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主治医のUI/UXデザインTips集

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デジタルプロダクトのUI/UXだけでなく、モノやコトの体験にまつわるTipsも配信していきます。
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ランダムキーパッド。数字の位置が変わるたびにため息が出る

暗証番号の入力時、数字のキーがランダムに入れ替わる場面に出会ったことはありませんか? ATMやカード決済端末でよく見かけるこの仕組み。セキュリティ対策として導入されていますが、実は意外な盲点があるかもしれません。 そもそも、このランダムキーパッドは誰を守るためのものなのか。その答えは、私たちが思い描くものとは少し違うようです。 注)UXデザイナーから見た考察となります。 役割ランダムキーパッドは、覗き見攻撃(ショルダーハッキング)からユーザーの暗証番号を保護することを

マイクロインタラクション。動き過ぎて疲れる

アプリには様々な機能があり、時に楽しいフィードバックを返してくれるものがあります。いいねボタンを押すとハートマークが弾むように踊り出したり、タスクが完了するとチェックマークが爽やかにアニメーションするような演出です。 こういった小さな仕掛けは「マイクロインタラクション」と呼ばれ、アプリの使い心地を大きく左右します。でも待って。この心地よい演出、実はユーザーを混乱させることも...? 役割マイクロインタラクションは、アプリケーションとユーザーの対話を円滑にする小さな演出です

マジックカット。どこからでも切れない

お弁当の醬油やたれの袋でおなじみのマジックカット。「どこからでも切れる」という表記を生活の中で頻繁に目にしますが、実際のところ...切れないことありませんか? 例えば、ギザギザとマジックカットが共存している袋。明らかにギザギザのほうが開けやすいという経験、私だけではないはずです。 便利なはずのマジックカット、その変遷をちょっと深掘りしたいと思います。 注)UXデザイナーから見た考察となります。 役割マジックカットは、包装材のどこからでも手で簡単に開封できることを目的と

エンターキー。書いている途中でうっかり投稿

SNSやチャットで、「まだ書いてる途中なのに...」と焦った経験、ありませんか? エンターキーの挙動が、ツールによって違うんです。投稿になるものもあれば、改行になるものも。設定で変更できるツールもありますが、結局どっちがいいんでしょう? 統一して欲しいと願うのは私だけではないと思っていますが、この問題はUI/UXの観点から見るとさまざまな示唆を含んでいます。 役割エンターキーは、ユーザーの入力完了を示す重要なインタラクション要素です。例えばSNSやチャットでの文章入力に

RFID。消費者は天国、店舗は地獄

買い物が便利になるRFIDは皆さまご存じですよね。かごに入った商品をすべて自動的にスキャンして清算をスムーズにしてくれるものです。 この技術は、私たち消費者の生活を確実に変えていく可能性を秘めています。しかし、店舗側には導入コストや法律面での課題、治安上の問題、さらにはRFIDの破壊や取り外しによる損失など、多くのリスクが存在します。 この課題は、実は日本だけの問題ではありません。導入が進む諸外国でも同様の悩みを抱えています。 注)UXデザイナーから見た考察となります。

クラウドストレージ。削除警告により窮地から脱出

皆さんは大事なファイルをどこに預けていますか。昨今ではクラウドのストレージに保存している方も多いと思います。 クラウドに保存しておけば、どこからでもアクセスできて便利ですよね。そして、何よりもクラウドのストレージというのは、私たちが考えている以上に頑丈でセキュアなのです。 最近、私は大量のファイルを誤って削除しそうになった経験から、クラウドサービスの新たな価値を発見しました。それは、ユーザーを守るための細やかな配慮。特に、一括削除時の警告機能は、私を2度も窮地から救ってく

香水。ディスカバリーセット展開のリスク

私は香水愛好家です。香水はボトルで購入すると長持ちするため、慎重に選びたいところ。でも店頭での試香だけでは判断が難しいものです。 そんなユーザー心理を理解しているブランドは、複数の香りが試せるディスカバリーセット(お試しサイズのセット)を展開しています。手頃な価格で、実際の生活シーンでじっくりと印象を確かめることができます。 ところが、このディスカバリーセットには意外なリスクが隠されているんです。 注)UXデザイナーから見た考察となります。 役割香水のディスカバリーセ

ブログ。過剰な入力支援、執筆を妨げる

ブログの見た目を整えるために欠かせない入力支援機能。写真の挿入、見出しの設定、文字の太字化など、各プラットフォームが様々な機能を用意しています。 しかし、文字を選択するたびに過度にポップアップが表示されたり、セクションの区切りが不明確で、1行だけ見出しにしようとした際に全文が見出しになってしまったり。そのやり直しに思わぬ時間を取られることも。 個人的には、マークダウンのような普及している書式で装飾できれば十分だと感じています。 皆さまはどのような入力支援が使いやすいと感じ

アイロン。カバーであて布いらずで効率アップ

洋服のシワ取りに欠かせないアイロン。ドライアイロン、スチームアイロン、衣類スチーマーなど、様々な種類がありますよね。 いろいろと試してみた結果、シワ取りの性能は昔ながらのドライアイロンが一番でした。ただし、生地を傷めないようあて布が必要で、これが少し面倒。そんな悩みを解決できないかと探していたところ、ドライアイロンに取り付けるアイロンカバーと出会いました。 確かにカバーの厚みで表面温度は下がりますが、あて布なしでアイロンがけができるようになり、作業がグッと楽になりました。

ログインエラー。IDが異なるせいで覚えきれない

同じ企業が提供するアプリで、ログイン情報が統一されていない問題についてです。 先日、とあるショッピングモールのアプリをインストールした際、自分が既にそのモールのIDを持っているらしいと気づきました。 「このIDは既に使用されています」という表示とともに、複数のサイトへ案内され、ようやくログインできたものの、どのアプリにどの情報を使えばいいのか、いまだに整理できていません。 こんな経験、あなたにもありませんか? 同じ企業の複数サービスで求められる個別のログイン情報や、煩

水栓のレバー操作。水とお湯の境目が分からずモヤモヤする

日常で使う水栓には、水とお湯の蛇口が分かれた混合水栓と、一つのレバーで操作するシングルレバー混合栓があります。 シングルレバーは便利ですが、レバーが中央(水)からずれてお湯側に傾くと、不要なガス消費の原因に。 最近は中央位置にクリック感を設けた製品も登場していますが、なぜ当初からこのような工夫がなかったのでしょうか。 一人のユーザーとして、水栓の技術とデザインの進化に潜む物語を探ってみたいと思っています。 注)UI/UXデザイナーから見た考察となります。 日々何気な

ダイアログボックス。判断できないことを聞かないで

「リンクを外部ブラウザーで開きますか」 この確認、よく見かけますよね。URLの安全性判断をユーザーに丸投げしているような現状のダイアログ。開いてみるまで安全か分からないのに、毎回確認を求められても判断のしようがありません。 アプリとしての安全性への責任は、事前スキャンやセキュリティチェックなど、もっと別の形で示せるはずです。 確かにアプリの切り替わりを知らせる意図もありますが、このようなユーザー体験は改善の余地があります。 皆さんはどのような代替案が良いと思いますか?

バッグの設計思想。世界を見渡すと収納観が見えてくる

今日はプライベートでも仕事でも使うバッグについて。ファッションアイテムとしてではなく、モノを持ち運ぶ道具としての話に焦点を絞ります。 世界を見渡すと、モノを持ち歩くためのデザインアプローチは実に様々。用途が曖昧な微妙なサイズのポケットがついているもの、何でも入る全方位型のポケット付き、またはポケットが一つもない割り切ったものまで。 自分にとってほどよい収納、ほどよいサイズは人それぞれ。また用途に応じて使い分けることもあるでしょう。皆さんはどんな基準でカバンを選んでいますか

セルフレジ。ステップを削る勇気に拍手

最近のコンビニやスーパーでは、セルフレジが増えていますね。ビニール袋や支払方法など選択肢が多すぎて、レジの人にやってもらったほうが早いと感じることもあります。 そうした中、レジ袋のプロセスを自動スキップするコンビニがあることに気づきました。最初に商品をスキャンすると、レジ袋はいらない、と判断してそのまま会計に進めるんです。 たった1工程、されど1工程。選択肢が多く削れないという中で、よくぞ削ったと感心しました。 同じような体験があったら、ぜひ教えてください。 注)UI