顧問が上位大会出場を嬉しくないと思ってしまう理由
生徒が部活の大会で勝ち進み、県大会や関東大会、そして全国大会などの上位大会出場を決めることは喜ばしいことです。その一方で、様々な理由から上位大会進出を顧問の立場からは嬉しくないと感じてしまうことがあります。なぜでしょうか。
業務負担が増える
嬉しくないと感じてしまう理由は、業務負担が増えることです。上位大会に出場する場合、新たな追加業務が発生します。勿論、上位大会に進出しても手当は付きませんし、給料が上がることもありません。労働時間のみが増えていき、残業代もつきません。
顧問の先生がすること
では上位大会出場に当たり、顧問はどんな業務をしているのでしょうか。
ホテルの予約
まず宿泊先を確保する必要に迫られます。県大会常連ならば毎年利用している宿が大抵決まっているので、そこをすぐ押さえればなんとかなります。しかし、初めての上位大会出場の場合、一から宿を探さなくてはなりません。他の強豪校・常連校は大抵会場近くの便利な宿をすぐに押さえていますので、一からの宿探しは大変です。必死に探し回った挙げ句、時には会場からのアクセスが悪く、値段も高い宿にせざるを得ず、生徒・保護者からのクレームを浴びせられることもあります。
一泊につき旅費で支出できる上限はたいてい決まっています。宿が高いと、業務で引率をするにもかかわらず、顧問は宿泊費で自腹を切ることになります。不手際だと仕事なのに自腹を切ることもあります。
練習場所の確保
宿泊が必要な上位大会の場合、前日入りして翌日に備えて数時間の練習をすることが一般的です。つまり、練習場所の確保も同時に必要です。大会会場に近い宿ならそのまま大会会場を練習場所として予約することもあります。宿が会場から離れている場合、宿近辺の施設を予約して練習場所とすることもあります。大会会場から遠い宿で練習場所が近くで確保できない場合、練習場所への交通手段確保も顧問の仕事です。
宿までの交通手段の確保
上位大会の会場へ向かうための交通手段の確保も重要な仕事です。電車で2時間ほどで着く会場なら良いのですが、遠方でアクセスが悪い場合には、顧問の自家用車に生徒を乗せて高速道路を走って大会会場まで連れて行くことを求められます。道中事故を起こしでもしたら懲戒免職ですから、気を使います。
土日引率
大会はたいてい土日の週末に行われますから、土日がすべて潰れます。翌日からは通常通り授業がありますから、疲れ切った身体を引きづって学校へ出勤することになります。
自習手配
大会は土日開催でも、前日入りする場合には木曜日や金曜日から生徒を引率しなければなりません。当然木曜日や金曜日には授業がありますから、授業の自習の手配をすることになります。また、大会が終わり戻ってくると、机の上には学校を不在にしていた間に溜まった校務関連の資料がドサッと置かれていることも珍しくはありません。
顧問業務を怠ると…
これらの話を聞くと、大会の引率をしなくない、保護者や外部指導員に任せたいと思うかもしれません。しかし、大会の規定では、教員の引率が出場の条件になっていることがあります。また、故意に引率をしないなど怠慢があると以下のように懲戒処分になります。
この教員は、宿泊を伴う大会の引率者であったにも関わらず『事務処理が面倒だった』という理由で、管理職に対して宿泊がない旨の報告を行い、宿泊引率も行っていませんでした。結果、懲戒処分になりました。
まとめ
大会引率は負担の大きな業務です。宿、交通手段、練習場所の確保、そして週末の休み返上の引率で一苦労です。さらに、自分の仕事を放っておいて出かけることになるので、学校に戻るまでの業務が滞ります。これらは、誰も助けてくれず、全て自分の責任で行う必要があります。覚悟して顧問をする必要があります。
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