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5年後には百貨店の初売り行列はなくなるかもしれない

2022年、新年がスタートしました。コロナも一時的なのか落ち着いてきて、正月の風物詩である『初売り行列』も戻ってきました。

昨年はコロナ禍で大打撃を受けていた飲食店や百貨店に、少しずつでも客足が戻ってくるのはいいことだなぁ…と思いつつ、コロナが収束後、今後この光景が見られるとは限らないなと考えています。

百貨店はここ5年、苦戦を強いられている

一般社団法人日本百貨店協会のが公表している『百貨店売上高』より『百貨店売上高の推移_第1表 地区別売上高』をみてみますと、2016年度から毎年数百億円単位で下降傾向を示しています。
コロナ禍2019年度から2020年度にかけては約1.5兆円規模の下降でかなりの大打撃を受けているのですが、それ以前から百貨店は衰退の一途をたどっていることがわかります。


ターゲットであるマス(中間層)の消費が成長しなくなった

行列ができる程の人が集まっていることからも、これまで百貨店は中間層のマスをターゲットにしてきたと想定されます。しかし、日本のここ20年の中間層の平均年収は上がらない状況です。

「平均年収は韓国以下」日本人の給料がちっとも上がらない決定的な理由

全体的な成長がストップしてしまっているので消費控え→売れない→給料上がらない、の負のスパイラルです。
私自身、年収自体は上がっていっているはずなのに、手取りが増えている実感は少ないです。調べてみると、非消費支出(税金+社会保険料)が20年ほどで家計負担15%増、だそうです。手取り減=使えるお金が減っているのですから、消費にまわせるお金は限られていきます。

出所:資産形成ゴールドオンライン記事より抜粋_総務省『家計調査』より

一方、金融資産から負債を差し引いた「純金融資産保有額」が1億円以上の『富裕層』が2013年以降一貫して増加を続けているそうです。

今朝、こんなTwitterもありました。

『富裕層』というセグメントに着目すると、日本は世界のトップクラスです。この層が積極的に国内で消費してくれると、また日本の経済が活性しそうな予感がします。

『富裕層シフト』の動きをみせる各百貨店

私のような外部の人間でも『富裕層』の消費に着目するくらいですから、当事者の各百貨店は当然に『富裕層シフト』の動きをみせています。

J.フロント リテイリンング第2四半期決算の決算説明会資料も見てみました。すると、カテゴリー別売り上げ構成の変化見通しの中で『ラグジュアリー』『美術・宝飾・呉服』のボリュームが増えています。こちらも『富裕層シフト』の動きが垣間見えます。

単価、ロイヤリティを鑑みても、国内にこれだけの『富裕層』が存在しているのであれば、逃さない手はないでしょう。
すると、冒頭の「5年後には百貨店の初売り行列はなくなるかもしれない」に考えが至ります。

年始の風物詩のひとつが、過去の産物になるかもしれない

普段は富裕層向け、初売りだけはこれまで通りマス向けに、という形で残る可能性も十分にはあり得ます。
ただ、行列ができるだけのマス=中間層が今後ターゲットではなくなると、今のような初売り風景は徐々になくなるのではないかと思うのです。
個人的にはさみしい気持ちもありつつも、『富裕層シフト』で今後どのように百貨店が変わっていくのか、楽しみにしている気持ちのほうが大きいです。どんな変化がこれから待っているのか、そんなことを考えた2022年の年はじめでした。


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