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【連詩】requiem

作 永沢俳里 笠原メイ

街で噂の芸術家を照らしたあの街灯は
今となっては孤独の代名詞
姫の歌声は烏の威嚇
鮮やかな色を運ぶ筆は変色した命を染みつけた棒に変換された
お前が消えたらここは永遠の眠りにつくだろう

予言するのは白内障の梟

あの娘の足首にある惑星で
朦朧をしている宇宙飛行士のJohn
枯れた海に耳をくっつけて歌声を聞いてる
足を広げてゆくお星様にキスして
不吉な遊びに夢中だ
下僕になった神様たちの恋も
死ぬまで薬を飲み続けるのだろうか?

不穏な風が吹き荒れる午前1時
足を引き摺る貴婦人は
穴の空いたレクイエムを口ずさみ
瞬きをする光を目指す
意識も気力も薄れているけど
恋人がくれたアンクレットが
導いてくれると信じて

やがてJohnの瞳は廃墟になる
毒林檎の甘さも忘れて
白んでいく夜に宇宙が混じる
重いものを重いままにして
礼拝堂で交わした約束に雪が積もる
透明の犬が咆哮するけど
あの娘は二度と振り向かなかった

*今回は永沢俳里さんとの連詩です。どちらがどこのパートを書いたかは、あえて伏せています。下記のリンクから、永沢さんの作品がたくさん読めます。是非、見てください。



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