「推し」は「推せる」うちに「推せるだけ」推しておこう!そしてそれは、この世で最も尊い行いの一つなんだよね!というお話

、久しぶりに関西リーグを見に行ってきたのです。なかなかスケジュールが合わなくて、開幕以来の観戦となりました。今年の1部も序盤から去年同様、1チームだけが負けを背負う展開になってはいるのですが、去年以上に大混戦となってます。全体のレベルが上がって混戦なのか、それともその逆なのかは分かりませんが、第三者的には実に面白い展開ではあります。

この日のビッグレイクは2部1試合、1部1試合の計2試合。滋賀県内なのに2試合とも京都のチームのホームゲーム扱い。京都府内の会場が取りづらいんだよな〜と改めて思うわけで…。
1試合目は京都紫光クラブと今年昇格したエベイユFC。エベイユは県リーグの頃から見ていましたが「ようやく昇格したよね」というのが正直な感想なくらい、実力的にも関西2部と遜色ないと思っています。現に、5試合で3勝2敗と昇格したチームにしては上出来な成績。同じ昇格組のディオス1995が4敗1分なのと比べれば一目瞭然です。
一方の京都紫光クラブは開幕から調子が上がらず、1勝3敗1分と厳しいスタート。そろそろ勝ち星を積み上げないと、今年は3枠ある降格枠を気にしながらのシーズンになってしまう。そのためにも今日は勝っておきたいところです。
試合をザッと振り返ると、前半はプレスの出足の良かったエベイユが果敢に紫光陣内に攻め込むも、なかなかシュートまで持っていくことが出来ない。紫光もディフェンスが押し込まれていることもあり、ボールを奪っても効果的にエベイユ陣内に攻め入ることが出来ない。共に得点の気配の極めて少ない前半でした。
後半になると、両チームともややジャッジにナーバスになり、それにより微妙にチームの雰囲気が変わってくる。ややナーバスになりすぎたエベイユをよそに、中盤のプレスを強めた紫光がセンターサークル付近で奪った武田が素早くドリブルで持ち込み、そのままシュート。キーパーが弾いたところを藤川が押し込み先制。前半低調だったチームは、この1点で一気にムードが良くなります。

ボールを奪った京都紫光7番武田は
そのままドリブルで持ち込みシュート。
エベイユGK宣がこれを弾くも
こぼれ球を紫光の藤川が押し込み先制。
教科書のような鮮やかなカウンター攻撃でした。

さらに4分後、同じように中盤でボールを奪うとそのままドリブル。一気にキーパーと1対1となった藤川がキーパーの動きを見て冷静にゴールマウスに流し込み2点目。さらにATにも追加点を挙げた京都紫光が3-0で大勝。この勝利を機に京都紫光クラブは上位浮上を図りたい。負けたエベイユもこの日の戦い方は決して悪くはないが、ただジャッジにナーバスになりすぎたことでややプレスが甘くなったのが気になりました。ジャッジに怯むことなく、果敢にプレスを掛け続けることが大切ではないでしょうか。

京都紫光9番藤川はボールを奪うと一気にドリブル。
あっという間にキーパーと1対1となる。
慌てて戻るディフェンスも一歩及ばず、
キーパーの逆をついてこの日2点目のゴール。
さらに終了間際に3点目をとった藤川。
彼の献身的な守備がこの大活躍に繋がったでしょう

続く第2試合らA.S. Laranja KYOTOとレイジェンド滋賀との試合。レイジェンド滋賀は、滋賀県内での試合にもかかわらず、アウェイ扱いという不思議な試合。こちらもザッと試合を振り返ると、試合開始から強くなり出した雨が、時よりかなり激しく降る中、立ち上がりから積極的なプレスをかけるレイジェンド滋賀。なかなか試合の流れが掴めないラランジャでしたが、20分にカウンターから先制する(ちょうど写真の確認をしている最中だったので、何が起こったか全く分かってません…(汗)
先制したとはいえ依然としてペースはレイジェンド側にあり、38分にCKのこぼれ球を岡本涼が押し込んで同点に追いつく。ここ1、2年のラランジャは点を取ってもなかなか波に乗れないことが多く、この日もそんな兆候がありましたね。そのまま前半が終了。

CKのクリアミス?を岡本涼が冷静に押し込み同点。
監督が変わったり選手が入れ替わったりしつつも、
着実に実力をつけているレイジェンド滋賀。

後半も雨の中とはいえ運動量がそんなに落ちないレイジェンド。逆転を狙って果敢に攻め込みますが、ラランジャの守備も堅くゴールを破らせません。そのまま時間だけが過ぎていく嫌な展開でしたが、後半31分にゴール前での空中戦のクリアボールをエリア外で拾った高橋のシュートが決まり、ラランジャは喉から手が出るほど欲しかった勝ち越し点が入ります。

ゴール前の競り合い。一旦はクリアしたが、
拾ったラランジャ高橋のシュートが決まり勝ち越し

反撃を試みるレイジェンドの攻撃も、集中を途切らせることなく守り切ったラランジャがそのまま逃げ切り、貴重な勝点3をゲットした。負けたレイジェンドは今日のような試合を勝ち切れるようにならないと、上位に定着するのはまだ難しいかもしれませんね。

というのが、ザッと2試合のダイジェスト。
で、この日の2試合4チーム全てに「推し」というか、気になる選手がいるんですよね。ということで今回は、そんな選手たちのお話を勝手にしてしまおうと思います。

まずは1試合目から。両チームとも「推し」がキーパー、エベイユの宣選手と京都紫光の浅野選手なんですよね。2人ともベテランの域に達したキャリアの持ち主で、プレーもさることながら試合中の立ち振る舞いが実に好感を持てるのです。浅野選手は1987年生まれの今年35歳、エベイユの宣選手は1974年生まれのなんと48歳。経歴も浅野選手は今は亡き三洋電機洲本から関西リーグのチームを渡り歩き、今は京都紫光クラブに、宣選手の方は前所属がバンディオンセ神戸(加古川ではない!)、それもその元となるセントラルSC神戸から引き続き在籍していた、というキャリアを持ってます。よく「キーパーは若い時よりも年取ってからの方が味が出る」と言われますが、ホントそれを地でいく2人ではないでしょうか。

安定したプレーを見せる京都紫光の浅野選手。
彼がゴール前にいると正直点取れる気がしません…
空中戦にも突っ込んでくる相手にもふ
一切臆することなく果敢に挑むエベイユ宣選手。
とてもアラフィフとは思えない姿です。

2人ともプレーでチームに大きく貢献しているのはもちろんのこと、試合中絶えることない味方に対する細かい指示やアドバイス、時には叱咤激励などの声掛け。それが実に分かりやすく、さらに親切丁寧優しい言葉が耳に心地いいんです。キーパーの中にはチームを鼓舞するために言葉がキツくなったり、勝ちたい気持ちが強すぎるため相手や判定に対して文句を言ってしまったりする選手がいたりします。それがプレースタイルと言えばそうなんでしょうし、それで目の前のこの試合は仮に勝てたとしてもかえってフィールドプレイヤーを萎縮させたり、また相手チームに変なスイッチを入れさせてしまったり、あるいはレフリーにチーム全体に対して悪い印象を付けかねなかったりします。長い目で見るとチームにとってあまりいい影響を及ぼさない可能性も高かったりします。
逆に、ミスをしてもキツく責めない、気持ちが落ちそうなら前向きになれそうな言葉を掛ける、相手に対しても敬意を払うプレーを促す。プレーに対する指示だけでなく、そうした細かい気遣いが出来るキーパーが後ろに控えていると思うとフィールドプレイヤーも安心して思い切ったプレーが出来る。結果的にいいパフォーマンスが出来る、という流れになると思うのです。キーパーってただゴールマウスを守るだけでなく、チームのモチベーションを保つモチベーターではないかと思うくらいです。それくらい、キーパーの声の良し悪しでチームの状態が変わってくると思います。
実はこの試合の翌週の両チームの試合も見たんですが、やはり2人とも実に優しくかつ細かく丁寧な指示を出してました。特にエベイユの宣選手は試合中、ほぼ声が途切れないくらいずっと指示とメンタルを保つ声掛けをしてました。あの姿を見るとモチベーターではなく、むしろ監督ではないかと思うくらいでした。試合後のミーティングの様子をたまたまスタンドから見てましたが、選手全員や監督、スタッフに対していろいろと意見やこうすべきだろうということを説いていました。チームになくてはならない存在なんでしょうね。京都紫光の浅野選手も試合前のミーティングでモチベーションを上げる言葉を掛けてました。試合前も試合中も試合後も「いい声掛け」をされてました。流石ですね…。皆さんもFWとか得点シーンにばかり注目するのではなく、一度キーパーに注目して試合を見てみるものいいかもしれませんね…

味方に対して指示を出す浅野選手。
良く声が通るというのもいいキーパーの証ですね。
翌週のFC EASY02明石戦の浅野選手。
至近距離からのシュートを恐れず跳ね返す。
10本以上のシュートを必死にセーブしていました。
相手のFWが突進しても身を挺して守る浅野選手。
キーパーって頑丈じゃないと務まらないですね…

2試合目のレイジェンドとラランジャ京都の両チームの「推し」はというとレイジェンドに1人、ラランジャには3人(1人は今年からスタッフになった)います。この日は1人怪我で出てなかったので、この試合に関しては1人づつというとこになります。で、その2人ともやはり同じポジション、サイドバックの選手で、レイジェンド滋賀は御歳39歳になるベテラン大杉選手、ラランジャ京都はそのちょうど10在籍若い福永選手の2人となります。
どちらも昔見ていたチームに所属していた選手で、その頃から見ている繋がりで今も見ているといえ流れです。ま、よくあるケースですよね。
福永選手はずっと右のサイドバックだったんだけど、大杉選手はセンターバックでプレーする印象が強すぎるので、サイドバックをやってるのが違和感があって…。でもよく考えたら、昔はサイドバックとかサイドハーフとかだったよな、と思うと別に何の違和感もないんですけど…。人間の印象操作ってやつは実に恐ろしいですね…(笑)
で、プレーも当然ながら試合中、絶え間なく味方への指示や声掛けを忘れない。あれだけ走りながら、頭を使いながら、さらに声出しながらプレーするって本当にすごいことですよ。で、さっきお話しした2人同様、ただなんとなくとかあるいはあたり構わずとにかくがなり散らかしりするのではなく、やさしく分かりやすく、時には厳しい声掛けをしている。実に耳に心地よい声掛けです。聞いていて思わず「うんうん」と頷いてしまう、そんな声掛けのお手本のような2人の声出しです。こういう「いい声掛け」がチームの雰囲気を良くしていくのです。経験豊富なベテランじゃないとなかなか出来ない技と言ってもいいかもしれませんね。

サイドのスペースを縦横無尽に動き回る大杉選手。
39歳とは思えない運動量です。
彼が39ならずっと見てる私も年を取るよね…(汗)
ディフェンスの逆を突いてクロスを上げる福永選手。
彼も激しいアップダウンを繰り返してました。
体を入れてボールをキープする大杉選手。
攻撃だけではない、守備もしっかりやってますよ。
距離を詰めて…
間合いを図りながら…
相手がギアを入れたら一気にダッシュ!
最短距離でボールに追いつき、
体を入れてボールを奪いにかかる。
サイドでの1対1の守備のお手本ですね。
いつ見ても、彼のドリブルは絵になるんですよね〜
写真撮る人にとってはありがたい選手です(笑)
あっ、これたぶんディフェンスに引っかかった?
それとも、わざと相手の足に当てにいったのかな?

大杉選手は大学を出てからいくつかのJFLチームを転々としてましたし、福永選手も大学時代に大学の社会人チームで全社ベスト4と地域決勝に出場。その後も関西リーグを中心に常にチームを引っ張ってきた存在。どんな選手でも、いずれは現役を退く時が来るのです。もちろん若くても退く選手もいますし、また反対に30過ぎても40近くになっても「まだ現役やってんの?」とびっくりするような選手もいます。突然の大怪我で現役を続けられなくなり引退を余儀なくされる選手もいますし、また側から見て「まだ出来る」と思っていても突然辞める選手もいます。何が言いたいかというと、つまり「推し」の選手がいついなくなるかも分からないし、今すぐいなくなったとしてもおかしくないということです。そういうことを考えると、推しの選手は「推せる時に推し」てあげないといけないのです。いついなくなってしまうか分からないのです。いざ推そうと思った時に「推せる」とは限らないのです。
かつて、いわゆるサポーターという活動をしていた頃、特に太鼓を叩いていたこともあって今のようにカメラを構えて写真を撮るなんてことを全くやらなかったんですよね(写真自体は撮ってはいたんですけどね…)。まあ、出来なかったと言った方が正しいですが、それが今となっては後悔というか、申し訳なかったな〜と思うのです。後悔先に立たずとはよく言ったもので、本当にそうなんです。だからこそ「推しは推せるうちに思いっきり『推しておけ』」と思うわけです。
これは「推し」だけではありません。「どこか海外旅行に行きたい」「新しいゲームを買いたい」「値は張るけどどうしても読みたい本がある」「近くの会場がないけど見に行きたいライブがある」などちょっとでも気になること、興味のあることがあれば、可能であれば迷わずやるべきです。特にコロナ後は、少し前まで元気だった人が急にコロナに罹って亡くなってしまったり、急に仕事が無くなってしまったりという、今まであまり考えられなかったことがすぐそばの現実になっています。
「でも〜、お金が〜」「会社に何言われるかわかんない…」と思うかもしれませんが、お金は仕事があってお金がちゃんともらえているのであれば、好きなもののために多少の辛抱はできるでしょうし、会社や会社の人が〜とか、親が〜とか思ってる人は「自分の人生の肩代わりをしてもらえますか?」「自分の代わりに自分がやりたいことを代わりにやってくれたとして、それで本当に満足ですか?」ということです。自分自身の人生は自分自身のものであって、親族のものでもましては他人のものでもないのです。自分自身のものである以上、ある一定の節度は必要ですがその範囲内で「推し」を見に行こうが、1週間くらいどこかに旅行に行こうが構わないと思うのです。てか、それくらい許してくれよ〜と思うわけです。裏を返すと、それがなかなかしづらい社会だからこそ、推しを推す行為は「尊い」と言われるのでしょうね…

今回はサッカーの「推し活」でしたか何も「推し活」に限らず、自分のやりたいこととかを誰に気兼ねをすることなく出来る、それが当たり前の社会になるのが理想ですが、たとえそうならなくて^も「やればいい」んです!自信を持ってやればいいと思います。何故なら、その生き方がこの世で最も「尊い」生き方だと思うので…。皆さんも、思い切って「推し活」に励みましょう!

勝ち越しに喜ぶ仲間をよそに
淡々とボールをセンターサークルへ運ぶ福永選手。
そんな強靭なメンタルが故につい彼のことを
「鬼軍曹」なんて呼んでしまうのでした…(笑)

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