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音楽制作業 OFFICE HIGUCHI 10周年までの道のり#30 〜そしてパーティーピーポーになる。独自に練り上げていった忘年会の心得〜

お世話になっております。代表の樋口太陽です。

2018年の終わり、人との繋がりの素晴らしさを徐々に実感し始めた僕たちは・・・

パーティーピーポーになりました。

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僕たちはそれまで、たまに忘年会などのパーティーに顔を出すことはあっても、特別、何かの意志を持って参加したことはありませんでした。

しかし、人との繋がりについての重要性、そして素晴らしさについて思い知らされたのが、2017年度の営業の時。


今まで出会ったことのない人に会って、話すこと。それが、未だ見ぬものづくりをご一緒することに繋がること。営業の時の目的は「会社存続」というのっぴきならない事情でしたが、この時の経験で、僕たちは、人に会って話すことを恐れないようになり、さらには純粋に楽しめるようになりました。

少しずつ、この国のクリエイティブ業界の全体像が見えてくるにつれ、僕たちは、もっともっと沢山の人と出会いたい、もっと直接話を聞きたい、という思いにかられました。とても狭く、閉じられている部分も多い業界の話。ネットで検索して出てくるような情報は氷山の一角です。第一線で活躍している方の口から飛び出す話こそが、もっともエキサイティングな学びだということが、わかってきました。

それが最もパワフルに飛び交うのが、パーティーという場です。

ちなみにですが、今まで僕は全くそういうタイプではありませんでした。忘年会はおろか、積極的に初対面の人とコミュニケーションをとるのが、あまり好きではなかったのです。盆地である田川という地の性もあるのか、基本的には閉鎖的なコミュニティを好む方でした。

東京で社会人になって、ただただ必要にかられて、それはまるで、キリンの首が高い木の葉を食べるために仕方なく伸びたかのように、パーティーピーポーへと進化しました。

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2018年の年末、ありとあらゆる忘年会の情報をゲットし、行けるものには全て、僕、ぶち、ジェット宮田、三人のプロデューサーで顔を出しました。


はじめに

みなさまは、忘年会のことを、どう捉えていますでしょうか。今年の頑張りをねぎらう会?パーっと飲んで嫌なことを忘れる会?間違いありません。しかし、僕が思うことがあります。

忘れたり、ねぎらったりするだけでは、どうしようもない。

自分の中ではもっとポジティブなるもの。「来年、そして人生の可能性を最大化するための闘い」と言えるものだと思います。この二年間、パーッと忘年会は行えない年が続きましたが、2022年の12月は、よい形で忘年会を行えますように・・・という祈りを込め、この時に僕が得た学びを、今こそ記します。※なお、あくまでビジネスの出会いの場としてのパーティー前提です。

1.仕事するな!遊ぶな!12月の全てを空けろ!


まず、パーティーピーポーとしての大前提はこれ。他の季節は誰もが人それぞれ忙しくても仕方ないですが、12月だけは絶対に忘年会に行かなければならないのです。

ほとんどの忘年会は、12月に行われる。
ほとんどの人は12月、マックス忙しい。

ここにパラドックスがあります。抗わず自然に受け入れてしまうと、当然、今年も忙しくて忘年会にあんまり行けなかったな〜という事になってしまいます。

「たのむ〜!忘年会の開催を、12月じゃない時期に移動してくれ〜!」というのは、日本の慣習上、厳しい話です。であれば、あなた自身が12月に忙しくならないことが重要です。忙しくならないために出来ることはなにか。

12月の予定を、限界まで空けましょう。

友達とのイベントごとは、可能な限り全て新年会などにまわし、仕事も可能な限り新年にまわし、とにかく身体を空けましょう。12月は、人生を通じてのソウルメイトと出会えるかもしれない魔法の月です。12月の全てを注ぐつもりで挑みましょう。周りの方に早めにこのスタンスを示しておくことにより、上司や家族の理解も得られやすいはずです。逆に言うと、事前にスタンスを示さず、急にこのような行動に出た場合は、人間関係が悪くなる恐れがあります。

そして、早めにスケジュールを組むことも重要です。例年行われているような忘年会は、関係者の方に「今年は何日になりそうですか?」など早めに聞いておくのもよいでしょう。毎日埋めると体力が持たない予想がされるなら、休肝日も計画的に設けた方がよいかもしれません。一ヶ月のロングランだと思い、プランを練りましょう。

また、クリエイティブ系の忘年会は、基本的に表に情報は出ません。ネットにも、情報誌にも載っていません。多くの場合、人からの口コミか、もしくは繋がりのある方のFacebookイベントページでお誘いを頂く事が多いです(のちほど、Facebookについて触れますが、数々のSNSの中でも、Facebookがおすすめな理由は、ここにあります)。

あまり自分に情報が入ってこない状態であれば、周りにそういう情報を持ってそうな人を見つけて、恥ずかしがらずに聞くしかないかもしれません。

2.ガッツリ腹を満たして忘年会に行け!


友人のエッグ矢沢が、以前誰かに言っていた、印象深いセリフがあります。

「お前は、メシを食いにパーティーに行ってんのか?そうじゃねぇだろ、人としゃべるために行ってんだろ。だったらパーティーの場でゆっくりメシなんて食うな!」

パーティーの場では、ごはんが出ます。絶品の料理を味わい、舌鼓を打って感想を述べ合うようなパーティーならば別ですが、コミュニケーションを目的とした立食パーティーの場合は、ビッフェで並んで食べ物をゲットする時、食べる時、刻々と時間が過ぎていきます。

それを防ぎ、集中して人とコミュニケーションをとるためには、空腹で行かないことが重要です。会費がもったいない?違います。あなたの払った会費は、その夜の食費ではない。その夜のトーク費です。パーティー会場に入る前に、おにぎりやラーメンを食べ、腹を満たしてから行けば、長い時間ビッフェに並んだ後、隅っこで一人、何かを食べて時間を過ごすようなことはなくなるでしょう。

3.その出会いは「会ってないのと一緒」になってないか!?


すごく普通なことですが、名刺は切らさないように、たくさん持っていった方がいいでしょう。

名刺も切らしていて、連絡先の交換もできなかった場合、その出会いは、「会ってないのと一緒」になるからです。あなたがよほど印象的な見た目と名前でない限り、一晩経つとあなたは忘れられてしまいます。このデジタル時代、名刺は前時代的なツールとバカにしている方も多いとは思いますが、パーティーの場では名刺という物質はバカにできません。

酔った状態でたくさんの人に会いまくるパーティーの場では、名前、正式な肩書き、連絡先が全て記載されてある名刺は、後から人のことを思い返すのに、とても有効なツールです。変わったデザインの名刺ならば、より強力です。

「SNSで繋がったらよくね?」そう考える人はいるかもしれません。しかし、SNSで繋がった場合、昨晩会った人なのか、以前からの繋がりの人なのか、出会いの時がよくわからない「大勢のトモダチ」の海に放り込まれます。その点、名刺だと「昨日出会って話したのは、この手元の名刺にある15人だ」というリアルさを伴って、お互いに思い出すことができるのです。

4.決して後回しにしてはいけない行動がいくつかある!〜共通の友達編〜


その場その場でやった方がいい行動がいくつかあります。まず、名刺交換とともにSNSで繋がるのであれば、その場で即座に繋がることが重要です。

SNSにもいろいろありますが、やはり現状の自分の同年代(30代後半)のビジネスパーソンの間では、やっぱりFacebookがよいと思います。基本的に本名であること、アクティブにお互いチェックすることが予想されるからです。※あくまで、これを書いている2021年の時点の話です。

なぜその場で繋がった方がよいか。それは、「共通の友達」がその場でわかるからです。人が仲良くなるにあたって、何かしらの共通項が必要です。出身地、趣味、好きな食べ物・・・それらの中で、最も強力なのが「共通の友達」だと思います。

そんなの、繋がってさえいれば、後日でもわかるんじゃない?

という声が聞こえてきそうです。しかし、リアルタイムの方がよい確かな理由があります。それは、同じ共通の友達でも、仲の良さに強弱があるからです。後日に共通の友達について連絡する、よくない例を挙げます。

田中さん、先日はありがとうございました!樋口です。今、見ていてビックリしたんですが、龍造寺さんと共通の友達なんですね!彼とは仕事でも遊びでも、めちゃめちゃ関係が深いんですよ!

この場合、幸運なことに、田中さんと龍造寺さんがしっかり面識があればよいですが、ほとんど面識がなく「Facebookで友達なだけ」の可能性があります。その場合、田中さんは微妙なリアクションをしなければなりません。

樋口さん、先日はこちらこそありがとうございました!田中です。龍造寺さんと共通の友達なんですね!龍造寺さん、実はおそらく数年前にお会いしたきり、あまり連絡とれておらず・・・な感じなんです。すみません!汗
でも、ご連絡ありがとうございます!

このような、気を使った返信をさせてしまうことになります。これを防ぐためにできること。それが、リアルタイムで共通の友達を見ていって、友達加減の強弱を確かめていくことです。その場で反応を見ていけば、龍造寺さんとはあまり仲良くなくても、何人目かで本当に仲の良い共通の友達にヒットするかもしれません。そこではじめて、田中さんとの間に共通項が産まれるのです。

5.決して後回しにしてはいけない行動がいくつかある!〜飲みの誘い編〜

基本的に、飲みのお誘いはその場で行うほうがよいです。なぜか。NG例を記載します。

田中さん、先日はどうもありがとうございました!樋口です。いや〜話し足りなかったですね〜。ぜひ今度飲みに行きましょう!

忘年会の期間、田中さんは毎日のように酔いながら、たくさんの人と会っているので、残念ながら田中さんは、あなたの顔やキャラクターをあまり覚えていません。これは仕方のないところです。このような連絡は、田中さんにとって少々荷が重いです。「今度」といっても、具体的な日程候補を出すのはどちらが担うのか・・・いろいろ大変です。

それを防ぐためにやれること。それは、会って顔を合わせているその場で、飲みの誘いをしてしまうことです。できれば、日程もその場で決める方がよいです。お互いカレンダーを見つつ、来年の1月でも2月でも3月でもかまいません。空いている日を見つけて決めてしまいましょう。これがお互いにとって、トータルでいうと最も負担のない方法です。

しかし、ここで重々、気をつけなければならない事があります。話を持ちかけた自分の仕事の実力が見合ってなければ、その飲み会はWin-Winにはならず、単なる重荷になってしまうことです。相手にとって、自分がどのような立ち位置にあるのか。見極めるのに失敗することもあるかと思います。しかし、経験を積めば、だんだん押す、引く、の嗅覚が備わってくるでしょう。

この人とは後日ぜひ飲みに行きたい、相手にとってもきっと迷惑でないはずだ!という判断が下せた場合は、瞬時にその場で日程を決めましょう。

6.盛り上がっていない時間が狙い目だ!長時間滞在せよ!

いざパーティーに行くにあたって、やりがちな例があります。


そーだなー、19時スタートだけど、最初から行くのもなんかアレだし、まだ仕事も終わってないし、盛り上がってそうな20:30ぐらいに着くように行くか・・・

そして、いざ着いたら、あまりに会場が盛り上がりすぎていて、初対面の人の輪に入れない。知り合いの顔を見つけて話し、ほどほどに飲んで、22:00ごろに会場を出ます。

おぅ、今日のパーティーは、ちょっと俺の好きな感じの雰囲気じゃなかったわ。ラーメン食べて帰ろっと。

以上、よくない例でした。

まず、輪に入れないのは、すでにあたたまりきった状態の場に飛び込んで行ったので、当然です。自分のテンションも追いつきません。自分がその場の盛り上がりの一部になるには、あたたまっていない状態からジョインすることが必要です。他力本願ではなく、あなたが火を起こしましょう。つまり、オープンの時間から参加するとよいでしょう。おしりは何時まで滞在するか。一ヶ月のロングランなので、その日にどこまで体力を注ぐかの配分や、住む場所、家庭の事情などあると思いますのでケースバイケースですが・・・なるべく終電は逃しましょう。

パーティーには、二度のチャンスタイムがあります。それは頭とお尻の、盛り上がっていない時間です。下の図をご覧ください。

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パーティーがスタートして、会場にいるのが少ない人数の時。この時が、1度目のチャンスタイム。オーガナイザーとゆっくり挨拶できるチャンスです。最初から気合いを入れてくる人はあまりいません。大声を出さずとも話せる、ゆるやかな時が流れます。少し緊張している時間でもありますが、この時間帯のよいところは、シラフに近い状態で話ができることです。酔っぱらった状態で持ちかけると信頼感に欠けるようなビジネスの話も、自然とできるかもしれません。

ここから、次第に人が増え、会場が盛り上がってきます。大きな声を出さないと聞き取りにくいほど盛り上がった時。この盛り上がっている時が、実力相応の時間です。あなたがどれだけ会話に切り込めるか、騒がしい会場の中で、他の人に負けない印象を残せるか、著名な人を見つけ、一か八かで会話に割って入ってアタックできるか、ある意味、ごまかしができない時間が続きます。

押さないと誰とも話せないし、押しすぎても失礼になる。難しさがあります。人が多くて、がっつり盛り上がっている時に行けば、一緒に盛り上がれるだろうという印象があるかもしれないですが、実はシビアな時間なのです。

そこから「終電」というわかりやすい線引きが訪れます。それぞれが住むところにもよりますが、ぽつぽつと「終電あるんで」というセリフが聞こえはじめ、人が少なくなってきます。ここで残った人。それは、終電をあきらめている同士です。お互い焦る気持ちもありません。妙な連帯感もあります。しかも、パーティーのスタートの時とは違って、緊張感もほぐれています。ゆっくりと話しこんでも、失礼でない時間に入ります。これが2度目のチャンスタイム。可能な限り終電を逃すことを、おすすめする理由はここにあります。

この時にもしも著名な人がいたら、盛り上がりすぎていたパーティー中盤よりも、まともに話を聞いてもらえるかもしれません。オーガナイザーが残っていた場合、再び挨拶ができます。自分が企画したパーティーに最初から最後までいてくれる人がいることは、理屈抜きにうれしいもの。「開催してくれてありがとう!」という感謝の気持ちを伝えることが「めんどいけど、次回もやろっかな」というモチベーションに繋がります。

盛り上がっている時間にちょっとだけ顔出すのは、パーティーの場を、自分の利益のために利用しようとしている、大多数の中の一人のような行動になってしまうかもしれません。パーティーは、燃え上がっている場にのっかっていくのではなく、あなた自身が「火起こしから消火まで」参加するつもりで臨むと、よいと思います。

もしもあなたが地方に住んでいた場合、近くのホテルに泊まるつもりで東京のパーティーに参加すれば、終電を気にする東京に住む社会人よりも、その日、長く滞在できることになります。地方に住んでいても、パーティーを諦めることはありません。許される状況であれば、九州や北海道に住むあなたが、12月、まるまる渋谷に滞在してパーティーに参加するのもアリでしょう。一ヶ月は人生の中では短い期間です。留学のようなつもりで、このような事に力を注ぐ期間も、よいかもしれません。

7.紹介してもらうだけの時期は卒業して、自ら人を紹介せよ!


かつて僕は、パーティーの場で顔の広い人に優しくしていただき、人を紹介していただくことしかありませんでした。

人が企画していただいたパーティーにお邪魔して、紹介してもらって、帰る。こういったことが続くと、これだけでいいのだろうか・・・という気持ちになってきます。ギブだけでなく、テイクがなければいけない。

自分たちにも、何かできることはないだろうか。自分があのパーティーよかったねーと言っているように、誰かにとってのよいパーティーをつくりたい。そう考えた私たちは、テスト的に四ツ谷の自社スタジオで、ごく狭い範囲にお声がけする、20人〜30人のこじんまりとしたパーティーを企画しました。

「秋だから・・・クリエイティブだんごパーティー」

秋だから・・・団子パーティ画像

上の文章で「メシに期待せず、あらかじめ腹を満たしていけ!」と言ったばかりですが、とはいえ、自分たちが企画するのであれば、何か事前情報だけでワクワク感が出るような、フックのある食べ物が必要だと思いました。秋だったこともあり、第一回のテーマは、おだんごにします。

四ツ谷の有名店、大角玉屋のだんごを、たんまり用意します。だんごパーティーとうたっている以上は、だんごのクオリティは妥協できません。

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お酒は、パーティーの場にはあまりフィーチャーされることの少ない、日本酒各種を用意します。そして大分の郷土料理である、だんご汁も。

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楽しすぎた・・・

人のパーティーにお邪魔するのも楽しいのですが、自社イベントは、また違う種類の楽しさ、達成感があります。かねてよりの目標であった、今度は自分たちが主体となり人と人を繋ぐ、というのも実現できました。

間をあけずして、次なるパーティーを企画します。自分たち発信のイベントならば、季節は自由に選べるので、忘年会に専念して欲しい12月は外して、新年会にします。だんごの次は、おもちです。

「新年だから・・・クリエイティブおもちパーティー」

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事前に、もち米の状態から、自家製もちを作ります。当日は、その場で焼いて食べます。

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楽しすぎた・・・

きなこもち、あんこもち、雑煮など、色んな種類のもちをふるまいました。もはやこの時は、パーティーやって、人脈つくって、仕事をもらって来月の売上に・・・などという浅ましいことは考えていません。誰かと誰かをつなげて、少しでもよい出会いになるような、思い出に残るパーティーをつくろうというマインドがそこにありました。

あとがき


今まで、いくつかのライフハックを述べましたが、肝心の仕事の実力が備わっていないまま、ただパーティーに行ってハンティングのように仕事をゲットすることだけを目的にすると、相手にとって押し売りのような、中身の無いパーティーピーポーになってしまいます。

僕たちの場合は、音楽作家として職人的に、ただよい音楽をつくるために注力した期間。そこからプロデューサーに変化して人との繋がりの重要さを痛感した期間。パーティーというもの自体に感謝を感じ、自分でも恩返しをしたくなった期間。その全てが段階を経て合わさり、中身がある部類のパーティーピーポーにきっとなれたと、思います。

最初は、お仕事をゲットするという目的でもあったパーティーですが、僕は数々のパーティーで、はじめて会う人と話すこと。コミュニケーションをとることの楽しさ。そして、思いも寄らない出会いから本当に未来が変わっていくことを学びました。

最も本質的なパーティーの心得は、全ての出会いに感謝して、大切に人に接することです。

以上、私たちが独自に練り上げた、忘年会の心得でした。

〜もうひとつのエピソード〜 オリジナル蝶ネクタイプロジェクト


数々のパーティーを経て、ひとつ気付いたことがあります。たまに名札(なふだ)をその場でマジックで書いて首から下げるようなスタイルのパーティーがあります。そういうパーティーは、個人的にとてもありがたく思います。たくさんの人と会うから、どうしても、一瞬で名前をお互いに覚えるのが大変。だから、名札があるとうれしい。

しかし、いつも名札ありのパーティー形式ではありません。名札の替わりになるものが何かできないか。相手が自分の名前を覚えるというプレッシャーから解放される、親切なもの。

普通のオリジナル名札を首から下げていくのも、ちょっとかっこわるいので、他の手段を考えました。できれば、名札よりももっと顔から近い方が理想的。行き着いたアイデアは、顔から近い位置に存在する「蝶ネクタイに名前が書いてあること」です。

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なんとかこれを具現化できないか。頼ったのは、以前のパーティーの場でお会いした蝶ネクタイ作家の清水章弘さん。

変な話ではありますが、ノッていただきました。清水さんとまず、生地を買いに新宿に行きます。ものすごい生地の選択肢。

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あまり道化っぽくなるのも本意ではないので、生地自体は、そこまで派手でない、普通の服に馴染みのよい印象のものを選びます。ネイビーのコーデュロイ生地に決まりました。

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この生地を使って、清水さんに蝶ネクタイを作っていただきます。できたのはこちら。

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蝶ネクタイだ。この時点でトレードマーク的ではありますが、これではまだ名前を覚えては頂けません。いよいよ名前の表現に入ります。生地にプリントするという案もあったのですが、刺繍で表現していただくことに。刺繍といえばこの方、と、印象的な出会いがあったDANIELA MARIBELさんにお声がけします。

たくさんの色の糸を見せていただきます。これまた、選択肢がすごくて迷いますが、話し合いながら合いそうなカラーを選んでいただきます。

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原色系ではなく、このようなやわらかい色を使用することに。これが漢字の「樋口」の文字になるとどうなるのか。想像もつきません。

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なお、ファーストネームである「太陽」を刺繍していただく可能性も考えましたが、もしもそれを行うと、初対面の方にとっては、名前が刺繍されてあるというよりは、恒星の方の「太陽」という固有名詞が刺繍されてある既製品に思われてしまいそうだということもあって「樋口」でいくことにしました。

出来上がったものはこちら。

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素晴らしい出来栄えです。斜めから見るとこのような感じ。

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「口」のところが、ネクタイの立体的なくぼみにあたりますが、それをゆうゆうと飛び越えていく、どうやっているのかが想像もつかない刺繍の技術です。

実際に身につけると、このようになります。

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これで無事に、名前が伝わりそう。相手にとっての記憶力の負担が減らせそうです。

しかし、これが完成したのは、2019年の忘年会が終わったあとの2020年。2020年は、新型コロナウイルスの影響でまったくパーティーが行われなかった年でした。そして、その影響は言うまでもなく長く長く続き、まだ一度も人前でこれをつけた事はありません。

またパーティーという素敵な場が復活することを、心より祈っています。


蝶ネクタイをつくっていただいた、清水章弘さん。DANIELA MARIBELさん。
今までのパーティーで出会った全ての方。

この場を借りて、ありがとうございました。

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