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【詩】オキシドールの天使

痛みのプールで抱き合っている
裸の唇が磁石になる
熟れた果物が崩れていく温度で
刺されても痛くない身体
優しさだけじゃ愛せないから
ロキソニンだらけの胃袋は宇宙
宇宙を泳いでいるイルカの表情は
どんなそれよりも寂しくて
自分の涙さえ忘れてしまう
性は死の味がすると
彼女は潮風のように微笑んで
ティーカップを傾ける
感傷的なアングルで切り取られた
止まったままの信号機に
薔薇の花が絡んでいる
その棘に触れれば
淡い空に広がるセルライト
滑車の音がカタカタ聞こえる
エンジンが温まるまで
暖房が効かない震える古傷
ウイスキーの瓶を倒して
リーフパイの中の乾燥剤を舐める
スローな足取りの黒猫
痺れたオキシドールの天使
甘いものは全部ベッドに置いて来た

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