いささんの問いに答えて
東京新聞の「残業時間と昇進は関係ある? 調査してみたら差がくっきり」という記事がありまして、twitter上でシェアしている方がいらっしゃったので、記事を読んでみて「できる人に仕事が寄るという話。」というコメントを引用リツイートでしたら、シェアされた方からコメントをいただきました。
記事へのコメントに、コメントを寄せてもらうとは思わず、びっくりしております。
リンク先はお読みになられたでしょうか。そのような内容ではありませんよね。残業時間が長いほど評価されるおかしな風潮がある、故に「残業しなけれはいけない」ムードが生まれる。仕事ができる人というのは、定時で仕事を終えられる人を指すのでは?
https://twitter.com/isatetsurou/status/788597646189596680
コメントいただいたのが、いさ哲郎さんという中野区の区議会議員で、議員になる前はブラックなITベンチャー企業に対して労働組合をつくって闘ったという雇用問題のプロの方でした。比較的国内では恵まれた環境で私は働いていますが、素人でも労働法的におかしいんじゃないかという話を周りからよく聞きます。多くの場合、泣き寝入りを強いられる中で、組合を作って闘ったというのは本当にすごい話だなと思いました。久々にあった友人とそんな愚痴ばかりする社会ははやく変えたいです。
コメントした時の意図
本題に入る前にまた少し脱線しますが、西欧において同一労働同一賃金を実現できるのは、確固たる職業教育があって仕事が標準化されているからです。それに対して日本の場合、社会的にも企業内でも十分に標準化がされていないので、個人技に頼ることになります。その結果、多くのメンバーが持っていない何らかの個人技を持っていて他のメンバーよりも少し効率的に捌ける人が評価をされやすいという実態が多くの企業(今回の場合市役所ですが)であると思います。私がtweetした時は、何となく「できる人」という言葉を使いましたが、振り返って考えて文字化するとこういう優れた個人技を持った人という意味かな、と。
この記事では、冒頭に残業時間と出世が相関関係にあることが述べられ、終わりの方に特定の従業員に業務が集中している、業務の平準化が必要と書かれていたので、個人技を持った出世のしやすい人に業務が偏っているという話かな、タイトルと内容は因果が逆だよなと思いました。隙間時間の流し読みであったので、だいたいそんな認識でコメントしました。(ということでかなりざっくりとした斜め読みですが読んで書いています)
後で読み返して感じたこと
時間ができたのでもう一度よく読んで、最初読み飛ばしてしまった真ん中あたりの市当局と市職員のコメントを中心にじっくり確認しました。
市職員達が言っているのは、早く帰社すると評価が下がる風土が役所全体にあるからみんなが遅くまで残って働いているという話ではありませんでした。例えば早く帰ると陰口を叩かれるとか、上司より早く帰りづらいとか、評価面談の時にみんなは残っているのになんとかさんはみたいなこと言われるとか、そういうエピソードが語られていれば、残業が評価される風土とか、残業しないといけないムードがあると言えるとは思うのですが、彼らの口をついて出たのは別の事象でした。(もちろん証言がないから、ないということはできないと思っています)
彼らの口から出たのは、一つの部署で完結せず他部署と関わる仕事、偉い人と関わる仕事は評価者の覚えが良いので出世する、これらの仕事は総じて残業時間が長いということでした。すごい微妙なところで言葉のあやとか挙げ足取りとかいう批判を受けそうですが、彼らは残業時間が多い→出世するとは述べていないと思います。仕事の種類によって残業時間が長いものがある、仕事内容によって評価を受けやすいものがある、ということに過ぎない。(AはBに含まれる、AはCに含まれる。Bのものは全てCかと言われれば違うのではないか、と)もちろん、仕事内容と評価は適切かという問題はありますし、そもそも、我々平社員が評価対象になることが問題じゃないかといえばそうですが。
それで、業務を平準化して、特定の人に負荷がかからないようにしましょうねというのが、渥美氏の処方箋であった訳です。
なので、この記事だけでは、横浜市役所に「残業時間が長いほど評価されるおかしな風潮」があるとは言えないのではないでしょうか。
長時間労働を「風土」病扱いすることの問題
そもそも、長時間労働を「風土」の問題にすることに疑問があります。それは次の記事でまとめます。
あと「仕事ができる人というのは、定時で仕事を終えられる人」っていうのは、個人に裁量が与えられていればという話で、大抵与えられていないですよね。
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