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嗚呼、難しき哉。障害者のオシゴト。

こんにちは、蒼です。
退院後1年6ヶ月、仕事の上で大きな節目を迎えました。「転職」です。
長文になりそうな予感がしますが、備忘としてまとめておきたいと思います。

■復職か、転職か?

私が脳梗塞を発症した一因には「過大な責任と時間外労働」が職場で常に発生する状況だった、ということがあります。採用当初は新規事業を一緒にがんばってくれる人、という触れ込みでの入社だったのですが、代表者に精神疾患があり(入社後判明)、6年働いている間トータルで疾患が原因で1年半入院。私の所に「いま2階から飛び降りたんだよね」なんて電話がかかってくることもありましたし、初診・入院を受け付けてくれそうな病院を業務中に片っ端から電話をかけて探す、なんてこともありました。

代表者がそんな状況ですから、私が仕事をとってきて回さないといけない。もし年度末に赤字決算となると「キミの人件費が…」なんていわれる理不尽な職場でした。

そんな中、珍しく代表者がとってきた継続案件の量が大量で。深夜まで仕事が終わらない、なんていうこともザラにありましたし、深夜3時に会社からの帰り「次の日も生き延びなきゃ」というおかしくなった感覚で、コンビニに這うように寄り何を食べるという日々が続いた中での発症でした。

家人が入院した私に必要なもの(仕事の資料ですが笑)を取りに行った際に、代表者にむかって「これって労災じゃないんですか?!」と珍しく声を荒げたらしいです。【それは最後の手段にとっておきたかったのに手の内を明かすなと私に小一時間怒られたそうな…w】

これは私も悪くて、頼られると全力で応えようとしてしまう、という性格上の問題から常に最良の仕事をしようと「生活と仕事」の区切りがうまくつけられなかった(常に持ち帰り仕事をしている状態だった)という部分もあるし、一概に誰が悪いとも言えないし、言いたくない。

入院した当初は、復職という選択肢のほかに「働き過ぎたなあ、手も足も動かなくなったらこの機会に障害者採用枠を使って転職してもいいかなあ」なんていう選択肢も登場、リハビリに励むことになります。

復職、という方向で動き出したのは奇しくも麻痺側の方が痛くて「片手だけで生きていく」と決意したころでした。

■復職の条件

入院して片麻痺になった私には「働かずにリハビリに専念して治るところまで治す」という選択肢は考えられませんでした。何よりも働くのが好きだし、発症翌年に受験を控えたコドモたちに金銭的な心配をかけたくない、というのが大きな理由です。

っていうかね、この辺りは会社の事情なんですけども、急性期で入院してるときから電話ばんばんかかってきて全部さばけてる(電話応対、PC操作)のに、仕事に戻れない理由がない、と思ってましたね(笑

復職がベストだ、と判断したのは難しき哉、障害者のオシゴト。【その1:転職か、復職か】でも述べている通り、麻痺側の方が痛くて「片手だけで生きていく」と決意したからです。いくら小器用だからといっても片手だけの暮らしに慣れていない状態で新しい会社を探すのは雇用までにかかる期間や仕事内容の予測がつかない中、その暮らしに慣れられるか、というリスクを減らしたかったからでもあります。

元の会社に復職するならば内容的にはわかっているし、最低限戻さなければならない機能と今まで行ってきた業務の中でこれだけは確実にできないという切り分けが自分の中で容易だったから。

私が切り分けた戻さなければならない機能は以下。

・階段を3Fまで上り下りする(職場は3F)。
・車の運転ができるようになる。

代替機能で実現可能だと考えた機能はこちら。

・タイピング以外で必要となる、ソフトにおけるPCの両手操作
 (多ボタンマウスで解決)
・メモをとりながらの電話応対
 (スマホに転送してスピーカーで話すか、インカム装着で解決)

回復期病院で「特別に許可」を貰い、1Fから4Fまで療法士さんに付き添ってもらってハーネス?を付けてPTの時間は階段昇降。体力的には大変ですがなんとか恰好はつきました。

車の運転再開については「入院中の臨時適性検査は前例がない」ということで受け入れてもらえませんでしたし、制度についても教えてもらえませんでした。

知人に聞いたり、サイトで調べたりした結果、私が住む都道府県では高次脳機能障害がない場合は医師の診断書が不要、免許センターに臨時適性検査の予約を取りいくだけ、とのことでしたので、退院(12/1)直後の12/5に予約を取り、一発合格。

とりあえずこれで復職準備が整ったのです。

あとは会社との交渉。

ちょっと日付は探せないんですけど、思いついたときにいきなり会社に行って「重いものは持てませんけど、業務に戻る必要な機能はほぼ戻りました。」「まあ、働きすぎましたよねえ(笑)いざとなったらメールの送信履歴とか全部だせますけども。(脅)」

まあまあ、小さい会社ですからそのあたりは柔軟でしたねえ。

大きな会社さんだったら産業医さんとの打ち合わせが入ったりもすると思われます。

■転職への道

復職後、ほどなくして我が社の社長が入院しまして。
また以前の一人でなんでもやらなきゃいけない、という状況に戻っちゃったんですよね。あとは「それって人としてどうなの?」って思うようなことを平気で社員に話してくるような感じに嫌気が差したのも大きな要素です。

転職を考え始めた私には年齢的にも、身体機能的にも普通の転職は無理だろうな、と考えておりまして。身障手帳持ちになったことですし、障害者採用をしてらっしゃる会社での転職に照準を合わせていました。

障害者採用のメリットとしては、事前に「できること、できないこと」「むいていること、むいていないこと」の判断を行ってもらいやすいですし、「通院などの配慮」にも対応していただけることが多いところでしょうか?

デメリットとしては同年齢の健常者と比べてどうしても給与面でお安めなところが多いこと。うーん、どうしたらいいのかなあ?

選択肢1)公務員
水増し問題で揺れる公務員系ですが、2019/2に人事院が全国統一で障害者選考試験を行うことになりました。正職員ですし、安定を求めるなら人気NO1だと思いますがスケジュールが非常にタイト。

3/22に合格決定が出て、採用予定日は「原則として2019(平成31)年3月31日まで」!

えええっ、そりゃスケジュール的にも無理だし、周囲の人曰く「蒼さん、公務員むいてないんじゃない??」…あぁ、うん。自分でもちょっとそんな気がするし、一時官公庁でお仕事をしたこともあるのですが確かに(以下自粛)

というわけで今回の受験はとりあえずパス。

選択肢2)ハローワーク利用での転職
皆さんおなじみのハローワークですが、ネットで障害者の求人情報を見ることもできます。東京・大阪など大都市圏における障害者枠での募集は結構あるのですが、地方は厳しい印象。各都道府県では障害者の職業相談室を設けている場合もあるので利用してみるのもいいのではないでしょうか??
但し、相談員さんに説明を受けたのは「全体求人の内訳は契約社員2割、パート8割、正社員は(私の地元では)ほとんどない」というものでした。この時点でハローワーク経由での就職は私にはマッチしていないな、と感じていました。

ただ、ハローワークに出ている求人も含め、障害者の数が欲しい、という印象の企業が見受けられるのは…うーん。さらに、十把一からげに障害者だから事務的な仕事の方がいいだろう、とか短時間勤務の方がいいだろう、とかあんまり多様性を見てらっしゃらない感じの求人が多々あります。そのあたりは障害者雇用促進法の影響なのでしょうか??

※ざっくり障害者雇用促進法
従業員数に応じて一定の割合で障害者を雇いましょう、ってやつですね。民間企業なら2.2%、達成していなければ納付金を納めないといけません。

選択肢3)転職エージェント利用での転職
今回、私はこのタイプでのチャレンジ・転職となりました。

■障害者専門の転職エージェントへ…

2018年末の冬季休暇中に転職エージェントへの登録をするところから始まりました。障害者(手帳を持っている人)専門の転職エージェント、というのがありまして、企業にマッチした障害者を紹介・就職させることで転職エージェントへ企業から紹介料が入るというシステムですから数合わせの求人なんてものはあまり見当たりません。(大規模に全国展開している会社はそういう面も多少ありそうですけどw)

いくつかに登録したのですが、エージェント側の対応差などが見えてきて非常に面白い。A社は書類通過率50%はいけます、とおっしゃいますし、B社は書類通過率は20%程度、とおっしゃったりね!
こういう違いからも、たとえばA社の企業への決め打ちの力量が見えたりもします。

※ここ、重要ポイントでエージェントは一つに絞らず2~3社登録しておいた方がいいかも。Aというエージェントしか扱えない案件もあったりしますし、A・B両方に紹介されたけど、B社のほうがコネクションが強いなんてこともあります。
また、他エージェントの評判や、他社から紹介された企業の評判や内情を聞くことができたりも。
但し、他エージェントに登録していること、進捗状況などは共有すべきです。

転職エージェントに登録するまでの流れは以下のような感じ。

WEBフォームから登録

アポ電話かかってくる。
初回面談日設定、必要記入書類(履歴書、職務経歴書、PCスキルシート、病歴について、手帳のコピー、履歴書用写真など等)の伝達。

初回面談までに書類準備

面談、企業紹介

私が登録した主要3社(企業紹介まで行ったところ)をそれぞれ見ていこうと思います。

1)A社
年末押し迫った時期だったので、グーグルハングアウトで面談。就職前のフォローや障害者雇用とはどういうものか、などたくさんのことを教えていただきました。また初回面談でその人の性格やスキルに合う企業を見抜かれる能力はすごい(語彙力)です。
トントンと話が進んで、某社に応募してみることとなり、書類選考も通過したのですが遠方過ぎて通えないということでお断りせざるを得なかったのが残念です。他の社にも売り込みにいってくださったのですが、残念ながら他エージェントの紹介で先に採用が決まってしまったのが残念です…。
もし何かあれば、もう一度相談しようと思っているぐらい信頼しています。

2)B社
大阪まで面談に出向きました。A社の面談後でしたのでスムーズにお話は進んだものの、紹介された案件は私が希望としてお伝えしていた内容とはかけ離れていたので、こちらで書類応募をするまでには至りませんでした。エージェントの方向性だけでなく、担当者の力量にもかなり左右されるな、と感じた出来事でした。

3)C社
今回はこちらのご紹介で決まりました。一番WEBシステムが整っている印象です。面談に大阪へ行ったのですが、とにかく担当者の感じがよいのと短時間で私の性格や向いてそうな仕事を判断し、面談の間に企業をご紹介いただきました。そのどれもがここで働いてみたい、と思われるものでそのうちの一社で今回の転職がきまりました。

■転職スケジュール
子ども達の受験がおちついた3月上旬に登録→3/15に初回面談→3/18書類選考通過→3/27面接→3/29内定→6/1入社

事前に面接練習もしていただき、面接にも同行してくださったので不安もなくスムーズに転職を決めることができました。

■総論

今回の転職で気づいたことなどをまとめます。

・復職してからの転職でよかった
企業側は、特に転職エージェントを利用して採用する場合は「障害があっても働けるか」ということを具体的に示してほしいように感じました。私は労働環境ややることがわかっている元の会社に復職して実際に働けるというのが証明できている点も今回はラッキーに働きました。
特に、見た目にわかりづらい内部障害などの場合はその点を気にされるのではないかな、という印象を受けています。

自分自身でも後遺症が残ったニュータイプの自分がどこまでやれるのか不安でしたし、まずは復職を目指す、というのは、やらなければならない仕事内容に合わせていろんな訓練ができるので目標が明確になりやすいのかもしれません。

・エージェントは複数登録
先述したように、今回は複数エージェントに登録して比較できたことも私にとっては良かった点です。
もし、担当者にあまりよい印象を持たなかった場合、担当者変更をお願いするのも一つの手段です。
私が信頼できたエージェントと他の差は「圧倒的にレスポンスの速度が違った」こと。こういうところも安心して転職するための肝なのかもしれません。

以上、たった一人の転職物語ですが、どなたかの参考になることがあれば…。

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