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【詩】ドライブスルー

キャラメルマキアートの雨が
シフォンケーキの車を濡らしている
スーサイド・ブルーの道路標識は
東京までちょうど100キロ
高速ではなく下道で
仕事の山から逃げ出した
ネクタイをゆるめて
マクドナルドのドライブスルー
店員さんの冷たい微笑み
ハッピーセットの玩具に
わずかな救いを感じる
氷が溶けるまで前に進めば
スピードメーターは嘘をつかない
きらめくピンクのネオン
えんとつから吐き出される煙
赤い点滅を繰り返す信号機
バックミラーも未来を映して
カーラジオを震わせるルースターズ
退廃的な美しさは暴力的に
孤独を忘れさせてくれる
夜を眠らせるための薬を持って
東の空に排気ガスまみれの
光がやってくる
明ける頃、家に帰れるだろう
冷えたマクドナルドが朝めしだ

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