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【UFCの激闘王】マックス・ホロウェイ解説【Fighter's File】

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。



➀はじめに

2024年4月14日に世界中の格オタが待ちわびた「UFC300」が開催されます。この大会はUFCナンバーシリーズ300回目ということで全試合メイン級のとんでもない試合しかないやばい大会となっていますが、その中でもファンの注目度が非常に高いのがジャスティン・ゲイジーvsマックス・ホロウェイです!

この記事はそんなマックス・ホロウェイ選手のこれまでの経歴やファイトスタイルを解説していくものです!
そもそもUFCについてあまり知らないという方は筆者が書いたUFC解説記事を読んでいただけるとこの後の内容がもっと楽しくなると思いますので是非読んでください!


②マックス・ホロウェイ ”THE blessed"

マックス・ホロウェイ選手は現在32歳で主な実績は元UFCフェザー級王者、現UFCフェザー級2位、UFCの1試合における最多有効打撃記録(445)およびUFCキャリア内での最多有効打撃記録(3197)保持者です。
(有効打撃とはクリンチやグラウンド状態のような密着した状態以外の打撃を指します。ちなみに1試合における有効打撃記録の2位はロブ・フォントの271、UFCキャリア内の有効打撃記録はアンジェラ・ヒルの1896)

ホロウェイ選手はアメリカのハワイで生まれました。そのハワイの中でもかなり治安が悪いワイナイで育ったため周囲から身を守るために高校時代に始めたキックボクシングが格闘技の出会いでした。そこから当時キックボクシングの頂点だった日本のK-1に出場を目指し練習に励んでいましたが、同郷の元UFCライト級&ウェルター級王者のBJ・ペンのファイトマネーを知り大金を稼げることを知ってMMAを始めました。

その後わずか20歳でUFCと契約しダスティン・ポイエー(元UFCライト級暫定王者)やコナー・マクレガー(元UFC2階級王者)といったのちのスターに敗北するなどUFCでは勝ったり負けたりを繰り返すキャリアを歩んでいました。
ですが2014年に覚醒して怒涛の9連勝でタイトルマッチにたどり着くと当時の王者ジョゼ・アルドに勝利して王座戴冠、さらにダイレクトリマッチも退け初防衛に成功します。また2回目の防衛戦でブライアン・オルテガと対戦しUFCの歴史に残る大激闘を制するなど長期政権を予感させるほどを強さを見せました。

しかしその後現UFCフェザー級王者アレクサンドル・ヴォルカノフスキーに連敗、カルヴィン・ケイター、ヤイール・ロドリゲスとトップ選手を倒し3度目の挑戦権を得るも今まで以上のレベルの差を突き付けられる完敗をしてしまいます。現在はジョン・チャンソンを倒してランキング2位に位置づけています。
また対戦相手のレベルもすさまじくここまでのUFCで現フェザー級ランキング3位ヤイール・ロドリゲス、4位ブライアン・オルテガ、6位アーノルド・アレン、8位カルヴィン・ケイターに勝利しており元UFCライト級王者アンソニー・ペティス、チャールズ・オリベイラにも勝利しているまさに歴戦のファイターです。

プライベートでは日本のアニメや漫画が大好きで毎年ハロウィンでは家族でキャラクターのコスプレをするのが定番となっております。

2022年のコスプレは鬼滅の刃 過去にはNARUTOや東京リベンジャーズのコスプレも行っている


③マックス・ホロウェイのファイトスタイルの特徴

ファイトスタイルの特徴は自身の打たれ強さを活かして相手の攻撃を気にせずガンガン前に出て自分の打撃を当てる打ち合い上等のタフなスタイルです。RIZINだとルイス・グスタボ選手が近いですね。

右がマックス・ホロウェイ選手
左の選手(カルヴィン・ケイター)と比較するとわかりやすいが
腕を前に出してガードを上げない懐が深い構えが特徴的。

こういう腕を前にした構えのメリットは試合ではリーチ以上の間合いを作ることが出来るので相手により先に打撃を当てやすいということです。
これについては大原樹里vsルイス・グスタボを書いたnoteでも書きましたが、この構えは正確には腕ではなく肩甲骨を前に出してリーチ以上の間合いを作っています。これのおかげでホロウェイ選手はフェザー級では長い方ではないリーチ(ホロウェイのリーチは175㎝、前戦の相手のコリアンゾンビは182㎝)ですが打撃戦で相手のリーチの長さに苦戦することなく展開を作ることが出来ます。

さらにパンチを撃つ場合は通常の構えよりも拳が下になるので、自然とパンチが下から上に伸びる軌道になります。このnoteを読んでいる人は1回手を止めて鏡の前でこの打ち方を試してみてほしいのですが、自分が思っているよりもパンチの軌道がわかりにくいと思います。素人でもこれだけ差があるので、勿論ホロウェイ選手が行う場合はかなり相手は混乱していきます。

腕を下げた特徴的な構え
右の選手と比較するとグローブの高さがかなり違う
左ジャブを打つシーン
これで相手との主導権争いを行う
下から上に上げるタイプのジャブ
構えの拳の位置からかなり上に伸びる
右ストレートのシーン
飛び込みながら打ったり振り下ろすように打ったりとパターンは様々

逆にデメリットはパンチに威力が乗りにくくなります。
これの理由は肩甲骨を前に出す構えのため腰をひねる動作がしにくく結果として腕だけでパンチを撃つ、いわゆる”手打ち”のパンチになってしまうからです。
通常のMMA選手ですとこのデメリットを嫌ってあまり行わないですが、ホロウェイ選手の場合は圧倒的なスタミナによるパンチの連打とどんな相手でも先進してプレッシャーをかけるスタイルなためこのデメリットがあまり影響しません。

またキックボクシングバックボーンということでカーフキックやバックスピンキックをよく使います。特にバックスピンキックは相手がパンチを撃つ際に空いたボディをピンポイントで狙えるほどの精度がある技ですのでただの大技ではないことがわかります。

またホロウェイ選手は2021年1月のケイター戦から近距離ではヒジ、中間距離では関節蹴りを取り入れてさらに攻撃の幅を広げました。
近距離のヒジの場合は打つ際のフォームが右ストレートと同じなので前進しながら右ストレートを打つ際に混ぜて使うことで相手のガードを絞らせにくくする効果があります。
具体的にはホロウェイ選手の右ストレートは少し打ち下ろすような挙動で打つので相手のガードの内側にパンチが行くのですがヒジの場合は途中で相手の外側に攻撃が行くので、相手はホロウェイ選手が右の攻撃をしようとした場合にどこにガードを設定するか一瞬迷い、逆にホロウェイ選手は相手のガードが無い方に攻撃を打てばいいわけですので、この攻防においてどこに攻撃を打つかの権利を完全に握っているということになります。

ケーター戦のヒジ打ちのシーン
呼び動作が右ストレートとほぼ同じなため非常にわかりにくい

中間距離の関節蹴りは主に相手との距離調整のために使います。
そもそも関節蹴りとは相手の膝の上あたりに向かって打つ蹴りのことで、UFC2階級王者ジョン・ジョーンズ選手やRIZINバンタム級で活躍中の井上直樹選手が得意としています。
特徴として同じ相手の足元を狙うカーフキックやローキックよりも直線軌道で蹴るので相手にキャッチやカウンターへのリスクが少なかったり、相手の膝が前に出る体重の乗った瞬間に蹴ることで相手の前進を的確に止めるなどの効果があります。

井上直樹の関節蹴り
相手が攻撃をする際にカウンターのように合わせる
当った瞬間に相手の膝が押し出されるようになる

これをホロウェイ選手はうまく混ぜることで、自分が攻めたいときはパンチでプレッシャーをかけて相手が攻めてくる時には関節蹴りで距離を取って仕切り直しをするなど、その空間把握能力で距離感とペースをコントロールして主導権を握ります。

関節蹴りで相手の前進を止めるシーン➀
関節蹴りで相手の前進を止めるシーン②

その空間把握能力を示しているのがvsカルヴィン・ケーター戦です。
この試合は当時UFCフェザー級王者アレクサンドル・ヴォルカノフスキー選手に敗北した後の復帰戦で2021年最初のUFCのメインでした。当時のけーたー選手はUFC6勝2敗の戦績で長いリーチを生かしたボクシングが得意な選手です。
どちらも同じくらいのリーチに優れたボクシングテクニックがあるので緊張感のある試合になると思われていましたが、ホロウェイ選手が序盤から徐々に試合の主導権を握り4R以降には完全に試合を制しました。ただケーター選手はその状況でも最後まであきらめずに5Rに突撃をしましたが、ホロウェイ選手はなんとケーター選手のパンチを見ずにウィービング(パンチをくぐるように避けるディフェンス)とステップワークで回避し、『I`m Best Boxer in UFC Baby!』(訳:俺がUFCで1番のボクサーだ!こんにゃろうめ!)というとんでもないパフォーマンスをするほどの余裕がありました。

そんなホロウェイ選手ですが、しいて弱点を上げるならそのボクシングが崩されたときです。
先ほど挙げたヴォルカノフスキー選手とは計3度戦ってすべて敗北していますが、1,2回目の試合は両選手ともとても競った試合内容であり2回目ではスプリット判定での決着だったいうことで、両選手の実力が高いレベルで拮抗しているのがわかります。
ただ3回目の試合ではヴォルカノフスキー選手が圧倒的な差を見せつけて勝利しています。その勝因としてヴォルカノフスキー選手のボクシング技術が挙げられます。詳しい内容はMMA言語化挑戦中さんが動画で解説しているのですが、非常にわかりやすいので見てみて下さい!


④マックス・ホロウェイの今後

そんなホロウェイ選手の次戦は前述したとおり「UFC300」でのジャスティン・ゲイジー戦です。
ゲイジー選手は元UFCライト級暫定王者でどんな相手でも打ち合い上等の真っ向勝負を好むライト級の激闘王です。そんな2人がBMF(Best Mother Fuckerの略。意訳:世界で1番イカしたやつ)ベルトをかけて戦うので、もうとんでもない試合になるのは試合前から間違いないです!


⑤おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
そのほかにもUFC300では2大タイトルマッチに筆者が過去記事を書いたチャールズ・オリベイラ選手やイリー・プロハースカ選手など人気選手が大勢出場しているとんでもない大会ですので、UFC Fight Passをこの機会に登録してはいかがでしょうか!
さらにU-NEXTが「UFC287」から視聴可能となりました!また他にも多くの格闘技団体の視聴が出来るようになったりと今まさにU-NEXTの登録に1番ベストな時期ですので皆様も登録して豊かな格闘技ライフを楽しみましょう!

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ここまで読んでいただきありがとうございます!

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