新年早々、真剣にあれこれ考えてみました

あけましておめでとうございます。
2022年もよろしくお願い申し上げます。

年が明けるとサッカーもしばらくお休み(正確には、お休みではありません、バンバン試合やってます(笑))ですね。そういえば、以前は高校選手権を見に行ってましたね。酷い時(笑)は年末と年始にそれぞれ関東まで往復してたりしました。まだ若かりし元気だった時代かつ、毎年繰り返される「修行」の一環としての、ある種のルーチンをこなしていた、そんな時代のお話ですね…。
それと、選手権や総体に限らずトーナメントって、必ずしも見たいものを見られない弊害があるので、見に行く会場を簡単に決められないのも足が遠のいた要因の一つでもあります。まあ、春高バレーやバスケのウインターカップみたいに同じ会場で複数コートで開催してもらえたら、そういうことも無くなるんでしょうが…、まあ無理ですよね。なので、以前ほど見に行こうというテンションにならないというのが現況です。
とはいえ、年末年始は何かとスポーツイベントが多い時期であります。サッカーやラグビーの高校選手権、春高バレーにバスケのウインターカップ、それに高校駅伝etc。大学スポーツもラグビーや箱根駅伝などがあります。社会人においてもバスケの天皇杯(今って天皇杯と皇后杯、全く別の日程なんですね…)ニューイヤー駅伝、大学生との対戦ながらアメフットのライスボウルもあります。とにかく盛りだくさんの選び放題です(笑)ま、選び放題とかそんなことはどうでもいいことなんですけどね…。てことで、今回は年末年始のサッカー以外の大学・実業団スポーツを通じて、普段見ているアマチュアサッカーについてのお話しをしようと思います。

まずは箱根駅伝。これを読んでいる方なら、箱根駅伝は全国規模の大会ではなく関東学連が主催の「ローカル大会」であることをご存知な方も多いかと思います。予々、箱根駅伝を全国の大学にも枠を広げるべきだという持論の人ではありますが、出雲駅伝や伊勢のインカレを見ていても関東以外の学校が太刀打ちできるレベルじゃないので、今更難しいのかな?とやや悲観的ではあります。それでも、国内の選手層を厚くするのであれば当然やるべきだとは思います。もっとも、本来の目的である「マラソン選手育成」という意味では箱根駅伝自体が失敗ではないか?という意見に賛同しますが…

そんな中、珍しく大会初出場を果たしたのが駿河台大学。他のスポーツでは名前は聞きませんが、実は陸上では男女共にそこそこ名の知れた大学です。ここ数年は箱根の予選会でもかなりいいところまで順位を上げていたので、今回の初出場も世間の印象ほどの驚きはなかったですね。
そもそも陸上競技は個人種目なので、1人2人でも凄い選手がいて活躍してくれれば名前が売れるということもあり、特別推薦で入学させる大学も多いです。駿河台大学もその一つで、おそらくそこから徐々に長距離中心にいい選手が入るようになったんだと思います。というか、もう既にかなり実力のある選手が入ってきているのではないでしょうか。往路こそ最下位でしたが復路では15位、さらに初出場ながら中継所での繰り上げスタートなしというのは、それを裏付ける証拠と言っても過言ではないかと思います。初出場から6年で往路優勝を果たした創価大学には及ばないにしても、少なくとも箱根の常連校となることは間違いないかと思います。
昨年のインカレでは、北海道の東海大学札幌校舎と東海の名古屋学院大学の2チームが初出場でした。優勝した駒澤大学は16回、準優勝の阪南大学は20回、今大会最多出場となった福岡大学の44回。その他、どの強豪校にしても「初出場」がないことには常連校なり強豪校にはなり得ないのです。この両チームに、今回箱根に初出場した駿河台大学と同じくいい選手が入ってくるようになれば、各地域の勢力分布図も変わることでしょう。今後そうなることを期待しています。

元日の風物詩といえば、サッカー天皇杯決勝とニューイヤー駅伝駅伝。ニューイヤー駅伝を参加チームの職種という観点から見ていくと実に興味深いです。社会人のサッカーにも参考になりそうなので、今回改めて参加チームの職種を詳しく解析してみようと思います。

これが今年のニューイヤー駅伝出場チームの一覧です。いわゆる大企業と呼ばれる会社が多いです。と同時に、自動車メーカー中心に製造業の会社が多いことが見て取れます。大企業に混じって社員が3000人規模の戸上電機製作所や愛三工業(グループ含めると1万人ですが)などもあります。メーカーやインフラ系の大企業、それに金融機関がほとんどを占めている、というのが一昔前の実業団スポーツのあり方だったように思います。
しかし最近では、GMOインターナショナルや今年は出場してませんがNDソフトといったIT関連企業や、東京23区内を中心に展開しているスーパーマーケットのサンベルクス(本社は足立区)やコモディイイダ(本社は北区)、さらに今年は出場していませんが佐賀のひらまつ病院や埼玉医科大学グループといった医療機関のチームも見られます。また、過去の記録を見ていると新潟の地元の小さな住宅建売業を営む重川材木店や、高知でドコモショップを運営しているくろしお通信といった、とても全国大会とは縁遠いであろう地方にある中小企業であったり、滝ヶ原自衛隊や高田自衛隊、今回出場している大阪府警や南陽市役所といった公務員のチームの名前もありました。

新潟の重川材木店のHP。今でも陸上競技部は活動しているようですが、部員は2人しかいないようなので駅伝は出てないようですね…

これを女子のクイーンズ駅伝にまで拡げると、ヤマダホールディングス(ヤマダデンキですね)やエディオン、ニトリやダイソーといった大手量販店やユニバーサルエンターテインメントのような遊戯関連企業、さらにはルートインホテルズといったホテルのチームも存在します(ちなみにルートインホテルズは女子バレーボールのチームもあり、V2リーグに参戦しています)。実に多種多彩な顔ぶれとなります。

前述にもありますが、陸上競技は基本的に個人種目なのである一定の選手を確保しなくてもいいですし、さらに練習場にしても公共の施設の個人使用枠を使えば専用の施設をわざわざ借りる必要もありません。大手量販店やスーパー、ホテルだと基本シフト勤務となり、練習時間や試合についてもシフト調整で職場に影響を与える可能性が少ないため、企業としても比較的正社員として雇用しやすいのではないかと思います(もっとも必ずしも正社員雇用かどうかは分かりませんが…)。選手にしても非正規雇用や派遣社員、あるいはバイトをしながら競技をするより、正社員での雇用を望むケースも多いでしょうからこれはもう、win-winの関係と言ってもいいのではないでしょうか。

以前からアマチュアサッカーチームの選手の雇用についてはもっと多様な選択肢があっても良いのではないかと思っていました。かなり数は減りましたが、JFL以下の各リーグにいるいわゆる実業団チームの顔ぶれを見ても、Hondaや日本製鐵大分などに代表されるメーカーが多いです。最近になって、以前も紹介した秋田にある不動産関連会社の猿田興業や大分でリース業を営んでいるジェイリースといった金融・サービス業のチームも出てきましたが、まだまだ陸上競技のように多種多彩な業種があるといえないのが現状です。
また、将来のJリーグ入りを目指すチームの選手の雇用先として最近、特別養護老人ホームのような介護関係の職場で働くケースが増えています。介護関係の職種はシフト制かつ、体力仕事であることから若くて体力のあるスポーツ選手はその働き手としてどこでも引く手あまたです。その反面、勤務中に特に腰などの体を痛めてしまったり、過酷な職場環境から仕事そのものが出来なくなってチームを離れるケースが多いという話もよくあります。皮肉なことに斡旋した職場において、その貴重な選手資源を消失してしまっている可能性がある、という実に皮肉な話です。
選手の雇用先を探すのは実に難しいです。夕方以降の夜に練習時間を設けているチームならまだしも、午前中や昼に練習時間を設けているチームだとなおさらです。しかも、正規雇用でとなるとなおのことです。そこで個人的に提案したいのは、選手の雇用先として医療機関、つまり病院を活用するということです。一見、見当違いなようにも思えますが、実は前述のひらまつ病院や埼玉医科大学グループはれっきとした医療機関ですし、もっと言えば陸上競技のような個人競技に限らず団体スポーツでも医療機関のチームは現に存在しています、しかも全国リーグで。

女子バレーV1リーグに所属する上尾メディックスは上尾中央総合病院が運営するチームです。同じ医療法人グループの戸田中央総合病院は女子ソフトボールのチームを持ってます。また、男子バレーV1リーグ所属の大分三好ヴァイセアドラーの前身は、大分市内にある三好内科・循環器科医院のバレーボール部です(今は直接的な関わりはないようです)。いずれのチームも選手はそれぞれ病院内の各部署で勤務しています。
このように、単一の医療機関でも団体スポーツの選手の雇用先として活用することは十分可能だと思うのです。三好内科・循環器科医院は主に透析メインの病院なので、業務的にもシフトの都合が比較的付けやすかったのではないかと思います。また、上尾中央総合病院は総合病院ということで医事課のような医療事務系の仕事や、臨床系やリハビリテーションの専門職の人材も必要となると、学生時代にそのような勉強をしていた選手であれば即戦力としての採用も可能ですし、採用される選手にしても学校で学んだことをすぐ仕事に活かせるので一石二鳥とも言えるのではないでしょうか。

上尾中央総合病院のHP。思った以上に多岐多様に渡る診療科目があるうえに、スポーツ医学センターといったスポーツ医学関係の機関もあるようです。

もちろん全ての医療機関で可能とは言いませんし、単一の医療機関でチームを丸抱えする必要もありません。まずは1人2人程度でもいいです。将来のJリーグ入りを目指すチームの選手を雇用してもらえると嬉しいですし、出来ればスポーツによる地域・社会貢献に理解のある医療機関があればアマチュアのサッカーチームを作って活動してもらいたいです。もし、万が一JFLのような全国リーグにまで昇格することになれば、地域のクラブチームとしてスポンサードに回るという選択肢もありますし…。将来的にそのようなチームが出てくることを期待しています。

最後に、さらに一歩進んだ新たなアマチュアスポーツの支援について触れておきたいと思います。
女子バレーV2リーグに所属するアランマーレ山形バレーボールチームというチームがあります。このチーム、プレステージインターナショナルという企業のチームなのですが、その運営自体が会社の事業のひとつとなっているのです。

上の画像はプレステージインターナショナルのHPより、事業紹介のページをスクリーンショットしております。事業紹介に「女性の活躍により元気と活性化を還元することを目的とした「アランマーレ」…(中略)社会が抱えている多くの課題の中で、雇用の創造から一歩踏み込んだ地域貢献を実現してまいります。」と書かれており、バレーボールチームの運営そのものを事業の一つの柱としているようです。
プロスポーツの運営と同じではないかといえばそれまでです。しかし、必ずしもプロスポーツとはいえない環境である女子バレーボールにおいてこのような試みを行なっていること自体、他のアマチュアスポーツ、特にサッカーにおいても応用できるのではないか?と思うのです。
アマチュアチームの運営がどのようなビジネスモデルとなりうるのか?実際にどれだけの収益を得ることが出来るのか?といったところが重要ではありますが、見方を変えればこのような活動に関心のある企業と繋がりを持つことが他の事業へのシナジーとなるようであれば、たとえチーム運営で多少の赤字になっても、最終的に会社として黒字で収益が上がれば問題ないのではないか。言い方を変えれば、それはいわゆる広告費と同じと捉えてもいいかもしれない。私はこのプレステージインターナショナルのやり方をそのように解釈をしています。詳しくは調べてませんが、プロ野球の横浜ベイスターズの球団運営もこれと似たような、いや同じイメージでなのかな?とも思うのですが…。もし詳しい人がいれば是非教えてください。

さらに踏み込めば、Jリーグ入りを目指すチームの初期段階におけるチームの運営方法としても有効ではないかと思うのです。Jリーグに参入するにはチームの法人化、株式会社化が必要です。作りたての段階でいきなり株式会社にするのはかなり大変ですが、このように企業の一部署として運営していき、時期とタイミングを見て独立採算制にしてしまえば法人化の問題も軽くクリアできます。一企業内において時間をかけて組織をしっかり構築することも出来ますし、その期間を使って将来チームを支援してくれそうなスポンサー企業との関係を築くことも出来る。それらの活動は全て、チームの長期的な経営ビジョンという観点においては大きなプラスになるのではないでしょうか。ということで、今後ますます過酷になるであろうJリーグ参入に向けて、このような運営方法を取るチームが生まれ、さらに発展していくことを将来的に期待しております。

サッカーとは違うスポーツから特にアマチュアサッカーについて考えてみました。アマチュアサッカーの話をする上でどうしても切っても切れない問題である、選手の安定的な収益の確保。サッカー選手としてよりも引退してからの期間の方が当然長いし、もっといえばサッカー選手としての期間も収入が不安定では選手もサッカーに集中することは出来ません。その意味でも、どうやって選手にサッカーに集中してもらえる環境を作るかが、より多くのプレーヤーにサッカーを卒業後も続けてもらうかの一つの要素と言えるでしょう。そのような環境をいかに提供できるかが、日本サッカー界の底上げに繋がるのではないか。さらに言えば、それが長い目で見て代表の強化にも繋がるのかもしれない。そういった観点からも、そろそろアマチュアサッカーの環境整備や社会的理解が拡まっていくことを期待しつつ、2022年の新年を迎えたのでした。

追記:ちなみに、プレステージインターナショナルはバレーボールの他に秋田では女子バスケットボールチーム(W1リーグ所属)、富山では女子ハンドボールチーム(日本リーグ所属)も持ってます。幅広く女子スポーツを通じての社会貢献活動を事業の一手の柱としています。その和が拡がりますように…

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