65 芹洋子 ☆ あざみの歌

【MY FAVORITE SONGS 65(私は音楽でできている)】
 
 登山愛好会でのハイライトは、屋久島遠征でした。7月の初旬、梅雨明け頃の6泊7日、4人のパーティで登りました。いまのように観光のための整備がされていない40年以上前で、海抜0mから島を縦断して永田岳、宮之浦岳(九州最高峰1936m)に登って、湯泊に抜けるルートだったと思います。

 林芙美子が「ひと月に35日雨が降る」と書いた屋久島の雨は、時期的にも大変なものでしたが、もう一つ苦労したのが薊(あざみ)でした。夏場で、ずっとブッシュをかき分けて進むし、半袖短パン姿で登ったので、何度も何度もやられて、手足は傷だらけになりました。実際みんな痛いし煩わしいし嫌なのですが、A君だけは涼しい顔で歌いながら歩いているのです。しかし涼しい顔と思ったのは間違いで、あとでやけくそで歌っていることが分かりました。(笑)それが「あざみの歌」です。

 初日麓で数人に出会っただけで、山中では全く人と出会いませんでした。その代わり、目の前を横切る猿や鹿の群れに遭遇しました。本当に深い森で、後に『もののけ姫』で描かれた世界が、屋久島を1つのモチーフにしていると知りました。映画を見たとき、実感をともなってそこにいる感じが蘇ってきたと思います。

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