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『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』

最近、4人でオープンダイアローグをやってみているのですが、この本を何度も読み返しています。
「やってみる前に読んだ時の印象」と「やってみてから読んだ時の印象」が、ずいぶん変わります。
オープンダイアローグは、まだ続けますので、自分用のメモとして抜書きしておきます。(基本のやり方の部分ではありませんので、基本から知りたい方は、ぜひ本をお読みください。)

認知症の「妄想」や「幻覚」と呼ばれるものにも、認知症のある本人と家族間の軋轢にも、介護職・医療職の悩みにも応用できると思います。

本の帯から
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「自分自身を知る」とは「自分はこういう人間だった、わかった!」という理解ではありません。自分自身もまた「汲み尽くすことのできない他者」として理解することです。対話実践とはその意味で、自分自身との対話でもあるのです。p.6

まずは身近な人と、やってみてください。見よう見まねでも構いません。もう少し本格的に試みたい方には、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパンが作成した「対話実践のガイドライン」に目を通されることをお勧めします。p.7

「そんなことあるわけがない」と反論するわけでもなく、「そうですよねぇ」と同調するわけでもなく、ただ、「私にはそういう経験をしたことがないからよく分かりません」という基本姿勢で、「どういう経験か知りたいので、もっと教えてくれませんか」と尋ね続けたことだと思います。
そのように聞いていくと本人は、みんながわかるような言葉を自分で絞り出して説明するわけですが、おそらく、他人にわかってもらうように説明するという過程のなかに、ちょっとこれは自分でもおかしいなとか、自発的に気づくきっかけがあったのかもしれません。人から言われて気づかされるのではなくて、自分から矛盾や不整合に気づいて修正していくと、結果的に正常化が起こってくるということかもしれないなとは思いました。 p.61-62

この人の訴えを「妄想」と呼ぶ医師もいるかもしれません。妄想というと、きっちり構築された理屈みたいに聞こえますが、実は妄想の背景にあるのは、怒りや悲しみなどの強い「感情」なんですね。だから感情の部分に隙間ができると、妄想の内容もだんだん変わってくる。P.62

オープンダイアローグは、1対1ではできません。やってみたい人は、必ず仲間を見つけてください。最低、2人いれば十分です。3人いればベストですけど、2人からできますので、お友達を誘ってやっていただければ結構です。
チームのいいところは、二者関係という密室から解放されることです。P.69

他者は、自分とは決定的に違うし、他者を自分と安易に同一化することは間違っているという認識ーーこれがオープンダイアローグの一貫したテーマです。それをポリフォニー(多声性)という言葉で表しています。p.73

会話というのは、「合意と同一化を目指す」もの。対話というのは、「自分と相手がいかに違っているのかを理解し受け容れる」ためのもの。違っているからこそ対話ができる(略)  p74  (平田オリザさんの言葉として)

そういう意識で患者の話を聴いていくと、患者はしっかりと聴いてもらえたという感じ、ちゃんと尊重してもらえたという感じを受けるようです。この尊重感がとても重要です。オープンダイアローグの効果が示しているのは、患者さんの尊厳をひたすら尊重することにこそ治療的な意味がある、ということなのですから。p.74

異常体験を語る人がいたら、複数メンバーで、強い興味と関心を向けながら、できるだけくわしく多角的に掘り下げるーーこれが正しいやり方です。幻聴でも妄想でも同じことです。これを続けていくと、驚くべきことに改善が起こり始めます。信じられないと言う方は、まずご自身で経験してみることをお勧めします。p.95

「あっ、幻聴ね、わかりました」みたいな態度だと間違いなく症状は悪化します。p.96

症状を否定することは、その人自身を否定することです。p.96

大事なのは「よかったら聞かせてもらえますか」「もう少し詳しく教えてもらえますか」と「お願い」する姿勢です。p.97

彼によれば「今まで両親は、常に結論ありきで、自分を変えようとばかりしてきた。それが非常に嫌だった」と。ひきこもっている人に、働けと言って、説得や議論をしたりするのがなぜいけないのか。それは、「議論や説得は当事者の力を奪うから」だと言うんですね。 p107

認知症の方も、その人の尊厳を徹底して尊重されれば症状が改善していく。p.109

暴力は統合失調症の人の「危機的状況に対する対処行動」でしかないのです。だったら、その対処行動をしなくてすむ状況をつくれば、暴力は起こらないんです。p.111


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