MMAなどで用いられる技でその名の通り相手の足に絡みついて一本を獲る技です。
有名な使い手としては今成正和選手、ゲイリー・トノン選手、北岡悟選手などです。
筆者は足関のイメージをポケモンの”いちげきひっさつ”みたいなものだと思っています。相手が対処法を知らなかったりでその形になれば相手の足を文字通り破壊することが出来るのですが、MMAという競技の性質上進んでグラウンドの状態になるので判定で不利になったり強烈なパウンドをもらう可能性が多々あります。

だからこそこの令和で足関にこだわる須藤選手にはなにかひきつけられる魅力を感じますね。
ですが相手の渡部選手はRIZINでは朝倉海、井上直樹とトップ層にしか負けていなくRIZINでも2勝2敗と結果を残しています。いままでのようにすんなりと足関が極まるとは思えません。

一本必至のこの一戦、令和の足関妖怪が鮮烈デビューか⁉TRIGGERでもマジカルチョーク炸裂か⁉ でもこういう試合は意外と打撃決着する場合があるんですよねぇ。


⑤征矢貴vs中務修良

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個人的今大会注目の一戦です。

中務選手はWARDOGという大阪に拠点を持つ団体のストロー級王者であり、今回は本来の階級であるストロー級(52,2kg)から階級を一つ上げてフライ級(56,7㎏)での試合となります。
実はTHE OUTSIDERにも出場歴があったりGRACHANのフライ級タイトルマッチを経験したことがあるなど注目度や実績もあるファイターです。
また格闘技を行うきっかけがいじめを受けたことだったり家族が病気に苦しんでいる今だからこそ自分が戦うことで勇気を与えたいと非常に気持ちが良いファイターでもあります。

対する征矢選手は約2年8か月ぶりの復帰戦です。
15歳で扇久保選手や岡田遼選手など日本トップクラスの選手が所属しているパラエストラ千葉ネットワークに入門すると直ぐに頭角を現して修斗バンタム級新人王を獲るなど目覚ましい活躍をしていました。

しかし突然国指定の難病であるクローン病に罹患してしまいファイターとして長期戦線離脱を余儀なくされました。
さらに愛する奥様を白血病で亡くし、まさに絶望の淵に落とされました。
それでも征矢選手は闘病を始めとしたとてつもない努力を続けて2019年のRIZINのリングで復帰戦を行いました。またリングに立って戦いたいと、ジムに行けば頑張っている仲間がいるから自分がこんなところで諦められないと努力を重ねた結果でしょう。
復帰戦をko勝利して次戦もko勝利するなどRIZINで徐々に注目度が増していった中でまたしても征矢選手の戦いの歩みを止める事件が起きてしまいました。

クローン病が再発したのです。

しかしそこからまたリングに帰ってくるために約2年8か月の闘病生活を経て復帰戦を決めました。
インタビューで征矢選手は”ジムの仲間やファンからの『待っている』という声がなかったらこんなに復帰にやる気がでなかった”とおっしゃっていました。
現在27歳でファイターとして重要な20代を愛する人をなくす絶望と闘病生活が大半となってしまいましたが、それでも応援してくれる人のために戦いの螺旋にまた帰ってきた征矢選手をまるで現在群雄割拠中のRIZINフライ級の主人公的存在と考えてしまうのは筆者だけではないと思います。

それぞれの絶望の底でもがいて這い上がってきた2人ですが、勝って多くの人に希望を見せることが出来るのは残念ながら1人だけです。
この2人の主人公の激突はまさしくMMAの残酷さを浮き彫りにするものです。ですがその残酷さもまたMMAの魅力の1つであることは間違いないです。
だからこそ見てる人たちは多くの拍手でこの2人を称えあいましょう。それこそがこの2人に対して出来る最大のリスペクトだと思います。


⑥金原正徳vs摩嶋一整

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おそらく今大会裏メイン枠でしょう。または多くの人がこの試合を自分のメインに据えている気がします。
何がすごいってこの2人は提示された対戦相手候補で一番強い選手をお互い選んでたわけですからね……常人には出来ないメンタルです。

金原選手は戦極やUFCに参戦していた立って良し寝て良しのオールラウンドにレベルが高い世界レベルのファイターです。
RIZINデビュー戦では現UFCのビクター・ヘンリーに2ラウンドにko負けしたものの実力がまだまださび付いていないことを感じさせる動きでした。

しかし試合後会見で唐突な引退宣言。その後約一年間戦線を離脱しましたが2021年に一つ階級を上げたフェザー級で元DEEPフェザー級王者の芦田崇宏選手にハイライト級のko勝利をしました。
格闘家の引退宣言と博打ごとでの所持金を倍にする的な発言は基本信じてはいけないというわかりやすい例ですね。

対する摩嶋選手は現在2連敗中ですがその相手が斎藤選手とクレベル選手だったり、両者とも1ラウンドはグラウンドの攻防で有利に立っていたりと未だ幻想が色濃く残っている組み技師です。
柔道でインターハイ、国体に出場するほどの実力を持ち、組み際に足をかけての投げやタックルによるテイクダウンが得意です。さらにそこからの寝技での一本決定率が非常に高いところが摩嶋選手の最大の強みです。

試合展開としては金原選手が終始主導権を握り続ける展開だと思います。
スタンドでの距離感と一撃に優れる金原選手が摩嶋選手の前進をパンチを打ちながら試合を組み立てていくと思いますが、一回でもテイクダウンに成功してグラウンドに移行すれば意外とあっさり摩嶋選手の寝技で一本取ることも考えられるマッチアップです。

ケージレスリングを得意とする両者がTRIGGERのケージでぶつかるこの一戦は格闘技オタクなら必見の試合です。フェザー級トップ戦線を占うハイレベルな一戦を見逃すな!


⑦関根”シュレック”秀樹vs貴賢神

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期待度は高い試合ではあると思います。ただこのカードが霞む今回のTRIGGERがすごいんだと個人的に思います。

去年の大晦日で感動的な試合をした関根選手は元警官現プロレスラーという異色の経歴を持ったファイターです。ボンサイ柔術所属ということで柔術が強くまたどんな攻撃をもらっても決して退かない根性が最大の武器です。

対する貴賢神選手はこれが初のMMAの試合です。
勿論何にもデータがないのでいつも以上に推測全開なんですが個人的には兄のスダリオ選手よりは期待値は低めに考えています。まぁスダリオ選手が大相撲からの転向ファイターで一番良い結果を残していると思っているので比較すること自体があれですがね……

NHKの大相撲中継だったり『バキ道』を読んだことがある人ならわかると思いますが、相撲という競技はとてつもないスポーツなんですよね。
100キロ越えの体ほとんど筋肉で構成されている大男が一瞬にすべてをかけて戦うものだからこそ、それ専門に体をチューンアップする必要があります。
過去何人もいた相撲界から転向してきたファイターは転向した年齢もさることながら、力士の体でMMAやキックボクシングに適応しようとしたから失敗したのではないかと思っております。
その点はスダリオ選手はヘビー級ファイターの体を作った状態でリングに上がりました。

貴賢神選手は約140㎏とヘビー級の中でも大きい部類でありそこから試合までどこまで体を作れるのか?またスタミナや打撃、寝技といった技術もまだまだ未知数と言わざるを得ません。だからこそ大きな幻想を抱えていることもまた事実です。
国内ヘビー級を引っ掻き回せる風穴をぶち抜けるのか⁉それともベテランの意地が跳ね返すのか⁉少なくとも素質は十二分なことは疑い知らずです。


⑧金太郎vs倉本一真

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何気に今大会で一番勝負論があるカードなのかなと思っております。
この二人の簡単な解説をバンタム級GPの際に記事でまとめたのでその記事を読んでいただけると幸いです。

しかし現状おかれている立ち位置はあの時とはちょっと変わっています。
倉本選手はバンタム級GP1回戦でアラン・ヒロ・ヤマニハ選手に敗れた後にトレーニングの拠点であるジムを変えたりグラップリング大会に出場するなど、一新された倉本一真Ver2.0状態で2月のTRIGGER 2ndで復帰戦を行って1ラウンドTKOで復活勝利を収めました。

見てない人にはおススメです。恐怖を覚えるくらいの強さと残虐性を感じる試合です。

一方の金太郎選手は一回戦の伊藤空也戦を激闘で勝ち抜くも続く二回戦で優勝候補であった井上直樹選手に敗れ、リザーブマッチでも元谷友貴選手に敗北してバンタム級上位陣との差を感じさせる手痛い連敗状態になってしまいました。

さらに金太郎選手は現在RIZINではko勝利が未だない状態です。元々豪快なkoが売りでRIZINに参戦してきた金太郎選手ですが名試合は多くあるもののいわゆるスカ勝ちには恵まれていない現状です。
個人的にはこの試合の結果は金太郎選手のこれからの進退を左右すると思っています。

だからこそこの両者の試合は非常に見ごたえがあるものになると思います。片やいちど落ちたトップ戦線を自らの環境を変えてもう一度駆け上がろうとする漢、片や重要な所で勝ちきれず気づいたら自らの居場所が崖っぷちになってしまった漢の戦場最前線に戻るための一戦という構図になります。

負けられない一戦というのは極端な話あらゆる勝負事で言えることだと思います。またある程度の人間がどんな形であれそれを経験して勝ったり負けたりしています。
だからこそこの一戦は見てる人間に深く刺さるはずです。
負けられない両者どちらにも感情を入れることが出来るのですから。


⑨ルイス・グスタボvs矢地祐介

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RIZIN世界開国宣言の第一戦目は両者節目となったあの日のマッチメイクです。
まずはこの一戦を見てください。

当時矢地選手はRIZINに参戦して無敗の5連勝の上り調子でここまで来てこの試合で始めてのメインを務めるほどの絶頂期にいました。
またグスタボ選手は当時まだ22歳の無名の若手外国人選手と、いかにも矢地選手を勝たせるマッチメイクです。
ですがこの一戦で一気にお互いの道が分かれる分岐点の一戦になりました。

グスタボ選手がこの試合を2ラウンドkoで勝利したことで一気に知名度を上げてライト級GPに参加するなど注目度とさらなるステップアップの機会のきっかけとなった一戦となりました。
ですが矢地選手はここから泥沼連敗ロードを進み始めてしまいました。2021年になるまで1勝5敗と勝ち星に恵まれない暗闇に入ってしまいました。
2021年に”ブランニューヤッチ君”として再出発することはできましたものの、あの日の敗北から絶望の道が始まったことは間違いないです。

この試合のカギはグスタボ選手の試合勘がどれほどの状態かだと思います。翌日のRIZIN.35でメインを行うジョニー・ケース選手を始めとしたコロナ禍で定期来日が難しくなった外国人選手は試合のない間に別の団体や競技で試合を行っていました。前述したケース選手はこの2年間の間にボクシングの試合に3戦出場していました。

しかしグスタボ選手は約2年間MMAどころか格闘技の試合に参加していません。
勿論コンスタントに試合に出れば良いとは一概には言えませんがイメージとしては2年間も試合が開くのは大なり小なり影響があるのかなと思ってたりします。恭司さんみたいなとてつもない例もありますけどね……

試合展開は矢地選手がどうグスタボ選手の前進を止められるかがカギだと思います。腕を伸ばして懐を深く構えるムエタイスタイルのグスタボ選手はその長い手を思いっきり振り回すフックでプレッシャーをかけてくると思いますが、これに対して矢地選手は関節蹴りや朝倉未来選手がやったようなミドルキックで立ち技で距離を作るプランだと思います。
その理由は実は柔術黒帯で一本勝ちも多いグスタボ選手に寝技の攻防を挑むのは現実的ではないでしょう。
だからこそ試合開始のスタンドの攻防が重要になってくると思います。

崖っぷちに落ちることとなったあの日の戦いを清算して対世界に名乗りを上げられるのか、それともブラジルの処刑人がヤッチ君の希望をつぶしてしまうのか⁉
コロナで止まったRIZINの時計がまた動き出す一戦になるでしょう。


⑩おわりに

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今回の記事はいかがでしたでしょうか。
このRIZIN TRIGGER 3rdの視聴は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい。

そして間に合えばですが4月17日に行われるRIZIN.35についてのnoteも見ていただけると嬉しいです!
またこの記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitter反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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