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新たな挑戦と これまでのこと

2023年4月1日、株式会社PETOKOTOに正式にジョインしました。
「ペットを家族として愛せる世界」を目指す、ペットウェルネスのスタートアップ企業です。
社長の大久保さんから最初にお声がけいただいたのが2021年9月。
そこから1年7ヶ月、議論やお手伝いをしながら環境を整え、この日を迎えることができました。
執行役員として、プラットフォーム開発・リテール営業・サプライチェーンマネジメントの3領域を担当します。ひとことで言えば、D2CをOMOに昇華させる挑戦です。

なぜPETOKOTOなのか

PETOKOTOの事業の柱はヒューマングレードの冷凍フレッシュペットフードです。

事業の第一印象は正直「ニッチでレッドオーシャンだろうな」でした。
しかし大久保さんは「フードメーカーにはならない」「獣医療の変革が次の一手」「保護犬猫マッチングのOMUSUBI事業、ペットメディア事業とあわせて、ペットのライフサイクルを支える会社にする」と語ってくれました。

この事業構想の図を見た時、私がかつてCOOとして人生をコミットしていたYAMAPの事業モデル(当時)に似ているなと感じました。

そして直感的に「純粋な課題意識から立ち上がった会社だな」と感じました。これはYAMAPと出会った時の感覚と同じです。
私は投資ファンド出身なので、会社を「利益を生むための仕組み=ビジネスモデル」として見ていたのですが、「ビジネスモデルよりも解決したい社会課題が先にある」ことに心を打たれ、YAMAPの門を叩きました。
それゆえに、自分が腹の底から力が湧く源がここにあることも分かっていました。
7年前には全く稼げる匂いがしなかったYAMAPも、今では年商10億円を超えています。これはコミュニティという無形資産の価値を具現化させるプロセスでした。
同じようにOMUSUBIやメディアが築いてきた無形の資産を活用し、課題を解決する中で新たな価値を創り出したい。
これがPETOKOTOを選んだ最大の理由です。

部分最適と全体最適

PETOKOTOの事業は多岐に渡ることから、Quality of Pet Lifeという視点で全体最適の仕組みをデザインする挑戦と言えます。これがPETOKOTOを選んだもうひとつの理由です。

ペット業界は成熟産業です。特に生体販売・フード・保険・医療では徹底的に利益重視の部分最適化が進み、犬や猫にとって好ましくない現実も多々あります。
しかし自社の事業領域を最適化するには、これらの弊害に目を瞑らざるを得ません。
この構造を打破し、既得権益に囚われずにゼロベースで全体最適の仕組みをつくることは、大企業にはできないスタートアップの役割であり、人生をコミットするに足るだけの社会的な意義があります。

つくり手は真の使い手であれ

前職のガラパゴスでの主な職責はCFOであり、YAMAPでも最初はCFOでした。しかし私は自分の手でサービスをつくることが性に合っており、これを痛感したことも今回の決断に大きく影響しました。

「つくり手は真の使い手であれ」伊賀焼き窯元・長谷園のものづくりのポリシーで、私が座右の銘にしている言葉です。
心から自分事として捉えることができ、誰よりも使い倒せる商品やサービスをつくるからこそ、限られた人生の時間を賭けるに値すると考えています。

フローレ(黒)とステラ(白)かれこれ9年来の家族です

犬は山と並ぶ私のライフテーマです。
ステラとフローレは私や妻、息子に家族として多大な影響を与えています。
それは単なる癒しではなく、価値観や人格形成にも及んでおり、2頭なくして今の私の家族はありえなかったと思います。
それゆえに「ペットを家族として愛せる世界」がいかに価値を持ち、その世界線の輪を広げていくことの意味、直面する課題を解決することの意義が腹落ちしています。
このような領域に再び出会えたことは幸運であり、心から感謝しています。

人をよりヒトらしく - これからのヒトの差別化

約2年で主務から離れることになり、前職のガラパゴスには迷惑をかけてしまいました。それでも私の我儘を理解して応援していただいた関係者の皆様には、感謝しかありません。
ガラパゴスの経営陣と、それを支える株主・顧問の布陣には際立って優れた人材が揃っており、毎日が学びの宝庫でした。
対峙する市場と解決すべき課題の難易度が非常に高いため、その陣営をもってしても易い戦いではありませんでしたが、必ずや次のステージに進んでくれると信じています。

私はガラパゴスの企業理念をとても気に入っています。
我が家の家訓にしようと思っているくらいです。

これらはハードな未来を生き抜くための指針そのものであり、会社を離れても意識し続けるつもりです。
特にガラパゴスはAIを活用する事業を営んでいたことから、「人をよりヒトらしく」というMISSIONには大きな示唆を受けました。

GPT4などAIが飛躍的に進化し始めた世界では、人はよりヒトらしくならなければ価値を失います。
ヒトらしくなるための根源は「好きであること」であり、自分事としてクリエイティビティを突き詰められる領域に注力することで、AIとの協業が成立して相乗効果が得られる。
私はガラパゴスのMISSIONをこのように解釈し、背中を押してもらったと思っています。

好きを仕事にすることの強さ

YAMAP時代に注力した事業のひとつに、熊野Rebornプロジェクトというものがあります。

都会のフィールドワーカーが地域経済の担い手から里山経済(農業・植林・ジビエの循環)を学び、地域と一体になって熊野古道の魅力をリデザインするこの事業は、「好き」を仕事にする強さを体現するような現場でした。
和歌山県田辺市の人々は驚くほど力強く、誇り高いプロフェッショナルばかりで、ビジネスモデルやスケーラビリティとは無縁の輝きを宿していました。

私も振り返ればこの頃が最も精力的で楽しく、記憶に残る仕事をできていたと感じます。ここでご縁のあった方々から連絡をいただくたびに、自分の「好き」を仕事にする強さについて考えさせられ、今回の決断のベースが醸成されていきました。

Connecting The Dotsであり続ける

スティーブ・ジョブズの言うConnecting the dotsは、常に全力で悔いなく生きていることの結果であり、証であると言われます。
私はいま、野村證券も、投資ファンドも、YAMAPも、ガラパゴスも、これまでの全ての経験がPETOKOTOでの挑戦に繋がっていると感じています。
これを感じ続けることが、これまでお世話になった方々に対して果たすべき責務であり、受けた恩に報いること。

勝手ながら、そんな想いで新たな一歩を踏み出します。
どうか引き続き、よろしくお願い申し上げます。

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