73. 終焉のパレードを見送って

彼女はいつも刹那的な愛をくれる
僕はいつも飢えた野良犬だ
彼女の果実に噛みつきたくなる
混じり合った唾液が惑星を濡らす
十代の頃、満たされなかった欲望や
二十代の頃、知らなかった興奮を
全部くれるのさ、それは愛なんかより
ずっと素晴らしいものなんだ
刺激、貫通する
ピアノを調律するように
彼女の中で燃える痛みにキスして
背中に流れる汗に爪を食い込ませる
生きる方法は無限にあるのに
二人は同じ星の下を歩いた
秋の枯れ葉よりも多く手紙を交わして
水玉と煙草が今日もくるくる回る
理解しあえないことは美しいこと
分かり合えないから一緒にいる
だけど絡まる指先は全てを知っている
愚かでなければ恋はできない
終焉のパレードを見送って
ダブルベッドしか入らない小さな部屋の
結露していく窓を指でなぞる
ファミレスで一番高いメニューを
頼んであげることくらいしかできない
薄いリブロースステーキとか
(それでも彼女は遠慮して
小さな、小さなパフェを頼んだ)
大事にした方がいいぜってぺピンが言う
分かっていることほど
行動にするのが難しかったりする
裸でいると二人はまるで子供だ
子供は裸で生まれてくるものだから
気持ちが戻っちゃうのかもな
彼女の中で溶けた薬品が
僕を救ってくれようとした

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