#32 カラフルは許容される?

子供が絵をかくときは絵具やクレヨン、色鉛筆やクレパスを使って色塗りをすることは誰にでもなじみのあることだろう。それらの入った箱を開けると、明るい色からクールな色まで様々な色が入っている。俗にいう、カラフルというやつである。塗り絵をするときはカラフルな方が賑やかな感じがしており白黒の世界に比べると良い印象を抱くことができる。人生においても、モノクロの人生だとつまらない人生というイメージだが、カラフルな人生というと充実した生活を送っているということになる。

こんなかんじで、カラフルはよいことの象徴とされているが、実際私たちの身の回りを観察してみると、案外カラフルなものは毛嫌いされているのではないかと思うくらいカラフルが存在していなかった。カラフルが存在しない事象に一つ一つ注目すると、カラフルが避けられている理由が各々で見えてきたので紹介する。

食べ物
食卓を想像してみると、野菜であれば赤や黄色や緑、米は白、汁物は茶色や白など一応様々な色が散りばめられている。だが、クレヨンの並びに比べるとカラフルさに欠けており、それが青(や水色)である。

水色はかき氷のブルーハワイシロップで見られるが、それ以外の食べ物で青色をしたものは見ないと思う。青は食欲減衰の効果を持つから食事とは相性の悪い色だ。我々は魚や肉などを食べるが、それらの生き物の中に青いものがいない。魚が青い気もするが、白がメインになってくる気がする。

あと、お菓子もおいしそうなのは質素な色が多い気がする。たまにカラフルなお菓子があるが、見た目だと映えるかもしれないが人工物っぽくて不健康そうなイメージも植え付けることがあると思っている。視覚的な鮮やかさは食となるとまた別になる。

服装
街中を歩いていると、サラリーマンや学生、私服を着たプライベートの人々などがいるが、基本的に白や黒、薄い青、クリーム色などの抑えられた色になっており、カラフルさのかけらもない。特に、鞄や靴となると、極端に黒や灰色が多くなる。日本人は黒髪が多いからカラフルに見えないということでもあるだろう。

一方で、テレビをみていると、たまにカラフルな人たちがいる。
色別でみると

赤⇒カズレーザー、テツ&トモのテツ、スガちゃん最高No1、コウメさん
青⇒ティモンディ前田、中野なかるてぃん、スギちゃん、トモ
黄⇒きしたかの たかの、ダンディ坂野
緑⇒まちゃまちゃ
オレンジ⇒ティモンディ高岸
ピンク⇒春日俊彰、林家ペー・パー子
紫⇒ぺこぱ松陰寺
黒⇒マツコ・デラックス(敬称略)

こうみると、ほぼ芸人であり、俳優などはあまり思いつかなかった。
一方、アイドルでいうとももクロは衣装が色ごとに分かれている。

テレビはエンタメだからカラフルになりうるが、街中で白黒以外の派手目な色をつけると街中から浮き変な人という印象が付きがちである。私は服自体は白黒がほとんどであるが、靴や腕時計はカラフルで派手目になっているため少々目立っているかもしれない。だが、大学院生で私服生活が基本だから許容の範囲内ではあるだろう。

身だしなみでのカラフルは浮きがちになってしまうのだ。

部屋
大人しめの色がメインの環境だと勉強効率が上がるなんてことを聞いたことがある。反対に、カラフルのうちに入るような刺激的な色が目に入ると気が散ってしまうということがある。部屋の色は集中力や気分にかかわる。

たしかに、建物の内装は基本白である。白の方がコストが安く抑えられるということが主な理由だろうが、視覚的にも合理性がある。私が浪人時代通っていた予備校の校舎は階によって色が異なり、カラフルな校舎になっていた。勉強効率面でいうと悪い気がする。また、授業をしていた講師の方が、「ここは幼稚園みたいですね」とカラフルな校舎のことを若干揶揄していた。

反対に、建物が白黒だけだとシンプルすぎて建築模型の中にいるみたいな感じがするのでそれはそれでやりすぎだと思う。ほどよく木の茶色など優しめの色やコンクリートの灰色が入り込んでいるくらいがちょうどよいと思われる。

ランドセル
最近はよく知らないが、私が現役の頃は黒か赤、たまに水色や茶色といった感じだった。様々な色が出てくることは面白いことではあるが、いずれにしても無地であるので、スポーツメーカーのおしゃれなスパイクみたいに、複数の色の絵具を乱雑に散りばめたような柄にした方がより面白くなりそうだなと思った。


服装とほぼ同義だが、一日おきに着替えられないという点では固定的だ。黒以外には、白、茶、金などがあげられるが、中には赤青緑ピンクなどのように派手な色合いも存在する。アルバイトや校則でも髪色の指定がある場合も存在することから、社会的に髪にはカラフルが毛嫌いされている印象がある。

カラフルが許される対象
以上のように、人間に関連することは基本的にクレヨンや絵具のような色鮮やかさは、誠実さにかけ社会的には毛嫌いされている印象を受けた。一方で、こんな世界にもカラフルが許される世界がある。

先日、昼間にかなりの雨が降っていたが、私が大学から家に帰る途中で雨がやんでおり、最寄り駅について駅を出るときには傘が不要になっていた。出口階段を下りた先には、駅から出た人々が同じ方向にスマホを向けている。何かと思い私も駅を出てその方向に目をやると空に大きな虹がかかっていた。夕日のオレンジも相まって綺麗な空色となっており、撮影する人は老若男女や国籍問わず様々な人がいた。年齢や属性に関係なく多くの人が虹というカラフルに心惹かれている光景に私は感動した。人間周りでは毛嫌いされるカラフルが空に演出されると反対に感動の対象になることに驚いたのだ。

この虹はカラフルが売りだと思う。もし、白や黒の単色によるアーチ形状だったらここまでカメラを向けることがあるのだろうか。動植物で許容されづらい青系が唯一許容されるのが水に関連する世界で雨上がりの虹はその一つである。青を包摂できる虹はまさにカラフルを許容された唯一の存在なのである。

人間はカラフルと相性が悪い一方で、水を中心とした大自然虹は唯一カラフルが受け入れられていて自然の雄大さを痛感させられた日となった。






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