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「筆跡」で人の内面を知ることはできるか

先日、遠方で直接買いに行けない品物をインターネットで注文したところ、お店の方が丁寧に手書きでお手紙を添えて下さいました。手書きの文字は、思いやりが伝わり、大変心温まりました。

もともと私は、手書きの文字を見るのが好きで、筆跡からその方のお人柄が垣間見れるような気がしていました。でも、よく考えてみたら、筆跡で人の内面を知ることなんてできるんでしょうか。少し調べてみました。

筆跡からパーソナリティを分析できるか

筆跡については、就職活動の際にも提出書類の文字から性格や心理が読まれてしまうといった話を聞くこともあります。筆跡を判断材料とするために履歴書は手書き必須といった会社も実際あるとか。

筆跡からパーソナリティを分析できるのでしょうか?

評価基準の比較的作りやすい「文字の構成要素のサイズや傾き」を用いて行った研究もあるようですが、筆跡とパーソナリティを科学的に関連づけることは今のところ難しいと結論づけています。

筆跡診断と筆跡鑑定

以前から、いわゆる「筆跡診断」と呼ばれる性格診断がありますが、これについては、賛否両論あるようですね。これまで積み重ねられてきた経験から作られたなんらかの法則を使っているのでしょうから、占星術と同じ類のものと考えて良いのかなと思います。

こういった「筆跡診断」を「筆跡学」と表現する場合もありますが、犯罪捜査などでも使われる「筆跡鑑定」はまた別の分野の「筆跡学」ということになります。
筆跡鑑定は、複数の筆跡について書いた人が同一かを判断するもの。警察・大学等の研究者で、日本法科学技術学会に所属する鑑定人が行います。
訓練して自分の筆跡を隠したり(偽筆)、他人に似せて書いたり(模書)した文字の形は、コンピューターでは見抜けないため、筆跡の個性、恒常性、希少性、無自覚性、個人内変動の5つのポイントなどから総合的に人間の目で判断するのです。

ただ、この鑑定の科学的根拠についても、懐疑的な意見をお持ちの方がおられるようです。実際に、根拠とできる研究成果などはあがっていないようなので、筆跡鑑定それ自体が一つで証拠になるほど強いものではないのかもしれません。おそらく、捜査の中で得られた他の証拠とともに積み上げていく事実の一つといったところなのでしょうか。

「筆跡」は「活字」が服を着ているようなもの

「筆跡」から人柄がわかるということではないのですが、活字の状態より、手書きの文字の方が情報量が多いのは確かです。
文字の形のイメージから、活字にはない「印象」が生まれます。どんなペンや色を選ぶかで、好みも少しわかるかもしれません。書くことが好きなのか嫌いなのか?文字に気を使う人なのかそうでもないのか?例えばそんな様々なイメージが湧いてきそうです。

この活字にはない「印象」について、私は「活字が服を着てる」ようなイメージが湧きました。着ている服でその方の中身を判断することはできないけれど、なんらかの「印象」を受けますよね。
例えば、「いつもパリッとしたシャツを着てて几帳面な方なのかな」「自分と色の好みが似ているのかも」「めっちゃオシャレ」などなど。

活字の文章では伝わりにくいニュアンスなどを、活字が服を着ることで印象が補完されて、会話がスムーズになることもあるかもしれません。今こそ、手紙や文通をリバイバルさせる時期かもしれませんね。SNSに「手書き」を導入するのも面白い案ではないかと思っています。

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