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【ドラマ「大奥」第6回、7回】綱吉の心が乾いていく過程

「大奥」の綱吉編が終わりました。
展開は原作で知っていたものの、あまりにも救いのない世界です。

華やかで傲慢にも見える綱吉は、実のところ、思春期から精神的にはかなり酷な出来事が続いています。
親友だと思っていたおもと(柳沢吉保)が、自分の父親と通じていたり(吉保は吉保で綱吉に片思いし続けていて、側にずっといたかったからそうしたわけですが)。

唯一、心を癒す存在だった娘、松姫が亡くなります。
そればかりか、亡くなった後は世継ぎを作るよう、父親(家光編の玉栄)に大奥で相手を見繕っての夜伽を強いられます。

世継ぎができないのは、若き日の殺生のせい。それを神仏に許されるために悪名高い「生類憐れみの令」を出させます(綱吉が懇願しても、撤回はかなわない)。

綱吉の心が乾いていく過程が、これでもかと描かれます。
大奥内で男色の関係にある二人をわざわざ呼び、夜伽の後に「では、そなたらで睦みおうてみよ」と言い出します。
一人は、こんな辱しめを受けるくらいならと自害しようとします(未遂)。

ここで右衛門佐に、上様の力は政治のために使うもので、若い男たちを辱めるために使われるものではないと諌められます。その時の綱吉の

「何が辱めじゃ!私は毎夜毎夜、こうしてそなたらに夜の営みを聞かれておるではないか!そうか、これは辱めであったか!」

という慟哭がたまりません。
性の自己決定権などあるはずなく、世継ぎを作るために自尊心など踏みにじってしまう「辱しめ」は、史実の大奥にもあったのかもしれず。
男性将軍も苦しんだかもしれないんですよね。

綱吉は右衛門佐と一夜だけ、世継ぎを作るためではない、心から慈しみあった関係を結び、その直後に父親を振り切って自分の意思で後継者を指名します。でも、右衛門佐はその日に病死してしまう…。
あまりにも酷です。

救いがあるとしたら、子ども時代の吉宗が綱吉に拝謁した場面。
綱吉がとらわれていた価値観(子をもうけるために、男の気を引くよう美しくあらねば)を、見事にひっくり返します。
自分が美しい男に興味がないから、逆に美しくない女子を好く男もいるはずだと。

風穴を空けるような発言をした、のちの女吉宗であります。
綱吉の死まで終わり(これはこれで衝撃的だった)、次回は吉宗編に戻るようです。

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