「全部きみのせい。」ZARD Oh my love

この話は、ZARDのOh my loveを聴きながら書いたストーリーです。
ソラ…桜城県立鵬長高等学校2年生 男子 剣道部 身長173cm
アカリ…高校二年生 女子 バスケ部 身長155cm

 桜城県鵬長市朝倉6丁目バス停。10月29日㈮18時43分、私鉄の駅に向かうバスが停留し、2人の高校生が降りてきた。
「おつかれ。」
アカリが、ソラに声をかけた。ソラは、リュックサックを背負い直しながら、返事をする。
 「おつかれ。今日そっちどうだった?」
 「授業?部活? どっちがいい?」
 ソラの準備が整い、2人は、歩みを進める。
 「じゃあ、部活にする。アカリさん、今日のバスケ部は、どうだったんですかー?」
 アカリは、おどけた表情で、
 「今日、私は、部活休みでしたー。 残念!」
 なぜか、古いギャグを織り交ぜながら、中身が薄い一日の報告をした。
 「じゃあ、授業と部活で選ばせるなよ。」
 ソラは呆れた表情で、アカリを見た。2人は、このとき今日はじめて目が合った。アカリは、大きな瞳でソラを見る。ソラは、アカリの目に吸い込まれるように、4秒くらいじーっと見つめて、顔に出さないが、慌てて目をそらす。
 「ソラ!」
 突然、アカリが大きな声で叫ぶ。びくりとしながら、ソラは、アカリの方を向くが、目は、合わない。
 「いや、距離感おかしいよ。目の前の人を呼び止めるボリュームじゃないでしょ。」
 「ごちゃごちゃうるさいな~、全部ソラ次第なんだからね!」
 「いや、どういうこと? それにうるさいのは、どっちですか~?」
 「もういい!」
 アカリは、呆れて学校の友達の話題に変える。そのあと5分ほど、2人は、一緒に歩いたが、視線が合う事は、無かった。そして、ソラの家の前に辿り着く。
 「ねえ、アカリ…。」
 「うん?」
 7分ぶりに目が合う。
 「あ…えっ…えーっと……」
 「どうしたの? 落ち着きなよ。」
 アカリは、満面の笑みで、ソラを落ち着かせようとする。ソラの顔が、思わずほころぶ。
 「いーや、なんでもない。なんでもないよー。じゃ、また明日ね。」
 「ねえ、何なの。めっちゃ気になるじゃん。」
アカリは、分かりやすくがっかりした表情をする
 「まあ、ソラの事だから、粘っても教えてくれないんでしょうね!分かった。じゃあ、また明日。」
 「うん、じゃっ。」
 「ばいばい。」
 ソラは、アカリが去っていく姿を少しだけ見届けた。
 「ごめんね、アカリ。」
 誰にも聞こえない声で呟き、ソラは家に入っていく。
 (あんなにかわいい笑顔見せられたら、全てどうでもよくなるよ。)

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