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はじめての沖縄/岸政彦

「同じ年にまったく別のところで生まれて、別の人生を歩み、たまたま那覇の路地裏の酒場で出会って、酒を飲んでいる。」(p.57)
「私たちは、たとえば沖縄戦や米軍統治、あるいはコザ暴動という沖縄の人びとの歴史的経験そのものを、自ら体験することはできない。沖縄に限らず、そもそも私たちは、私たちの個人的な経験を交換できないようになっている。私たちは社会のなかで生きているにもかかわらず、経験を交換できない。これはとても、本質的なことだ。私たちは言葉を交わして、社会のなかで他者と関わって生きているのだが、それぞれの経験や体験を交換することができない。できることはただ、言語という、まったく個人的でないような公共的な道具を使って、おたがいに合理的に「理解」しあうことだけなのだ。」(p.248.249)

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