子育て中の女性アーティスト・インタビュー vol.1 山本優美(4/4) - インタビューを振り返って

著:山本優美  / YAMAMOTO Masami

ひいなアクションの高橋さんとアーティストのモンデンさんから、インタビューの取材を受けたのは去年の10月半ばでした。それから半年ちかくが経ち、2歳のイヤイヤ期真っ盛りだった娘ももうすぐ3歳になろうとしています。娘の成長とともに、生活のリズムや私自身の気持ちも、インタビュー当時の気持ちから少しずつ変化し続けています。

定型のないアーティストとしての活動と子供との時間にエネルギーを注ぎ、自分の子育てに満足しているかというと、子供にとって充分ではないかもしれないとも思うこともよくあります。そもそも、答えもなく手探りでひとりひとりの人間と向き合う子育てを、充分にできていると思う親などいないのかもしれません。

ある年上のアーティストの方に子育てのお話をした時のことです。ご自身の子育ての経験を話してくださいました。当時は今のような子育て支援も男性の育児参加の意識もない時代です。それでも女性たちは子育てをし、生活のための労働をしながら、身を削って作品を作り続けたと。子育てを作品が作れない理由にしてはいけない。どんな状況でも作ることを止めない、止められないのがアーティストという存在なのではないかと。このお話を聞いて、私は背筋が伸びる思いがしました。

今という時代、子育てのみならず、絶え間なく発信され続ける膨大な情報や、有用性や効率を求める空気など、時代特有の息苦しさもあるかもしれません。

私はこのインタビューで「私、大変なの!」ということを言いたかったのでしょうか。確かに非常に悶々としていた時でした。そのように感じられる方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。また、このインタビューで自分自身の活動の実態について、特に経済事情について語ることは、非常に勇気の要ることでした。

定型でないアーティストの「生態」、ましてやその子育て時期についてなど、あまり見聞きすることがないように思います。私は他の子供をもつアーティストの方々が世代を超えて、どのように子育ての時期を過ごしている、過ごしてきたのかを知りたいと思い、インタビューのアーカイブを提案しました。

もし子育てと仕事などの両立に悩み、アーカイブの記事を目にした誰かが、こういう人間もいるのだと共感や反感など、何らかのかたちで子育ての時期を考える材料を提供できたらうれしいです。(2020年3月27日 )

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